超常アクション『コントロール レゾナント』開発者が戦闘の参考にしたのは、『DOOM』。あえての“パリィなし”接近戦に個性強烈アート、Remedy史上最大の新作の作り方を訊く

『CONTROL Resonant(コントロール レゾナント)』のアートディレクターを務めるElmeri Raitane氏に本作のこだわりを訊いた。

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Remedy Entertainmentが手がける『CONTROL Resonant(コントロール レゾナント)』が、9月24日に発売予定だ。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S。

本作は、2019年に発売された『CONTROL』に続くアクションRPGだ。主人公は、前作の主人公ジェシー・フェイデンの弟ディラン。長い昏睡状態から目覚めた彼は、姉の行方を追い、超常的な異変に見舞われたマンハッタンへと足を踏み出す。舞台はオールデスト・ハウスから開けた屋外へ移行し、前作の世界を引き継ぎながら、近接戦闘を中心とした新たなアクションを展開する作品だ。

舞台も主人公も戦い方も変わる本作で、開発陣は何を受け継ぎ、どのような表現に挑んでいるのか。今回弊誌は東京ゲームショウ2026にて、本作のアートディレクターを務めるElmeri Raitane氏に合同インタビューする機会を得た。

Elmeri Raitane氏

戦闘の参考として挙げられたのは、意外にも『DOOM』。一方、アートではほかのゲームを一切参考にしないよう、チームに伝えているという。独特の世界観や戦闘を形づくる考え方から、万華鏡のような映像を実写で撮影する制作の裏側まで、話題は多岐にわたった。


壁の外へ出ても、受け継がれる『CONTROL』らしさ

――本作では舞台も主人公も変わりますが、そのなかで「『CONTROL』らしさ」をどのように表現しようと考えましたか。

Elmeri Raitane氏(以下、Elmeri氏):
前作の感覚を保つうえでもっとも大きいのは、『CONTROL Resonant』の主要な開発メンバーの多くが、前作にも携わっていることだと思います。私たちは今も同じようなものからインスピレーションを受けていますし、前作に影響を与えたものは、引き続きチーム内で共有して、心を動かされています。

私たちは前作『CONTROL』をとても大切に思っていますし、その作品へのリスペクトが出発点になっています。

――本作はRemedyにとって過去最大規模のゲームになると伺っています。スケールの拡大と、緻密な世界観をどのように両立したのでしょうか。

Elmeri氏:
実際にどう感じていただけるかは、もちろんプレイヤーの皆さんの反応を待つ必要があります。ただ、前作で評価していただいた世界観の構築には、今回も持ち込めたものがたくさんあります。引き続き扱っているテーマも数多くありますね。

たとえば、前作の舞台「オールデスト・ハウス」は今作でも物語上の重要な場所ですし、FBC(連邦操作局)も引き続き物語の中心にあります。私たちが何年もかけて取り組んできたものを今回も引き継ぐことで、新しい世界を築くためのしっかりとした土台ができました。

――今回はマンハッタンが舞台となり、屋外のシーンが増えています。建物の外へ出ることで、どのような表現が可能になりましたか。

Elmeri氏:
前作に何年も取り組んできた開発者も、プレイヤーの皆さんも、そしてゲームの中のディラン・フェイデンも、長いあいだ圧迫感のあるブルータリズム建築の壁を見続けてきました。ですから、外の世界へ出て新鮮な空気を吸えることは、私たちにとってもうれしく、わくわくする変化でした。

ぜひ取り入れたいと考えたのが、屋内では扱えなかった自然や天候の要素です。風や大気の表現を多く取り入れていますし、雨もゲームの中で重要な役割を果たします。こうした要素を扱えることを、とても楽しみにしていました。

少し補足すると、本作には重力の異常によって、さまざまな面に立てる場所があります。そこで雨が、本当の下方向を示すコンパスとして役立つんです。単に見た目のための要素ではなく、機能的な役割も担っています。


ディランはゴールデンレトリバー?動き続ける戦闘の狙い

――開発者映像では「ジェシーが猫なら、ディランは犬」という例えがありました。ふたりの性格や振る舞いには、どのような違いがあるのでしょうか。

Elmeri氏:
ジェシーはどちらかというと分析的で、計画をもって行動する人物です。普段はとても落ち着いていて、「頼れる上司」といった雰囲気があります。

一方のディランは、その場の状況に合わせて動くところがもう少し強く、感情も素直に表に出します。相手との距離もぐっと近い。そういう意味では、ゴールデンレトリバーっぽいところがあるのかもしれませんね。性格の違いが動き方や振る舞いに表れている部分もあると思います。

――戦闘では、パリィを採用せず、移動や回避を重視しています。どのような立ち回りを目指しているのでしょうか。

Elmeri氏:
デザイナーたちは、これを「プッシュフォワード・コンバット」と呼んでいます。主な戦闘エリアは、空間全体を素早く動き回れるように設計されています。高低差も多く設けていて、積極的に攻めながらも、敵には捉えられにくい立ち回りができるようにしています。

パリィを入れていないのも、明確な意図があってのことです。プレイヤーに動き続けてもらい、コンボをつなぎ、その場その場で生じる状況への対処法を見つけてもらいたいと考えています。

――そうした方向性は、開発の初期から決まっていたのでしょうか。

Elmeri氏:
私はアートディレクターなので、最初の設計そのものを担当したわけではありません。ただ、プレイヤーを常に前へと進ませたいという考えは、当初から明確だったと思います。

たとえば、こうした戦闘の参考にした作品のひとつが、2016年版の『DOOM』です。ゲームの種類はまったく違いますが、『DOOM』の戦闘エリアを立体的に動き回る感覚は、私たちのデザイナーが今回実現したかったものと、かなり近いんです。


奇妙なアートの着想は、ゲームの外にある

――以前のインタビューでは、敵であるモールドの表現にサワードウや綿あめを取り入れたと話されていたのが印象的でした。食べ物のイメージを、どのように不気味なデザインへつなげていったのか教えてください。

Elmeri氏:
まさに、そうしたところから着想を得たいと考えています。ゲームデザインの面ではほかのゲームを参考にすることが多くありますが、アーティストには、アートの参考として絶対にほかのビデオゲームを見ないよう、意識的に伝えています。

ほかのゲームに似たものになっていくのを避けたいからです。もう少し遠くに目を向けて、別のものからインスピレーションを得たい。そうすることで、独自性があり、ひと目で私たちの作品だとわかるような表現にたどり着ければと考えています。

モールドは、取り組んでいてとても楽しい題材でした。物語の設定上、甘い匂いを放ち、人に食べたいと思わせる存在なんです。そこで「おいしそうなものには何があるだろう」「どのような見た目で、どのような音がするだろう」と考えるところから始めました。

ただ、参考にしたのは食べ物だけではありません。顕微鏡で見るような、小さなスケールのものにも目を向けています。たとえば、電子顕微鏡で撮影したがん細胞の画像は、とても興味深いんです。そうしたものが、モールドの毒々しい部分の表現につながっています。

――本作では、万華鏡のようなエフェクトや幾何学的な模様も印象的です。こうした表現や、『Resonant』というタイトルには、どのような意味が込められているのでしょうか。

Elmeri氏:
物語のネタバレにならないよう、気をつけてお話ししないといけませんね(笑)

たとえば、前作のヒスは、異世界からの「共鳴」です。音を発したり、共鳴したりするものですね。英語では、共鳴するものを「resonant」と表現します。タイトルはそこから来ています。

そして、万華鏡のようなエフェクトで表現される新たな脅威については、「サイマティクス」を参考にしました。水や砂を載せた板に音の振動を与えると、その周波数に応じてさまざまな幾何学模様が生まれる現象です。現実に存在する共鳴を、ビジュアルの着想源にしているわけです。

こうした素材の一部はデジタルのエフェクトではなく、実際にスタジオで撮影しています。サイマティクスに関しては、粘り気のある液体をボウルに入れ、そこに音を与えます。それを上から、万華鏡のような効果を生むレンズを通して撮影しています。

――コンテンツ制作における、生成AIの使用についても教えてください。

Elmeri氏:
明確にお伝えしたいのは、『CONTROL Resonant』には生成AIによるコンテンツが一切含まれていないということです。ゲームに収録するひとつひとつのコンテンツは、すべてアーティストやデザイナーが自分たちの手で制作しています。本作で生成AIは使用していません。

――前作の象徴的なダンジョンである「灰皿の迷路」はファンの記憶に強く残る場面でしたが、本作でもあのような体験を生み出すことへのプレッシャーはありますか。

Elmeri氏:
もちろんあります。ただ、良い意味でのプレッシャーです。「灰皿の迷路」をもともと設計したデザイナーは、今作でもリードレベルデザイナーを務めています。

『CONTROL』

なので今回も、記憶に残るようなひときわ印象的な場面をいくつも計画しています。ただ、そうしたものはご自身で体験していただくのが一番です。ネタバレはしたくありませんが、用意しているということはお伝えできます。

――ありがとうございました。

『CONTROL Resonant』はPC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに9月24日に発売予定。

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Yusuke Sonta
Yusuke Sonta

『Fallout 3』で海外ゲームに出会いました。自由度高めで世界観にどっぷり浸れるゲームを探して日々ウェイストランドをさまよっています。

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