1981年に第1作目がリリースされ、今でも「コンピューターRPGの原点」の1つとして数えられる『ウィザードリィ』。パーティーを組みダンジョンに潜っていくというダンジョンRPGの金字塔だ。それから姿かたちを変え、『ウィザードリィ』の系譜は脈々と受け継がれる。そして2024年、その最新作である『Wizardry Variants Daphne(ウィザードリィ ヴァリアンツ ダフネ)』がiOS/Android向けに10月にリリースされる。

しかしながら、その最新作には『ウィザードリィ』らしさは受け継がれているのか、疑問に思う人はいるだろう。なにせ基本プレイ無料で、スマホ向け、縦持ちの、過去作とは一線を画す『ウィザードリィ』だからだ。その疑いも無理はない。というか、そもそも『ウィザードリィ』らしさとはなんだろうか?

今回は、かねてから『ウィザードリィ』をはじめとする3DダンジョンRPGに詳しいゲームライターのずんこ。氏 が自身のブログで『Wizardry Variants Daphne』のCBTについて、丁寧に褒めていたことをきっかけに企画を立ち上げ 。編集部チーム内にいる、『Wizardry Variants Daphne』懐疑的派のスタッフなど古参『ウィザードリィ』ファン複数人を聞き手として、改めて『ウィザードリィ』らしさとは何かを語らい、それが『Wizardry Variants Daphne』に活かされているかを、インタビュー形式で語り合った。

なお本文中にも記載があるが、ずんこ。氏から語られる本作における情報は、同氏がプレイしたCBTに準拠したものとなる。製品版とは異なる可能性もあるので、留意して読み進めてほしい。

――本日はよろしくお願いします。

ずんこ。:
よろしくお願いします。

――まずは本座談会についてのきっかけを話させてください。10月に 『Wizardry Variants Daphne』(以下、『ウィズダフネ』)がリリースされます。実は自分は、ずんこ。さんが褒めていたから気になっていました。 面白かったですか? 具体的にどこが良かった、というのはありますか?

ずんこ。:
面白かったです。『ウィザードリィ』らしさと遊びやすさのバランスが良い。これに尽きます。

―― そもそも『ウィザードリィ』らしさってなんだと思いますか?

ずんこ。:
自分にとっては、 歯ごたえのある難易度です。『ウィザードリィ』は主観視点で周囲の状況はよく見えないという不安の中、一歩一歩未踏破の領域へと足を踏み入れていき、暗い迷宮の中で出会った敵と死闘を繰り広げ、時にはパーティが半壊しつつも手に入れた報酬と安全な場所まで戻って生き延びられたことに一喜一憂し、そして冒険の中で成長していくキャラクターたちの成長を見守り、さらに深い領域に潜っていく……という、絶妙な緊張感が漂う冒険の感覚がシリーズを通してあるのではないかと思っています。

――それが『ウィズ ダフネ』にはあったと。

ずんこ。:
はい。正直に言って、『ウィザードリィ』の再度のスマートフォン進出に不安がなかったわけではなかったんですよ。『戦乱の魔塔』(2013年サービス開始、2015年サービス終了)はリリース当時ですらもはや古臭い「ポチポチゲー」でしたし、『スキーマ』(2014年サービス開始、2017年サービス終了)はコンセプトは面白かったんですがゲームの通信全般が重くて遊ぶのがつらいゲームでした。『ウィズローグ』(2014年サービス開始、2015年サービス終了)もローグライクとしてはそれなりに面白くはあったのですが、諸事情で短期終了したのが悔やまれるゲームでした。

という訳で、今回の『ウィズダフネ』も「まあまあ遊べればいいかな」程度でクローズドベータテストを触ってみたんですが……『ウィザードリィ』伝統の3Dダンジョンを6人パーティで探索する……という点をしっかりと踏襲し、なおかつ、しっかりとした「歯ごたえのある難易度」に仕上がっている。まさに自分が「ウィザードリィらしさ」だと思っている部分を見事に突いてきた!と、触ってすぐにすっかり虜にされてましたね。

ただ全体的にいうと「歯ごたえのある難易度」という感じなのですが、それだけではないですよ。そうしたらしさがありつつ、 それをスマートフォンでしっかりと実現している点と、きちんとスマホに合わせた操作性が実現されている点が良かったんです。ただ、『ウィザードリィ』らしさの説明って、説明するの結構難しいんですよね。諸々質問いただければ、それに答えるかたちで、その『ウィザードリィ』の魅力を言語化できればと思っています。

――なるほど。

『ウィザードリィ』らしさは何で、『ウィズダフネ』 にそれはあるのか?


――ではここまでの話を前提に、『ウィズダフネ』を紐解いていきましょう。自分の考える『ウィザードリィ』らしいところとしては、 キャラクターメイキングを行ってダンジョンに潜る……という流れです。これってひとつのらしさですよね。

ずんこ。:
わかります。キャラクターメイキング、重要ですよね。『ウィズダフネ』にもあります。 ただし本作で今回キャラクターメイキングができるのは、プレイヤーの分身である主人公だけになります。この明確に主人公が存在するという点と、キャラクターメイキングが主人公だけというのは『ウィズダフネ』が今までのシリーズと明らかに違ってる点ですね。

―― ほかのパーティメンバーはどのように揃えていくんですか?

ずんこ。:
ゲームを進めると街中やダンジョン内で冒険者の骨を拾う事が出来まして。で、冒険者の骨を拠点で蘇生させると冒険者として登録させることができます。生き返った冒険者は独自の名前・能力・職業・性格・外見を持っていて、性格・外見はカスタマイズできませんが、名前変更と能力値のボーナスポイントの割り振りはできます。こうして生き返らせた冒険者で6人パーティーを組む形になります。

――性格は『ウィザードリィ』でお馴染みの善・中立・悪をちゃんと踏襲していますか?

ずんこ。:
はい。ただ、今回は善悪混合パーティーが普通に組めます。この辺、今どきの多様性重視の流れを組んでるのかな、と。

――それでは、善・中立・悪の性格は今回どういった部分で使われてるんでしょうか。

ずんこ。:
冒険者の骨を集めて、冒険者の数を増やしていくとパーティーに入れないメンバーが出てくるようになるんですけど、そういった余りメンバー向けに「派遣依頼」を受注できるようになります。この派遣依頼はスマホのRPGではよくある「遠征」のようなもので、出発するメンバーを選んで出撃させて、リアルで数時間経過後にクエストの結果が帰ってくるというものなんですが、ここで善と悪のメンバーを混ぜてしまうと、仲違いしてクエストが失敗する可能性があるみたいです。

――冒険者の骨はどうやって入手するのでしょうか。


ずんこ。:
序盤では拠点やダンジョンの浅い部分で手に入ったりするんですけど、最終的には「課金ガチャ」ですね。本作には課金石専用ショップがあって、そこで冒険者の骨が10本セットで売っていて10連ガチャ、というかたちでした。

――そうした部分に、課金が出てくるんですね。復活させた冒険者はがっちりキャラクター性が決まってるんでしょうか 。

ずんこ。:
ほとんどの冒険者は前述した通りしっかりキャラクター性が固まってますが、ときどきデフォルト名が「名もなき人間戦士」みたいなモブ感あふれるキャラクターが出てくることもあります(笑)

――なるほど。パーティーの編成自体は今までの『ウィザードリィ』と同じく6人編成なんでしょうか。

ずんこ。:
そうですね。このへんも『ウィザードリィ』らしさかなと。主人公1人が必ず固定で、残り5人を冒険者から選んで、前衛3人・後衛3人を編成して、前衛は物理攻撃中心で、後衛は弓や魔法で攻撃するという、このあたりは昔ながらの『ウィザードリィ』っぽい感じですね。

―― あ、たしかにイメージとしては自分の『ウィザードリィ』っぽさと一致します。

ちなみに「騎士」なんかは昔の『ウィザードリィ』にはなかった職業ですけど、これはいわゆるタンク系の職業なんでしょうか。


ずんこ。:
そうですね。昨今の3DダンジョンRPGだとよくある「挑発」やHP自動回復スキルを備えた味方を守る系統の職業です。

――「盗賊」は後衛組なんでしょうか。


ずんこ。:
盗賊は弓矢を持たせれば後衛から、短剣を持たせれば前衛からとどっちも行ける感じでしたね。

――パーティー構成は、前衛は戦士戦士騎士、後衛に盗賊僧侶魔法使いが安定しそうな気がします。楽しそうですね。

ずんこ。 :
自分もそのパーティー構成でプレイしましたけど、短剣も結構強いので盗賊前衛でも行けそうな感じでもありましたね。『ウィザードリィ8』では盗賊が前衛アタッカーとしてすごく強いんですが、そのあたりもちょっと反映してそうな感じがあります。

懐かし要素にちょっとトキめく

――過去作っぽいと聞くとちょっと興味が出そうです。ちなみに魔法使いは、今回どんな感じなんでしょう、呪文名は最近の『ウィザードリィ』みたいに英単語の魔法ですかね?


ずんこ。 :
今回の呪文名は「ハリト」「ディオス」といった、いわゆる旧ウィザードリィの呪文名が使われてます。

――懐かしいワードですね。

ずんこ。:
(笑)それに加えて、似たような名前のオリジナル呪文もいくつかありましたね。但し今回は「ダルト」が「ハリト」の上位呪文という形ではなくて、火属性攻撃魔法なら「ハリト」「マハリト」 といった感じで属性の違いのみを表してる感じです。

――属性で敵の弱点を突くのが重要になると。今回の呪文回数システムはどうなっていますか。

ずんこ。:
今回は昔の『ウィザードリィ』のようなレベル別回数制ではなくて、普通にマジックポイント(MP)を消費して魔法を放つ一般的なRPGに近い形になってます。また戦士や盗賊といった職業にもスキルポイント(SP)が用意されていて、これを使って強化攻撃を放つ形になってます。

――ちなみにダンジョンの形状はどんな感じなんでしょう?昔の『ウィザードリィ』では20×20の正方形のダンジョンでしたが。

ずんこ。:
今回は巨大な不定形ダンジョンが広がっています。地上からダンジョンへ向かう入り口の道こそ細長いほぼ一本道なんですけど、潜っていくにつれて少しずつ複雑に、かつ不定形な感じで広くなっていく感じです。


――なるほど。ではマッピングは?

ずんこ。:
一度歩いた地点や階段やイベントの位置などがすべて記録される、優秀なオートマッピングが採用されていて、いつでも画面上部で確認できます。マップをタッチするとフロア全体マップに拡大されて、さらにその全体マップ画面で行きたい位置をタッチすると自動的にそこまで移動してくれるという、オートナビゲート機能まで搭載されてます。ファストトラベルではないので敵との遭遇や罠の位置には気を付ける必要がありますけれどもね。

――地上(拠点)の概念はありますか?

ずんこ。:
ありますよ。拠点となる街では宿屋や道具屋や寺院、鍛冶屋にワンタッチでアクセスできるようになってます。

――ちなみに『ウィザードリィ』といえば馬小屋ですが、そこは外してないですか?

ずんこ。:
ちゃんとありますよ!今回の馬小屋は無料でHP・MP・SPすべてが全回復する、シリーズ最強の馬小屋です。(『ウィザードリィ』シリーズでは宿泊料無料の宿屋に泊まり、魔力のみを回復してHPは魔法で回復するのが一種の伝統)

――ほほう。

ずんこ。:
ただ、今回キャラクターのパラメーターに「メンタル」というものがありまして、これはダンジョン内のトラップに引っかかったりすると下がっていくんですけど、馬小屋に泊まることもメンタル悪化要素の1つなんですね。メンタルが一定値を切ってしまうとキャラクターの能力が引き出せなくなるうえに、メンタルの回復にはリアルの時間が必要なので、冒険に慣れてくるとあまり馬小屋に泊まりたくない。

――メリットだけでなくデメリットもあると。でもやっぱり、『ウィザードリィ』ファンとしては馬小屋に泊っときたいですよね。

ずんこ。:
ゲームの進行上序盤はなかなかお金が溜まらないので、しばらくは充分にお世話になるかと思います(笑)

――そうして体力を回復して、再度冒険に行って、敵と戦いながら地下に潜ってアイテムを探して……というダンジョンクローラーというところは相変わらずだと。

ずんこ。:
そうですね。そのあたりはまさしく『ウィザードリィ』といった感じです。

難易度はヌルくない

――『ウィザードリィ』らしさがぼちぼちあるのはわかりました。ただ、難易度はちょっと懸念あります。

ずんこ。:
結構高いんですよ、これが。さすがに昔の『ウィザードリィ』のように先制でブレス吐かれて全滅……みたいな理不尽な全滅とかはないですが、スマートフォンのRPGとしては難易度高めかなと。


スマートフォンのRPGだとオートバトルでダンジョンを自動で何回も周回するみたいなレベリングがありますが、今回の『ウィズダフネ』は毎回の戦闘で敵構成をきちんと確認して、「先にこの敵を倒しとかないと危ない」とか、「きちんと防御スキルをかけていかないと苦しい」とかを判断していかないと先に進むのが難しい感じですね。

――全体攻撃魔法持ちから片付けていく、みたいな。

ずんこ。:
まさしくゴブリンの群れにマジシャンが混じってたら、「こいつから潰しとかないとヤバい!」といった感じですね。

――オートバトル自体はあるんですか?

ずんこ。:
オートバトル機能はありますけど、よほど余裕で倒せる敵でもない限りは使うのが難しいですね。

――一戦一戦考えて戦っていかねばならない、オートバトルも一筋縄でいかないのは 『ウィザードリィ』らしいですね。宝箱なんかはどうなってるんでしょうか。


ずんこ。:
敵からの宝箱ドロップ自体はありますが、今までの『ウィザードリィ』のように特定の部屋の敵を倒すと確実に出るといった形ではなく、敵を倒すとたまにドロップする、もしくはダンジョンにぽつんと置かれているといった形です。開ける際も今までの『ウィザードリィ』のように「どの罠が仕掛けられているか?」を選択する形ではなく、左右に高速移動するマーカーを当たり範囲内で止めるというゴルフゲーム風のミニゲームになってますね。上手く当たり範囲内で止められればそのまま罠解除してアイテム入手、失敗すると罠が暴発といった感じです。

――その仕様、ちょっと苦手かもしれません。

ずんこ。:
そうですね。目押ししても押した後にマーカーはズレるんで、なかなか思った位置で止まってくれない。また、盗賊のレベルが低かったりすると当たり範囲が恐ろしく狭い。個人的に難しすぎないかな?という感じはあったんですけど、『ウィズ ダフネ』の公式Xアカウントでこのあたりは「改善予定」とされていたので、正式配信ではそれなりに緩和されるんじゃないかな……とは思ってます。

――宝箱の中身はゴールドや武器とか装備品とかですか。

ずんこ。:
そうですね。「鉄の剣」といった普通の武器も手に入ることがあるし、たまに「ガラクタ」を拾うことがあります。この「ガラクタ」を拠点に持って帰って修理すると、凄いアイテムになる「こともある」。


――「こともある」(笑)

ずんこ。:
「こともある」のがポイントですね(笑)ガラクタを期待して持って帰ったらショボい木の剣だった……ということもある。もちろんガラクタを修復した「鉄の剣」でも「腕力+1」や「HP+5」など多数の付与効果が付いていて、名前が同じ武器でも非常に強力だ……ということもあります。このあたりはいわゆる「ハックアンドスラッシュ」してるんじゃないかなあ、という感じです。

――同じ剣でもストレングス補正やダメージ補正が違うと。

ずんこ。:
そんな感じです。さらに今回は鍛冶屋で武器を強化できて、+5まで強化するとさらに能力が付くようになってます。もともと強力な武器にさらに能力が加わる形になるので、強化はかなり重要そうな印象でした。

――そのへんはスマートフォンゲームでよくある、「雑な武器を一杯合成したら強くなる」といった感じですかね。

ずんこ。:
あくまでCBTの時点の『ウィズ ダフネ』では、武器の強化にかかるのはお金だけでした。「雑な武器は一括換金してそのお金で厳選した武器を鍛える」という形になりますかね。ただしここらへんは調整が入ると予想しています。

――「カシナートの剣」(『ウィザードリィ』シリーズ伝統の強力な武器)みたいな名前付きの武器なんかはあったりするんですかね?

ずんこ。:
今回は最初のダンジョンということもあってさすがにカシナートは見ませんでしたが、「旋風の剣」といった風属性付きの特殊な武器は見ました。きっとそのうち「カシナートの剣」も出てくるんじゃないかと思います。

――『ウィザードリィ』で特徴的なことと言えば「キャラクターロスト」がありますが、この辺りどうなんでしょう。

ずんこ。:
自分は前回のベータテストで蘇生失敗や灰には出くわさなかったのですが、一応システムとしてはあるようです。

おそらく課金アイテムでそこからの蘇生を100%にできる仕組みは用意されるんじゃないかなとは思います。あと厳密にはキャラクターロストではないですが、同じ冒険者が被ったときに片方のキャラクターを犠牲にしてもう片方の能力を伸ばす「克己」や、他の冒険者に自分のスキルを譲渡して、譲渡したキャラクターは消える「スキル継承」といったシステムはあったかと思います。

――なるほど。

まだまだ疑問点を投げる

――ちなみに今どきのスマートフォンゲームは、たとえばデイリークエストを周回して、そのまま通常のシナリオをクリアして……といったルーチンワークみたいなところがあったりしますが、『ウィズダフネ』はそのあたりはどうなっていますか。

ずんこ。:
一応デイリー依頼のようなものはありますね。ただこれはオートバトルで蹴散らせるようなザコを倒してくれ、であったりと、さほど負担にならないものでした。後は先ほどお話した派遣依頼で、余っているメンバーを依頼に出して、一定時間経過してクエストを達成するとそのメンバーに経験値が入りつつ資金も得られる仕組みです。

――2軍3軍も育てて、運が良ければアイテムも手に入ると。可処分時間には優しいかもしれませんね。今回キャラクターを育てていくうえで、レベル上限はあるんですか?

ずんこ。:
今回のキャラクターたちは基本的に冒険者になったばかりで、冒険者としては何も実績がない「無等級」という扱いなんです。なので冒険者として認められないままではいくら経験値を積んでも一定以上のレベルを上げられないレベルキャップとなっています。ギルドで試験を受けて「銅等級」、「銀等級」といった冒険者としての名声を高めることに成功すれば、それに従ってレベルキャップが解放されていくという仕組みです。

――本作には物語性はあるんですか?

ずんこ。:
物語性は本当に、もうビックリするくらいあります!前回のベータテストでも今回のインタビューでもネタバレ緘口令がしっかり敷かれるくらいなので、そこは察して頂ければ(笑)


――個人的にはダンジョンRPGっていうのはシナリオとは相性良くないと思ってます。

ずんこ。:
『ウィズダフネ』は本当にストーリーが気合入っていて、「え、こんな展開になるの!?」っていうような衝撃の展開が待ち受けているので、サービスが始まったら見てもらえればなと思います。本当にビックリします。それと、主観視点のまま場面が転換していくので、ダンジョン探索とストーリーが地続きであると感じられますし、見てるだけのカットシーンも少なめです。シナリオだけでなく演出面含めて工夫は感じられました。

―― トレイラーを見ても敵がアニメーション演出でガンガン動いてた印象で、テンポが悪くなりそうだなと。

ずんこ。:
戦闘の速度は調整できるので、あまりテンポの悪さは感じなかったですね。スキップまではいきませんが、かなりテンポよく戦闘することができます。

―― モンスターの数は少なくないですか?

ずんこ。:
いえ、バリエーション豊富な感じです。ゴブリンにしても単純に殴ってくるやつから弓を打ってくるやつ、魔法を撃ってくるやつ、デカいホブゴブリンみたいなやつもいて、ゴブリンだけでもバリエーションが結構ありました。


多くの種類のゴブリンが群れで現れると結構厄介で、「ゴブリンスレイヤー」ほどではないにしろ、駆け出しの冒険者にとってゴブリンは厄介な魔物だ……と改めて思わされた感じです。ゴブリンだけでなくバブリースライムなんかもいましたね。

――ちなみにそういうモンスターは ファミコン版のモンスターデザインを担当した末弥純氏のデザインに準拠してる感じですか。

ずんこ。:
そうですね。そのあたりは、CBT時点では準拠している印象でした。

――おお~。ボーパルバニー(『ウィザードリィ』シリーズ伝統、冒険者の首を一撃で飛ばすことで恐れられるウサギのモンスター)みたいなのもいましたね。

ずんこ。:
いましたね。ただ自分はボーパルバニーを見たら即集中攻撃で潰していたので、幸いボーパルバニーには首を刎ねられてないんですよね。

――ちなみに、さすがに首跳ねられた時にはアニメーションはないですよね?

ずんこ。:
あ、それはありました。

――ええ!?

ずんこ。:
別の敵に首を刎ねられた時に、そのキャラクターの視点になって、敵の攻撃と同時に一気に視点が変わり、頭が床にポトンと落下することを彷彿とさせる演出がありました。


――ちょっと興味が出てきました。

ずんこ。:
ただ今回は『ウィズダフネ』オリジナルのモンスターもかなり目立つ感があって。「エント」というと普通のRPGだと木のモンスターなんですけど、『ウィズ ダフネ』では死体を継ぎはぎして鉈を持った力士のようなグロいモンスターだったりして。いろんなアレンジが加えられています。

スマートフォンで『ウィザードリィ』なんて、と思う人へ


――こうしていろいろ訊いてみると、『ウィザードリィ』の魅力といえば、戦闘や探索のヒリつき、殺伐とした世界観、パーティー編成、独特のデザインなど、多岐にわたりますね。それらは新作ゲーム『ウィズダフネ』でも踏襲されているのは、見えてきました。

正直に言うと、 『ウィザードリィ』を知ってる人たちの中に「スマートフォンゲームって何やねん?」と思っている人たちが少なくないと思うんですね。自分たちもその一人で。

ずんこ。:
わかります。

――『ウィザードリィ』がスマートフォンゲームになると聞いて「大丈夫か?」となっている人も多そうですが、改めてその辺についてはどう思いますか?

ずんこ。:
これはもう自分が自信をもって「大丈夫だ!」と言えるレベルですね。もう本当に「スマートフォンゲームに不安を感じている」という人ほど遊んでほしい!という思いがあります。繰り返すようですが、『ウィザードリィ』的要素がちゃんと揃っていて、それでいて遊びやすい。自分がスマートフォンゲームに抵抗感がなかったというのも関係してそうですが、本当に遊びやすいんです。

――タッチパネルオンリーのスマートフォンだと操作しにくそうなのが心配で。

ずんこ。:
スマートフォンの指を置いた位置にいわゆるバーチャルパッドが出てきて、前進後退や左右の方向転換ができます。それとは別に画面左右にカニ歩き用のボタンが配置されてます。実際触れてみるとこれはこれでかなりテンポよく操作できますよ。

―― この企画は、ずんこ。さんの『ウィザードリィ』愛や『ウィズダフネ』愛から始まったものですが、改めて一生懸命いろいろ説明してもらうと、プロダクトについても信じて良い気がします。

ずんこ。:
だと嬉しいです。ぜひ一緒に『ウィザードリィ』や『ウィズダフネ』を楽しみましょう。

――ありがとうございました。

Wizardry Variants Daphne』は、10月にiOS/Android向けに基本プレイ無料でリリース予定だ。のちにSteamでもリリースされる。なお弊誌では『Wizardry Variants Daphne』を、レビュー動画でもお伝えする予定だ。弊誌公式Xにてレビュー動画で検証するポイントを募集するため、気になる方はぜひチェックしてほしい。