Behavior Interactiveが手がける『Dead by Daylight』でディレクターを務めるマシュー・コート氏が、東京ゲームショウ2019(以下、TGS)の日程に合わせて来日した。今回『Dead by Daylight』のTGSへの出展はないが、同じ日程で発売を目前に控えていたNintendo Switch版『Dead by Daylight』の試遊体験会、そしてファンのためのコミュニティイベントが開催された。その中、AUTOMATONはマシュー氏にインタビューを行ない、今後の展望について訊いた。なお、本稿ではコミュニティイベントの様子や雰囲気もお見せしたいため、要所要所に会場の様子などの写真を差し込んでいる。そちらも併せて楽しんでほしい。

※ コミュニティイベント当日のマシュー氏のツイート

 

ドラマ「Stranger Things」とのコラボがもたらした影響

───本日はよろしくお願いいたします。「Stranger Things」とのコラボも行われた『Dead by Daylight』ですが、開発 チームの体制は、昨年同時期と比べてどのように変化しましたか。(AUTOMATONでは昨年の同時期にもインタビューを行なっていた背景がある)

マシュー氏:
開発チーム自体に大きな変更はありませんでした。しかし、Netflixさんがこれまで私たちがコラボしてきた作品の中でも最も刺激的で良いパートナーとして関わってくれました。彼らはゲームが大好きで、私たちがやりたいと思っていることを理解し、そして「Stranger Things」は非常に大きなライセンスだということにも関わらず、私たちとコラボしてくれることを承諾してくれました。これがこの1年でもっとも大きかった変化と言えるでしょう。

───そうすると、また別のタイトルでNetflixとコラボする可能性もありますか。

マシュー氏:
そのチャンスはあると思います。彼らは素晴らしいタイトルを数多く持っていますし、私たちは今回のコラボで友好関係を築くことが出来ました。私たちがゲームの中で「Stranger Things」をどのように表現したかという結果に、満足してもらえたからです。期待していてください。

イベントではリリース前の「Stranger Things」コンテンツを使った対戦会が行われた
鎖に繋がれたデモゴルゴンのスキンはこのイベントが初出しだったそう

今後のプラットフォームの展開

───9月26日にNintendo Switch版『Dead by Daylight公式日本版』、そして2019年内にモバイル版がリリースされますが、マシューさんがそれに期待することはなんでしょうか。

マシュー氏:
新しく『Dead by Daylight』の世界に入ってくる人が多くなるので、コミュニティにそういった意味で多少変化が表れると思います。新しいユーザーが増えるということは、私たちのゲームが、そしてコミュニティが豊かになることだと思うので、それはとても素晴らしいことです。モバイルに関しては、これまでとは種類の異なるユーザーが現れる世界なので、コンシューマとは変わるところもあるかと思いますが、Nintendo Switchはこれまでのプラットフォーム(PC/PS4)と似ているところがあるので、大きく差はないと思っています。

少し困った顔をするマシュー氏

───プラットフォームが増えることで気になる1つの要素として、クロスプラットフォームが対応するかどうかという点がありますが、以前マシューさんは『Dead by Daylight』に導入することについて前向きに捉えている発言をされています。こちらに進展はありましたでしょうか。また、仮にクロスプラットフォームが実装される場合、全てのプラットフォームが同時に対応するようになりますか。もしくはPS4とPCのみから始まり、徐々に他のプラットフォームも対応するようになりますか。

マシュー氏:
クロスプラットフォームは凄く重要なことだと思いますし、本当に多くの人がリクエストし、ゲームにとっても良いことだと認識しています。ただ、現在発表できることは何もないため、答えられません。

 

専用サーバーによって変わるマッチング

───専用サーバーがチャプター13「Stranger Things」と同じタイミングか近い時期に実装されると発表されていますが、先日行なったPTBでどのような結果が得られましたか。個人的には、時間帯によるところもあると思いますが、キラーが悪いpingの部屋に入る機会が多くなり、サバイバーで普段やっているような部屋の厳選をする必要が出てきたことが、従来のマッチ方法よりもストレスを感じる仕様だと感じました。

マシュー氏:
PTBを経て、専用サーバーが全体的には機能していたことが分かりました。サーバーの接続先がキラーから変わるということは、以前と比べてキラー側に前よりも遅延が発生する可能性はあると思います。ただ、ユーザー全体にとっての体験としてはもっと良くなると思っています。しかしおっしゃる通り、PTBによっていくつかの解決しなくてはいけない問題も確かに生まれています。そういった問題はリリース前に取り組み、テストを重ねてからリリースしたいと思っています。

(9月29日時点では、PC/PS4版では専用サーバーのリリースは見送られたが、Nintendo Switch版では先行してリリースされている)

───専用サーバーの今後のアップデート、改善項目について何か決まっていることはありますか。

マシュー氏:
私は技術的な詳細は分からないので、改善項目についてすべてを把握はしていませんが、今後もテストを重ねていくつもりではあります。そしてテストを通じて、全体的に改善されてきたなと思っていただけたタイミングが、専用サーバーのリリースを発表できるタイミングなのかなと思います。
また、私たちは透明性を高く保つということを重視しているので、SNSやTwitterなどをご覧いただければ全ての情報を確認できると思います。

 

日本向けコミュニティイベント開催の理由

───今回TGSに出展しなかった理由はなんでしょうか。さまざまなコスプレイベントではほぼ毎回と言っていいほど、DbDのコスプレを見かける程度には日本の『DbD』ファンは多いです。そのため、出展を楽しみにしていたファンも多かったと思われます。

マシュー氏:
これは私たちの経験から生まれる考えかもしれませんが、私たちはもっとユーザーに近い場所で接点を持ちたいと考えていて、気軽に私や開発チームと連絡が取れる体制でやりたいと考えています。TGSは大きなイベントで、また多くの人の目につき、それはそれで素晴らしいものではありますが、非常にうるさいため訪れたユーザーと会話をしづらい環境になってしまいます。そういった理由から、今回は同じ日程でファン向けのコミュニティイベントを開催するといった形にしました。『Dead by Daylight』はうるさい環境には向かないゲームということもありますね。

───コミュニティイベントは実際どうでしたか。

対戦会で“これはFriendly matchだ”と念押しをしておきながらメメント・モリを持ち込むマシュー氏

マシュー氏:
ファンの皆さんは本当にクレイジーでした(笑)。皆さんの情熱と愛をすごく感じられて、本当に私たち開発チームは皆さんのことを尊敬しないといけないと思います。このファンのためのプライベートなイベントを開催できて良かったと思っています。

 

今後の日本展開について

───爆発的に『DbD』の日本ユーザーが増えた昨年のチャプター「断絶した血脈」からもう1年が経とうとしていますが、現在の日本のユーザーはプラットフォームごとにどのくらいいますか。

マシュー氏:
具体的な数字は分からないですが、本当にたくさんいるとしか答えられないです。世界の国々の中でもトップの方だし、アクティブユーザー的にもかなり上の方で、コミュニティもすごくゲームを大事にしてくれています。

───では、日本以外の国で同じくらい盛り上がっている国はどこでしょうか。

マシュー氏:
どこもないです、日本が一番と言えるでしょう。あ、いや、強いて言うなら僕らがいるオフィスかな(笑)。

───(笑)。先日Redditで行われたコミュニティとの質疑応答で「日本ユーザーはキラーよりもサバイバーで遊んでいるユーザーが非常に多い傾向にある」とありましたが、比で表すと大体どれくらいの割合になりますか。

マシュー氏:
これも具体的な数字は持っていませんが、日本のユーザーコミュニティではキラーよりサバイバーの方が多いというのは知っています。 それによって、マッチングのための時間が変わってくるという問題も認識しています。解決法はいくつかあると思っていますが、コミュニティマネージャーやマネジメントチームに取り組んでもらっているので、そこに関しては今は信頼してもらうしかありませんね。

───専用サーバーの実装に伴って、キラーが少ない日本ユーザーのマッチングが遅くなる、もしくは成立しなくなるといったことは考えられますか。

マシュー氏:
多少遅くなることはあるかもしれませんが、それほどないと思います。専用サーバーに関しては極端な待ち時間を無くすことを目的としているため、2~3分が気になるという人にとっては多少ストレスに感じるところがあるかもしれませんが、何十分も待つ必要があるとかそういったことは無くなると思います。

───全体的に平均化されるということですか。

マシュー氏:
そうです。

───Redditで行われたように、日本でAsk Me Anything(開発チームに直接質問をできるイベント)のようなことを行なうことはありますか。

マシュー氏:
そういったものをすごくやりたいと思ってはいます。先ほども申し上げましたが、プロセスに透明性を保つということを重視しているため、問題がなにかとかそれをどういう風に修正していくかといった過程を見せることに価値を感じているからです。

※ その形の1つとして9月19日に新チャプターや最新アップデートについて質問を行なえる場が設けられた

 

ボイスチャットは実装しない

───VCパーティと野良プレイヤーとの格差について進捗はいかがでしょうか。チャプター13で追加される新たなパーティ機能は素晴らしいものではありますが、ゲームバランスの面で言うとVCパーティに対してキラーは非常に不利な戦いを求められます。専用サーバーが導入されることで、相手のサバイバーがパーティかどうかの判別もつけづらくなります。このことについてどうお考えでしょうか。

マシュー氏:
そこまで大きな問題になっていないと考えています。もちろんパーティを組んで一緒に遊んだ方が楽しいという部分もあると思いますし、ソロで遊ぶこともまた違った楽しさがあると思います。私たちはゲーム内にVCを実装していませんし、今後も追加するつもりはありません。ユーザー自身がどう遊ぶかという判断に委ねたいと考えています。ただ、ソロで遊ぶユーザー向けに「絆」のような広範囲の情報を拾えるようなパークの追加をしていきたいですね。

 

e-Sportsではなくe-Showを目指したい

新コンテンツ「Stranger Things」の魅力を語るマシュー氏

───現状サバイバーもキラーも使われているパークが限定されすぎているように思います。もっと選択肢が豊富にあっても良いと感じてしまいますが、パークの見直しはどのようなタイミングで今後は行われていくのでしょうか。

マシュー氏:
パッチごとにパークの調整は行なっていく予定です。いくつかのパークが特に使用される傾向にあることは認識していますが、「Stranger Things」で新しく9つのパークが導入されるので、その中の1つか2つは使用される候補に入ると思います。「Stranger Things」以降もパッチごとの変化を楽しんでもらえればと思っています。

───「決死の一撃」というパークはリリース当初から強力なあまり議論が交わされてきたパークでありますが、何度も調整をされた結果、更に強力な効果に変貌しているように感じています。以前の開発者ノートでは、現在の効果が丁度いいものであるとされていましたが、現在もその考えはお変わりないでしょうか。

マシュー氏:
常に議論は続くと思います。ただ1つ言えることは、今の状態が必ずしも最終的なバージョンではないということです。このパークに限らず、全体のバランスは今後も変更はあると思いますし、変更があっても常に議論の対象から外れることはありません。

楽しさの重要性について語るマシュー氏

───サバイバーが4人、キラーが1人であることから考えて、強力なキラー1人にサバイバー4人で立ち向かう構図を想像してしまいがちです。しかし、パークの効果の面で考えると、「決死の一撃」「不滅」「与えられた猶予」などサバイバーがキラーの立ち回りを大きく制限できるデザインになっていると感じます。その点についてはどうお考えでしょうか。

マシュー氏:
私たちはカオスが面白いと思っていて、完全なるバランスは絶対にありえないという風に思っています。だから公式のトーナメントとかもやっていません。明確な勝利が中々ないという変わったゲームなものですから、私たちにとって重要なのは楽しいかどうか、もっと遊びたいと思ってくれるかどうかという点です。それを感じてもらえれば、それでいいと思っています。ただ、調整は継続して行うつもりです。楽しくなくなるという要素があるなら、それは修正していかなければなりません。そのための調整はこれからもやっていきますが、全てのバランスが整うということは諦めています。

───ということは、対戦ゲームではあるもののe-Sportsのようなゲームにはしていかないということでしょうか。

マシュー氏:
そうです。私たちはe-Sportsを目指しているのではなく、e-Showを目指しています。一般ユーザーはもちろん、配信者やストリーマーがこのゲームを面白いショーとして扱い、楽しんでくれることを目指しています。

別の角度から見た対戦会の様子、当日は配信者のべるくら氏も参加していた

 

コミュニティの間で不満が募るランクの査定方式

───ランクの査定方式について、以前のものと比べてコミュニティの不満が大きくなっているように感じます。たとえば、最終的には4人処刑したのにも関わらずランクのpipsは-1や+0などが起こってしまうような。現在の、フックに吊ったサバイバーをわざと救助させるような「愉快犯」を演じざるを得ない査定方式について、どうお考えでしょうか。

マシュー氏:
約束は何もできませんが、これは長らく私たちが取り組んできている大きな問題という認識はあります。この問題はゲーム全体に影響を及ぼすため、システム的な変更も必要ということもあって、簡単に修正することは難しいです。エンドゲームコラプスの実装の時もそうでした。とりあえずの変更案を出し、テストを重ねていますがまだまだ時間はかかる見込みです。

───以前の査定方式のほうが良かったというコミュニティの声もありますが、以前のものに戻したりすることは考えていますか。

マシュー氏:
戻すということはありません。変更をした結果、前の方が良かったとか前に戻りたい人もいるかもしれませんが、そういう面もあるとしつつ今後も調整は行なっていくつもりです。

───PTBについての質問です。アドオン、パークがすべて使えるような環境で行うことはできないでしょうか。live環境に影響を及ぼさないことから、ウルトラレアのアイテムやアドオンを持ち込むユーザーが多いように感じます。また、新キラーが実装されたタイミングであるなら、ユーザーはさまざまなアドオンやパークの組み合わせを試してみたいはずです。しかしその組み合わせを試すためにユーザー側が時間と労力を必要とすることには疑問を感じます。

マシュー氏:
最初から全て使えるようにしておくと、基本的なものを使わなくなってしまうため、その予定はありません。たとえば、アドオンをすべて解放してしまうと、ウルトラレアやベリーレアのアドオンは使われますが、アンコモンやコモンは使われないとかそういったことになってしまいます。色んなパターンの状況を再現してデータを収集することを目的としているため、私たちとしては普通に遊んでほしいと思っています。

───最後に、既存ユーザーに向けてメッセージをお願いします。

マシュー氏:
まずは、本当に心からの感謝を伝えたいと思います。このゲームに今後も私たちが携わっていけるのも、とても幸運だと思っていますし、これがこの先何年も続くといいと思っています。そのためにはコミュニティのサポートとかユーザーの皆さんがプレイしたいと思ってくれないと、それは叶いませんので、皆さんの声に今後も耳を傾けていきたいと思っています。

そして、今後も新しいコンテンツを毎年リリースしていきます。新しいチャプター、キャラクター、パーク、スキン、そして近日実装予定のアーカイブが実装されることでユーザーの皆さんに新しい目標とその報酬をお渡しすることができます。これらを非常に楽しみにしていて欲しいです。
ロードマップで告知してある内容に限らず、「死霊のはらわた」のアッシュのようなサプライズを今後も用意していくつもりなので楽しみにしていてください。

───ありがとうございました。

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