アソビズムは本日5月31日、『ShapeHero Factory』の体験版をSteamにて配信開始した。『ShapeHero Facroty』は、工場建設とタワーディフェンス、ローグライトの3要素を掛け合わせたタイトルだ。工場でユニットを作り、作ったユニットをタワーディフェンスに投入。勝利したらマップを進み、ランダムなレリックやユニット製造レシピを入手しながらより強大な敵へ挑んでいく。

今回、弊誌では5月31日にリリースされる体験版をいち早く入手して遊ぶ機会をいただいた。遊んだ印象としては、「面白いジャンルの美味しいところを足し算したら、もっと美味しくなったタイトル」という印象であった。チョコレートとポテトチップスを合わせたら美味しいチョコポテチが生まれるように、カレーとうどんを合わせたらカレーうどんが生まれるように、既存の面白いジャンルをかけ合わせることで新たなゲーム性を生み出している。本稿はPR記事であるが、そんな経緯関係なく本作を気に入ったし褒めたくて仕方がない。なので、本稿で『ShapeHero Facroty』の面白さが、少しでも伝われば幸いだ。


工場建設の一番美味しいところを繰り返す

『ShapeHero Factory』は、「工場建設」「タワーディフェンス」「ローグライト」という既存ジャンルの美味しいところを掛け合わせたようなタイトルだ。本作ディレクターのmamiya氏は、弊誌が以前実施したインタビューで「工場建設ゲームは工場を最初の軌道に乗せる“一口目”が一番美味しいので、その部分を何度も遊べるゲームが作りたかった」と話している。工場建設ゲームの序盤の「一番美味しいところ」を何度も遊べるよう、タワーディフェンスとローグライトの要素が盛り込まれたのが『ShapeHero Factory』なのである。

工場建設の序盤だけを気軽に何度も遊ぶ、というコンセプトを生かすために組み合わされたのが、リプレイ性の高いジャンルとして人気の高い「ローグライト(あるいはローグライク要素があるゲーム)」である。本作のローグライト要素は、ランダム性の高いノード状のマップを進んでいき、道中で得られるレシピによって工場で作れる成果物も変わってくる、というものである。先が見えているため進路の決定がしやすく、デッキ構築型ローグライトである『Slay the Spire』のマップに手触りが近い。


マップを進んで工場を強化しつつ、コンベアや設備を建設してヒーローと呼ばれるユニットを作り、タワーディフェンス型のバトルに投入することでゲームは進行していく。マップの最後には強大なボスがおり、ボスを倒して次のマップへ進むのが本作の目標となる。体験版で遊べるのは1マップ目のボス戦までだが、この範囲だけでもリプレイ性が高く、非常に遊びやすい工場建設ゲームとしてバランスが整えられていた。次項にて、それぞれのパートの特徴について紹介していこう。

工場建設パートは『Shapez』風味

本作のベースにあるのは『Factorio』のような工場建設ゲームだが、手触りがより近いのは『Factorio』フォロワータイトルである『Shapez』である。『Shapez』についてはmamiya氏がインタビューでもプレイ経験を語っており、本作を制作するにあたって影響を受けたものとみて差し支えないだろう。工場周辺にある図形は無制限に生み出せるし、図形を切断したり、インクで色を付けたりといった要素も『Shapez』にみられる特徴だ。

ほかの工場建設系タイトルでは後々になって開放されることの多い「地下コンベア」や「コンベア分配器/合流器」は最初から使用可能である。他タイトルの感覚だと「基本的な設備は使えるようになったし、これから本腰を入れて工場建設を始めるぞ」という段階から遊べるようになっているため、工場建設ゲーム自体まったく触れたことがないプレイヤーだと、始めから使える設備が多すぎると感じるかもしれない。

しかし、チュートリアルが丁寧なので初心者がとっつきにくいということはまったくく感じなかった。とはいえ、「工場建設の一番美味しいところだけ」というコンセプトを考えると、『ShapeHero Factory』は「工場建設が好きな人」に向けて作られている側面が強いように感じた。

体験版の範囲では、工場建設は拡張性を重視したゆとりあるものにするのがよいと感じた。本作はローグライトであり、開放されるレシピが周回ごとに変わってくる。どんなレシピが来てもある程度対応できるよう、設備と設備の間は広めにとっておこう。どんな工場建設ゲームにも言えることだが、後々になってコンベアを敷く場所がなくなるのが一番、序盤の自分を憎むことになるからだ。


『ShapeHero Factory』では工場建設中にランダムなレシピ追加がある都合から、工場の建設方針を転換して設備やコンベアを作り直すことも少なくない。建設にはコストが必要だが、設備類は撤去しても製造費用がまるっと返ってくる。資金面を気にせず気軽に工場を作り変えることができるため、この点は良い調整だと感じられた。

また、本作はほかの工場建設タイトルとは一味異なり、工場建設に時間制限が設けられている。一定時間が経過するとタワーディフェンスパートに移行し、これまで製造してきたユニットを投入して防衛戦をする必要があるからだ。思考が必要な建設と時限要素は一見噛み合わないように見えるが、時間経過をゆっくりにする能力もふんだんに使えるのでそこまで急かされているという感覚は生まれなかった。一時停止も使えるし、レシピやヘルプ項目などの情報確認中は、時間は経過しない。筆者はコンセプトを見た当初は「時間制限のあるなかで建設するのは……」と思っていたのだが、実際に触ってみるとその点はかなり配慮されており、ちょうど良い塩梅で調整されていたように思う。

タワーディフェンスパートはオート進行

タワーディフェンスパートでは、拠点に向かって沸いてくる敵を迎え撃つことになる。基本的に戦闘はオートで進んでいき、工場で作った成果物がどう活躍するかを確認するためのパートである。プレイヤーが介入できる点としてクリックで敵を潰す要素もあるものの、終盤になればなるほどユニットの能力が高くないとバトルが突破できないバランスに仕上げられている。とはいえ、後述するローグライト要素のなかにプレイヤーのクリック戦力を強化するものもあり、それを手に入れることができれば馬鹿にならないダメージソースになることもあった。


どんな敵が出現するかは進行するマスによって異なるので、自分の工場で生産しているユニットに合わせて相性を考え、戦う敵を選ぶ必要もあるだろう。敵の種類はマップからおおよそ確認することができるので、戦略的に進路を決定することで有利にゲームを進めることが可能だ。

工場建設ジャンルに彩りを与えるローグライト要素

『ShapeHero Factory』のキモは何と言ってもローグライト要素である。この要素を加えたことで、工場建設ジャンルのなかでも一味違った遊びをもたらしているのだ。特に「工場建設ゲームをたくさん遊んできたが、おおよそやることは同じだから飽きてきた」という方には間違いなくおすすめできる。工場建設ゲームの弱点である「1プレイが長いからダレる」「やることが大きく変わらない」という部分をローグライト要素を取り入れることによって解消したのが『ShapeHero Factory』なのだ。

まず、本作では製作機で製造できるユニットが周回ごとに異なってくる。求められるユニットが毎回異なってくるため、毎回「◯と△をどこから引っ張ってこようか……」と頭を悩ませる過程が発生するのだ。また、ユニットはツリー形式になっており、基礎となるユニットを解放することで次の段階のユニットを作成できるようになる。


体験版では限られたユニットしか製造できなかったものの、次段階のユニットレシピをどう獲得し、工場をどう拡張していくか考えるのが製品版の楽しみになってくるのだろう。筆者はこれだけでもう、体験版で要素が限られているのがもどかしくてたまらなくなってしまった。早く製品版で次の段階を遊びたい気持ちでいっぱいだ。

また、研究ツリーやレリックも周回ごとに異なってくる要素である。ユニットを強化したいのに設備強化の研究ツリーばかりが出てきて困ったり、弓兵を作っていたタイミングで弓兵強化レリックが来て両手を挙げて喜んだりと、工場建設ゲームではあまり刺激されることのない報酬系をくすぐられることになるのだ。工場を建設しているのに『Slay the Spire』と同じ種類の葛藤を味わっていることに気付いたとき、筆者は思わず舌を巻いてしまった。このゲーム、面白すぎる。

 


以上、ローグライトとタワーディフェンス要素を加えた新感覚工場建設ゲーム『ShapeHero Factory』をご紹介した。工場建設ゲームの美味しいところだけを何度も周回するため、ローグライトとタワーディフェンス要素を添えた意欲作である。本作のコンセプトをわかりやすく楽しめる体験版が、PC(Steam)向けに本日リリースされている。普通の工場建設ゲームに飽きてきた方や、サクっとコンベアを敷いて遊びたい方はぜひプレイしてみてほしい。

『ShapeHero Factory』の製品版は、2024年第3四半期リリース予定だ。

Ⓒ2023 Asobism Co., Ltd. All Rights Reserved.