Switch/PS4『Dusk Diver 酉閃町』グルメ42品攻略記。台湾・西門町を舞台としたゲームは、実際の食文化をどれほど再現しているのか?

10月24日、『Dusk Diver 酉閃町』がNintendo Switch/PlayStation 4向けに発売された。台湾の西門町を忠実に再現したゲームでもある。同作は、どれほど西門町の食文化を反映しているのか。現地に赴き食レポする。

⑪:老天禄滷味

さぁ、ここまでで全10件の店をまわってきた。一店舗30分で食べ終わったとしても、合計5時間。昼の13時から食べ歩きを開始したとして、18時。まだまだ余裕はあるが、予期せぬトラブルの発生も考えればやはりタイトな計算になる。これより先は22時という店の営業時間終了とのタイムアタック。そこで万が一に備えて、一か所、保険となる店を用意しておきたい。

Oyami Cafe前の道(武昌街二段50巷)を北上し、武昌街二段との交差点を東に曲がると、赤い看板を掲げる立派な店からビールの肴にぴったり合いそうな醤油ダレの匂いが漂ってくることに気づくはずだ。老天禄滷味は60年以上の歴史を持つ台湾風総菜の専門店。鴨や豚、牛や野菜に豆腐まで、骨の髄まで煮つけられた食材たちが、軒先狭しと山積みにされている。

西門町で遅くまで働く労働者にとって、老天禄のピリ辛滷味は家に持ち帰って食べるお総菜の定番。お総菜屋さんだけあって営業開始は9:30からと早く、持ち帰って食べても温めなおせば美味しく味わえる。余暇時間の少ない労働者にとっても、発売日までにゲーム中に出てくる料理を全部味わいたいゲーマーにとっても、スケジュールの融通の利くありがたい存在なのだ。

せっかくなので歴史に倣い、私もホテルに帰ってから晩酌のアテとしてみた。酒飲みの方は参考にしてほしい。ゲーム中で食べられる料理は「アヒルの舌」「鶏の爪」「アヒルの手羽先」の三品。どれも歩き疲れた身体に嬉しい醤油ダレの味付けが特徴だが、それぞれ肉付きと骨周りとコラーゲン量が異なる部位を煮込んでいるため、味の染み込み方が大きく異なっている。

アヒルの舌は肉付きこそ少ないが、プリプリとした舌先にタレがよく染み込み、一口でもグビグビと酒が進む。鶏の爪は骨ばっている代わりにコラーゲン量が多く、食べるのにはコツがいるが慣れてしまえば消化にも優しい。アヒルの手羽先は肉付きがしっかりしている部位のため、どこを齧っても満足感がある。ようは、全て酒に合うということだけ分かってもらえたなら問題ない。

22 アヒルの舌

23 鶏の爪

24 アヒルの手羽先

 

老天禄滷味
108台北市萬華區武昌街二段55號
https://goo.gl/maps/SmdpRx7GsrSuENPY8

 

12:鴨肉扁

ゲーム中でアヒルと称されている鴨肉は、台湾では日常的に食べられている食材の一つだ。西門町にも鴨肉の料理が食べられるレストランは多く存在するが、実はここに、(食べ歩き)初回プレイ時には絶対混乱する落とし穴がある。西門町で最も有名な「鴨肉」と名のつくレストラン、実はこの店、鴨肉の料理を一切出さない。出しているのは鵝肉の料理、鴨肉屋を名乗るガチョウ料理専門店なのだ。

老天禄滷味前の道(武昌街二段)を東に進み、中華路一段との交差点の南側に問題の店はある。瓦屋根に白い壁の落ち着いたたたずまい、木彫りの看板に深々と彫り込まれた店の名は鴨肉扁。1950年に開業して以来、台北の人々に長く愛されてきたガチョウ料理の名店だ。そのこだわりは、今もメニューはガチョウとビーフンの二種しかないことからも窺い知れるだろう。

創業当時は名前の通りアヒル料理を出していた鴨肉扁だったが、ガチョウ料理を出してみたところ人気が爆発、今では鴨肉扁を名乗りながらガチョウ料理しか出さなくなったのだという。数年前には老朽化が進んでいた店舗も改装され、若者の街の玄関口に似合ったモダンで広々とした内装の店へと生まれ変わっている。変化の速い西門町、訪問の際には必ず下調べを入念にしておこう。

ゲーム中で食べられる料理は「鵝肉米粉」「ガチョウのもも肉盛り合わせ」「ガチョウ肉の盛り合わせ」の三品。ゲーム的には三品ではあるが、ガチョウは量や部位を指定して注文するので実質的には二品か。鵝肉米粉(ガチョウ肉入りビーフン)はあっさりした塩味のスープにガチョウのエキスが染み出し、細いビーフンの一本一本にまで赤身の旨味が絡みついた飽きの来ない一杯。

ガチョウのもも肉盛り合わせ」「ガチョウ肉の盛り合わせ」もまた、この街で長く愛されてきた理由を一口で痛感させられる。塩ゆでのサッパリした味付けも飽きが来ないが、備え付けのチリソースと醤油を絡めてもまたガチョウを違った角度から楽しめる。食べ進めるうちに今度は肉の下からはショウガと香草が顔をのぞかせ、ガチョウの口直しをガチョウで出来るという完璧さだ。

食べ歩きも既に終盤。この店より先には座って食べられる店はなく、ここからホテルに帰るまで、真の意味での食べ歩きが幕を開ける。ゲーム中、主人公一行が食事をとる席は、二階に上がって奥の窓際にある。ここが最後の休憩地点だと言うわけではないが、せっかくならゲームと同じくビーフンとガチョウをゆっくりと味わい、しっかりと休息をとっておいてもらいたい。

 

25 ガチョウ肉入りビーフン

26 ガチョウのもも肉盛り合わせ
27 ガチョウ肉の盛り合わせ

 

鴨肉扁
108台北市萬華區中華路一段98之2號
https://goo.gl/maps/VSN4Q9iqXdhX1BVN9

 

⑬:継光香香鶏 西門店

ラストスパートの一店目は中華路一段を南下した先、貴方が西門町で食べ歩きを始める始点ともなった場所、西門駅6番出口前にある継光香香鶏西門店。食べ歩き開始時にはわざと入店はしなかったが、これにはルート構築上の理由がある。第一に、この店の営業時間は23:00までで他の店に比べて時間的猶予がある。そして第二に、この店もまたチキンが有名な店だということだ。

ゲーム中で食べられる料理は「ポップチキン」「にんにく味エリンギ揚げ」「金柑冬瓜茶」の三品。お分かりの通り、若干ながら二番目に行った士林豪大大雞排とメニューが被るところがある。訪問順の前後は「せっかくなら時間をおいて食べた方がどちらも美味しく食べられる」という狙いからだが、貴方が続けて二つ食べても良いのなら時間はさらに短縮できるだろう。

ポップチキン(香香鶏)とは台湾風の唐揚げ。その場で揚げるアツアツの唐揚げは、幾つもの香料につけこまれた鶏肉が、仕上げに衣の上からチリパウダーがまぶされた状態で提供される。揚げたての油から漂うスパイシーな香りはとにかく食欲を刺激し、もしかすると何割かの人は既に、西門駅についた段階で攻略手順を無視して「買わされて」しまっているかもしれない。

にんにく味エリンギ揚げ」と「金柑冬瓜茶」については少し注意が必要だ。まずにんにく味エリンギ揚げについては、来店の時間が遅すぎると売り切れてしまっている可能性があるということ。そして金柑冬瓜茶についてはメニューに存在しない季節もあるということ。筆者も金柑冬瓜茶を頼めず、代わりと言ってはなんだがビールを注文した、私的な注文ではないのでご容赦いただきたい。

28 ポップチキン
29 にんにく味エリンギ揚げ

30 金柑冬瓜茶
※販売終了のため代わりにビール購入

 

継光香香鶏西門店
108台北市萬華區漢中街121之1號
https://goo.gl/maps/okK7kDwf1aCBN72y8

つづく
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Kousaku Akano
Kousaku Akano

兼業作家。毎日呷るように酒を飲んでいるので、毎日その日の酒にあったゲームを遊んでいる。酒ならなんでも呑むので、結果としてゲームもなんでも遊ぶ。

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