『バイオハザード レクイエム』で視点切替できるのは、「『7』が怖すぎてプレイ不能な人もいた」から。“無理”なときはTPS視点に

『バイオハザード レクイエム』でFPS・TPS視点の切替機能が用意された背景には、『バイオハザード7』における「怖すぎてプレイできない」といったフィードバックがあるという。

バイオハザード レクイエム』で一人称視点と三人称視点の切替機能が用意された背景には、『バイオハザード7 レジデントイービル』(以下、バイオハザード7)における一部のユーザー反応があったという。同作では「怖すぎてプレイできない」といったフィードバックがあったようだ。

『バイオハザード レクイエム』は、サバイバルホラーゲーム『バイオハザード』シリーズの最新作だ。PC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに2026年2月27日に発売予定。本作の舞台となるのは、政府による“滅菌作戦”で爆破された合衆国中西部の都市「ラクーンシティ」。主人公のグレース・アッシュクロフトは、原因不明の病気による犠牲者について調査を進めるFBI職員だ。調査の中で彼女は、母であるアリッサが8年前に死亡したレンウッドホテルを訪れ、過去と向きあうことになる(関連記事)。

『バイオハザード レクイエム』ではグラフィック表現の進化も持ち味になるそうで、瞳の輝き、微細な毛穴や産毛、肌に浮かぶ汗の生々しい湿り気、繊細な髪の毛の質感などが描画技術によって精細に表現。また瞳の微かな潤みや視線の揺れ、唇の小さな震えなど、キャラクターの感情表現もより豊かになるとのこと。また新たな要素として、一人称視点と三人称視点を自由に切り替えられるオプションを搭載される。

そんな本作に視点切替機能が実装された決定打になったのが、『バイオハザード7』のユーザー反応だという。同作は2017年1月に発売された作品で、シリーズで初めて一人称視点が採用されたタイトルであった。同作でディレクターを務めた中西晃史氏は、『バイオハザード レクイエム』においても引き続きディレクターを担当。今回同氏はGamesRadar+のインタビューに対して、視点切り替え機能が導入された背景を伝えている。

中西氏はまず、『バイオハザード7』では没入感と恐怖感を高めるために一人称視点を導入し、効果てきめんであったとコメント。一方で同氏は「怖すぎたかもしれない(but it was possibly too scary)」とも述べており、一部のプレイヤーは耐えられずクリアまでたどり着けない、あるいはそもそもゲームを開始すらしないプレイヤーもいたと明かしている。そうしたフィードバックから、幅広いプレイヤーが楽しめるようにしたいという想いもあったそうだ。背中越しの三人称視点といえば過去作のリメイクとなる『RE』シリーズでも採用されてきたが、同シリーズの人気よりも“怖さの緩和”こそが『バイオハザード レクイエム』で視点の切替が用意された主な目的のようだ。

なお『バイオハザード7』にはオープニングのカットシーンを見るだけで取得できるトロフィー・実績「悪夢の始まり」が存在する。これは、新規ゲーム開始後の2分強のカットシーンを見終えたタイミングで取得できるトロフィーだ。しかしPS4版ではこのトロフィーの取得率は本稿執筆時点で89.7%。PSNでのトロフィーデータはゲームを起動した際に生成されると見られ、約10%のプレイヤーは単に本作を買って触っていないのではなく、起動したものの遊んでいないと考えられる。対してSteam版では同実績を通常版/グロテスクVer.共に約96%のプレイヤーが取得しているなどプラットフォームによってばらつきはあるものの、起動はしてもプレイまで踏み切れないプレイヤーが一定数いるようだ。

開発チーム側でも、クリア率も含めてそうした状況が集計されていたわけだろう。『バイオハザード ヴィレッジ』(以下、ヴィレッジ)のプロデューサー神田剛氏も同作発売前に海外メディアAxiosのインタビューに対して、『バイオハザード7』では「怖すぎてプレイできない」というフィードバックが一部寄せられていたと明かしていた。そのため『ヴィレッジ』においてはプレイヤーが常に恐怖に晒されることがないように、『バイオハザード7』よりも緊張のカーブ(the tension curve)をやわらげていたとのこと。張り詰めた状況が続かないように適度に“解放”し、怖いけど楽しい体験を目指したという。

『バイオハザード7』

対して本作『バイオハザード レクイエム』では、また別の恐怖緩和アプローチとして視点切替機能が用意される格好だ。中西氏は、一人称視点でゲームを開始して“きつすぎる”と感じたら、三人称視点にすることで恐怖感から少し距離を置けるとの考えを述べている。画面上にアバターのような存在としてプレイヤーキャラがいることで、多少は恐怖に対処しやすくなると想定されているそうだ。

ただ三人称視点ではプレイヤーキャラが敵に追われている際に躓きかけるといった焦燥感をあおるアニメーション演出も盛り込まれており、単に恐怖感を和らげるだけではない様子。また中西氏によると、本作ではプレイヤーの緊張状態と緩和状態について、シリーズ史上かつてないほどギャップのある体験を目指しているという。詳細は不明ながら新たなシステムによって、“ジェットコースター”のように緊張・緩和が繰り返されプレイヤーの感情を大いに弄ぶようになっているとのこと。

いずれにせよ、一人称視点が初導入された『バイオハザード7』の“怖すぎる”というユーザー反応が、以降のシリーズ作品の設計におけるある種の指標になってきたとみられる点は興味深い。ホラー作品ながら大作ゲームでもある本シリーズでは、恐怖感を保ちつつ幅広いプレイヤーが楽しめるように工夫が重ねられてきたわけだろう。とはいえ新作では怖さを和らげるだけでもないようで、中西氏が自信を示す“新システム”の詳細も含め、続報も注目される。

バイオハザード レクイエム(BIOHAZARD requiem)』はPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに2026年2月27日に発売予定。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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