ワーナー大乱闘『マルチバーサス』、サービス終了決定後に大幅改善され困惑広がる。遅れてやってきた“ゲーム高速化アプデ”

Warner Bros. Gamesは2月5日、Player First Gamesが手がける対戦アクションゲーム『MultiVersus（マルチバーサス）』の最終シーズンとなるシーズン5をリリースした。同時にアップデートがおこなわれ、急激にゲームスピードが“高速化”したことがにわかにユーザーの注目を集めている。

『MultiVersus』は、ワーナー・ブラザースの人気キャラクターたちとなってプレイできる、基本プレイ無料（アイテム課金制）の対戦アクションゲームだ。バットマンやスーパーマン、ジョーカーのほか、バックス・バニーやトムとジェリーなど、ワーナー作品の人気キャラが参戦。最大4人でのオンラインマルチプレイに対応し、1対1のバトルや、2対2のチーム戦、4人で繰り広げる大乱闘などを楽しめる。

本作は2022年にPC向けオープンベータテストを早期アクセス配信として開始。その後約1年間のサービス停止期間を挟んで、2024年5月に正式リリース。正式リリース後のピーク時では同時接続プレイヤー数が11万5000人に達するなど盛況を見せた（SteamDB）。一方でゲーム内通貨の扱いの変更やゲームスピードが遅く調整されたことなどを起因に、ユーザーレビュー評価はやや伸び悩みを見せ、正式リリース時点でのSteamユーザーレビューは「賛否両論」ステータスとなっていた。

正式リリース以降のアップデートではパワーパフガールズやサムライジャック、レイヴンなどのキャラが追加。人気キャラ追加の影響もあってか、本稿執筆時点では「やや好評」ステータスまで持ち直している。そんな中1月31日に突如、本作公式より、5月30日にオンラインサービスを終了する旨が告げられた（関連記事）。

そして『MultiVersus』公式は日本時間2月5日、最終シーズンとなるシーズン5を開始。シーズン開始とともにトレイラーも公開されている。このトレイラーでお披露目されているゲームプレイのスピードを見た一部プレイヤーが「最終シーズンを迎えてようやくゲームスピードが素早く、面白そうになった」と反応。サービス終了発表後の“変貌”を受けて、にわかに注目を集めている。

シーズン5にあたっての調整点がまとめられたパッチノート（英語）を確認すると、複数キャラクターの移動速度、特に空中の移動速度が向上していることがわかる。アイアン・ジャイアントやトムとジェリー、スーパーマンをはじめとして、10キャラ以上の速度が上方修正された。また一部キャラクターは空中攻撃などのヒット時に急降下が可能になった。このことで、攻撃を当てて浮かせつつ、急降下によって着地したり距離を調整したりすることができる。コンボを繋いだり、スピーディーな立ち回りが実現できるようになっている。

先述の通り、本作の評価が伸び悩んでいた理由のひとつとして、正式リリース時にゲームスピードが遅く調整されたことがある。状況の確認が容易になったかわりに、相手の行動への対応が簡単になるために、逆転の目が生まれにくいとする声が上がっていた。また単純にゆっくりとした戦いによって試合が間延びしてしまうという意見も見られた。

ちなみに本作が主に遊ばれている英語圏（北米など）では、対戦アクションゲームとしては『スマブラDX』などのハイスピードで立ち回りの選択肢が多いタイトルなどが人気を博している傾向にある。そうした状況も相まって、正式リリースにあたって「スローゲーム化」した本作には、特に不満が寄せられていたのかもしれない。

とはいえ、すべての「ゲームスピード高速化施策」が今回の1.5.0アップデートにて実装されたわけではない。たとえばレイヴンなどが追加された1.4.0アップデートでは、急降下時の最高速度が約1.3倍に上昇。シーズン2のアップデートにおいては、地上でジャンプした際により慣性を維持するようになるなど、より攻撃的に、よりスピーディーに戦闘が進行するようなアップデートが継続して実施されていた。本作公式も、「ゲームスピードが遅い」問題を認識し、改善に取り組み続けていたようだ。

いずれにせよ今回のアップデートでは、「サービス終了予告」が発表された後の最後となるシーズンながらも、さらにスピーディーで軽快な試合が楽しめるような調整が施された。本作が改善されたことを喜ぶ声がある一方で、このままオンラインサービス終了に向かう点を惜しむ声も見られるなど、アップデートはそれぞれ悲喜こもごもの反応をもって迎えられているかたちだ。

『MultiVersus（マルチバーサス）』は、PC（Steam/Epic Gamesストア）/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに配信中だ。