「Steamサマーセール(2021)」でおすすめしたい“75%以上割引”ゲーム11選。お買い得な理由を添えて
夏の風物詩、Steamサマーセールが今年も開催中だ。開催期間は7月9日午前3時まで。名物となっているのが、値下げ率だろう。定価で購入し何十時間も熱中して止まなかった推しタイトルが、布教しやすい価格になっていることもしばしば。せっかくならこの機会に愛する作品を広めていきたいところだ。
そこで今年のAUTOMATONでは、「割引価格75%以上」のタイトルにしぼってライターのオススメ11本をピックアップ。割引率が高いものや歴代底値を記録した作品など、つぶよりのお買い得ゲームをご紹介していく。先にいっておくと本紹介では諭吉も英世もいらない。ジャラ銭を握りしめてラインナップをチェックしてほしい。
PixelJunk Shooter Ultimate
240円(1200円、80%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『PixelJunk Shooter Ultimate』は、京都のデベロッパーQ-Gamesが手がけたアクション・シューティングゲームだ。PS3向けに発売された『PixelJunk Shooter』シリーズ2作のコンテンツをセットにし、ビジュアルをアップグレードさせた作品である。メインのアドベンチャーモードには150以上のステージを収録。開拓惑星からのSOSを受け、プレイヤーは地底探索艇にて救助任務に臨む。
プレイヤーは入り組んだステージを探索し、取り残された生存者をフックで釣り上げて救出。規定数を助けると、次のエリアがアンロックされていく。敵となるモンスターなども登場するため、ツインスティックシューター形式にて倒すのだ。ただ、本作はどちらかというとパズル要素が強く、そこに物理演算による流体シミュレーションを取り入れていることが特徴である。
たとえば、ステージ内には水やマグマが溜まっている場所が存在し、底の土を撃って穴を開ければリアルに流れ出す。マグマの熱は自機にとって大敵であり、また水と混ぜれば冷えて土に変化する。このほかにも、磁性流体やガス、酸なども登場。それぞれが影響しあう関係にあるため、どのように作用させると攻略できるのか頭を使うことになる。今回のセールは最安値というわけではないが、コンテンツ量からすると十分にお買い得。オリジナル版のファンだった方が再訪するにも良い機会だろう。
by. Taijiro Yamanaka
One Finger Death Punch
100円(500円、80%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
『One Finger Death Punch』は、ハイペースなカンフーアクションゲームだ。プレイヤーを含め、登場人物はすべて棒人間。画面中央の自キャラに対して襲い来る無数の荒くれ者をバッタバッタとなぎ倒していくのが目的だ。なお日本語非対応ながらも、簡単な英語が分かればプレイに支障はない。
他のアクションゲームでは複雑な操作が求められがちだが、本作の操作は極めてシンプル。使用するのはマウスの左・右ボタンのみだ。画面の左右から向かってくる敵が間合いに入った瞬間に対応方向のボタンをクリック。すると自キャラが攻撃して敵を倒すことができる。ただし敵が間合いに入っていない場合にクリックしてしまうとミス扱い。ただ闇雲にクリック連打しているだけではクリアできない。さらにゲームが進行するとゲームスピードも上がっていき、せわしなく敵が襲いかかってくる。数百人の敵を処理するために、的確な判断と反射神経が求められるのだ。
本作の見所はド派手で軽やかなアクションシーン。自キャラの外見は素朴ながらも、拳術・棒術・剣術・投擲武器を用いたカンフー映画さながらのアニメーションが堪能できる。それに心地良い打撃音や派手なエフェクト、テンポを崩さないヒットストップが加わることで、非常に爽快なアクションゲームに仕上がっているのだ。ボス戦含むステージ数は250超とボリュームも申し分ない。セール価格はワンコイン。ぜひ梅雨どきのじめっとした湿気によるストレスを棒人間にぶつけてもらいたい。
by. Tetsuya Yoshimoto
International Space Banana
52円(520円、90%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
あなたは宇宙バナナ。『International Space Banana』は、無重力の宇宙空間にて障害物を避け、道中のギミックを解きゴールまで突き進むカジュアルかつ高難度なゲームだ。某壺男風のゲームといえば通じる方もいるだろうか。日本語非対応だが、簡単な英語が分かればプレイに支障はない。
ゲーム内にてプレイヤーは黄色い一本のバナナとなる。フワフワとした無重力3D空間の移動方法は左右移動のみ。自力で上下に移動することはできない。しかしながらゴールまでの道のりでは、ボタンを押して扉を開けたり、障害物の狭い隙間をくぐり抜けたりしていく必要がある。ではどうするか。左右移動の反動やバナナ特有の形状を利用するのだ。バナナは左右に移動する際にクルクルとスピンする。その反動を利用すればゆっくりフワフワと移動できるのだ。さらにはバナナのカーブしたフォルムを利用し、先端を障害物に引っ掛けることで動力を得られる。
すなわち本作では、コース上の障害物の配置を把握し、障害物にバナナの先端を引っ掛けながらゴールを目指すことになる。もちろん不自由な移動法によってフラストレーションが蓄積。時には行く手に巨大なプロペラのようなギミックが待ち構えており、接触すれば彼方に弾き飛ばされてしまう。その分ゴール時の達成感は格別なものだが、短気な方にはちょっとおすすめしづらい。ストーリーモードは全8コースで、4人までのローカル協力プレイに対応。ゴールタイムを競い合うレースモードも存在する。セール価格は破格の52円だ。バナナ1房より安い。
by. Tetsuya Yoshimoto
Glass Masquerade 2: Illusions
130円(520円、75%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Glass Masquerade 2: Illusions』は、いたってシンプルなゲームだ。その内容は「ステンドグラス版のジグソーパズル」と形容できる。プレイヤーは色とりどりの破片を操作し、ひとつの図案を修復してはまた次の図案へ、とステージを移していく。本作には、クリアを阻む障害は存在しない。強いていうならば、プレイヤーが「もういいかな」と思った時がゲームオーバーだ。それまでは、心ゆくまで何にも邪魔されず、図案の修復のみに集中できる。
そうしたシンプルなゲームプレイを支えるのが、美しいグラフィックやサウンドだ。プレイヤーが修復する図案はいずれも、完成後を見るのが楽しみかつ、修復難易度にも気を配ったデザインになっている。完成後もニンマリしながらしばし眺めてしまう出来栄えだ。落ち着いたムードのBGMも耳に心地よく、そこに破片をはめこむ「カチャリ」という操作音が乗り、リラックスを促進する。シンプルで癒やされるゲームを求めている方は、この機会にぜひ手に取ってみてほしい。
なお、75%オフは本作の過去最高値引率となっている。前作である『Glass Masquerade』も75%オフとなっているため、癒やし体験が気に入った方はこちらもおすすめだ。
by. Seiji Narita
428 〜封鎖された渋谷で〜
792円(3960円、80%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『428 〜封鎖された渋谷で〜』は2008年にWii向けにリリースされたサウンドノベルゲームだ。リリース後、PlayStation3やPSP、そしてモバイル向けに展開され好評を博した。Steam版は作品10周年を記念してリリースされたPC移植版、兼廉価版だ。筆者はPlayStation3版を7480円で購入してプレイした。そして受けた印象は「値段に劣らない面白さ」だった。
本作シナリオは、複数名の主人公からなる群像劇となっている。プレイヤーは各人の視点からシナリオを読み進め、選択肢を選びそれぞれの運命を左右していく。登場人物は全て俳優が演じており、グラフィックも実写映像で構成されているのが特徴だ。ゲームシステム的には、正答を選びバッドエンドを回避して、複数主人公の運命をひとつの結末に収束させていくような運びとなる。
バッドエンドや「他主人公へ続く」といった展開になりやすい点は賛否両論がある。しかし、多くの悲劇を回避し、絡んだ糸を解くように結末に到達した際のカタルシスは、本作の大きな魅力でもある。フルプライスで満足出来たゲームが1000円以内で買えるということで、筆者はこの機に再プレイに興じている。ノベルゲームなどのADV好きはもちろん、ジャンル未体験の方にもこの機におすすめしたい一本だ。
by. Seiji Narita
Kerbal Space Program
995円(3980円、75%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Kerbal Space Program』はロケットを建造して、緑色の異星人「カーバル」の宇宙開発の手伝いをするサンドボックスゲームだ。無数のパーツを組み合わせて、ロケットを組み上げる。ロケットは飛ぶこともあれば、飛ばないこともある。
ゲームの世界はニュートン力学をベースにシミュレートされていて、ロケットは重心のバランスや空気抵抗の制約を受ける。大気圏に再突入する際は断熱圧縮でカプセルが燃え尽きそうだ。そして燃え尽きることもしばしば。バランスを失ったロケットが回転しながら空中で爆発するのも日常茶飯事である。だからといってロケット工学への特別な知識が必要なわけではない。大切なのはカーバル上空に広がる宇宙への好奇心と、とにかく実験してみることだ。
通常価格は3980円のところ、サマーセールでは980円。1000円以内ということで、気軽に手が出せる価格になっている。ゲーム中の世界には、さしわたし数千万kmの太陽系が再現。惑星軌道に衛星を投入したり、月を探索したりと宇宙開発は終わりがない。SteamのワークショップではModも大量に公開されており、遊び方も無限大だ。『Outer Wilds』や小説「三体」シリーズの人気にかこつけ、SFや宇宙が好きな人におすすめしたい。
by. Kaisei Hanyu
Recursed
205円(820円、75%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
パズルゲーム『Recursed』の基本的なルールはシンプルである。一つ、箱の中には部屋が広がっている。二つ、キャラクターは箱の中に出入りでき、モノを同時に1個持ち運べる。三つ、キャラクターが箱の外に出ると、箱の中は初期化される。こうしたルールを前提に箱の中を探索し、カギや足場を手に入れ、ゴールにたどり着けばステージクリアとなる。
もちろん、本作は説明ほど単純なゲームではない。たとえば、外に出れば箱の中が初期化される仕組みを活かして、同じ箱から複数のカギを取り出す。箱を水の中に沈めて、箱の中の箱も含めて下位の世界全体を水で満たす。扉の役割も担う箱を別の箱の中に持ち込み、世界の構造を変化させるなど、シンプルなルールを活用する、複雑な謎が用意されている。複数の箱で構成されたループ構造の問題や、再帰的な要素も登場。ひらめきと論理的な思考で問題を解き明かした先には、パズルゲームらしいカタルシスも待ち受けている。本作にはさほど言語は登場しないものの、日本語字幕に対応していないという欠点がある。普段なら二の足を踏んでしまうかもしれないが、75%オフなら手を出しやすいのではないだろうか。
by. Keiichi Yokoyama
Pipe Push Paradise
252円(1010円、75%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
パズルゲームが好きな人は、結局『倉庫番』に帰ってくるみたいなところがあります。なんなら全然現役のジャンルだと思っていて、最近でも色んな特殊なルールやテーマの倉庫番がPuzzlescriptやらitch.ioで発表されまくってます。ちなみに、令和の激アツパズルゲームテーマ三種の神器は「ルール未提示系」「再帰系」「プログラミング系」です。テストに出ます。そして今回紹介する『Pipe Push Paradise』はそのうちどれなのかといわれると、どれでもないです。令和に出たゲームではないので。
ではどういうゲームかというと、『Pipe Push Paradise』はI字だったりL字だったりS字だったりする水道管で倉庫番をするゲームです。水道管は押すのではなく転がして動かすため狙った場所に狙った形で押し込むのはなかなか難しく、完成形を見据えた上でかなり手順に気を遣わないとどのステージもクリアできません。難易度は高めで、全然思い通りにいかなくて本当に頭がおかしくなりそうになります。パズルゲームの醍醐味ですね。同じような「転がし系倉庫番」にはかの有名な『Stephen’s Sausage Roll』があります。こちらも現在サマーセールで80%オフ中、レベルデザインも難易度も一級品なのでぜひやってみてください。倉庫番に1000円越えはちょっと……という人もセール中なら300円とかなのでスマホのパズルアプリくらいの気持ちで気軽に手を出せるかなと。ちなみに個人的にこういうゲームは筋道立ててじっくり考え込むよりも知恵の輪をガチャガチャやってたらなんか解けちゃった!くらいの向き合い方が良いと思います。パズルゲーム、投げ出さないための適切な距離感も大切です。
by. Mizuki Kashiwagi
The Swapper
222円(1480円、85%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
『The Swapper』は、自身のクローンを利用して宇宙ステーションを探索するパズルゲームだ。主人公は装置を使い、離れた場所に自身のクローンを4人まで生み出せる。そしてプレイヤーは自身とクローンを「スワップ(交換)」することが可能。たとえば崖の向こう岸にクローンを生成し、それからクローンと“入れ替わる”ことで、離れた場所へ渡ることができるのだ。あるいは、普通に飛び降りたら即死するような高所にいたとしよう。地面に近い位置にクローンを生み出し、そちらに意識を移し替えれば、無傷で降りることが可能だ。あとは安全に着地し、何事もなかったかのように前へ進めば……
……ドサリ。背後で鈍い音がした。振り向くと、そこには「自分」がいた。先ほどまでプレイヤーだったはずの身体が、高所から落ちて泥人形のように死んでいる。今、この私は生きて降り立ち、先へ進もうとしている。しかし、背後で潰れたこれは何だ? 決死の思いで命をつないだこの身体も、次の部屋では使い捨てのように脱ぎ捨てていく。はたして私は生き延びているのか、死に続けているのか? パズルを解くほど、プレイヤーは抜け殻を生み出し、「私」のありかに思いをはせることとなる。魂を乗り換えた旅路の果てに何があるのか、ぜひその目で確かめてほしい。セールで200円程度となっているが、クローン4人分楽しめるので、実質50円である。 マウス動作が不安定な場合は、プロパティのベータから「compatibility – compatibility」を選択して遊ぼう。
by. Yuki Kurosawa
AER Memories of Old
188円(1880円、90%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『AER Memories of Old』は鳥に変身し、天空に浮遊する島々を飛び回ることを体験の核とした謎解きアドベンチャーゲームだ。プレイヤーはローポリゴンで形成された彩り鮮やかな世界を翔け、各地に点在するダンジョンに、地に足をつけて挑んでいく。本作は俗に言う『風の旅ビト』や『ABZÛ』などに代表される、「雰囲気ゲー」と呼ばれるジャンルの作品である。提示される課題をクリアすることで生じる達成感ではなく、アーティスティックなフィールドでキャラクターを動かすことにより生じる、喜びにも癒やしにも似た豊かな感覚に重きを置いている。
筆者が本作を紹介した理由については、90%オフという、その驚異的な割引率はもちろんのこと、パンデミックによる閉塞的な風潮と、ジメジメとした梅雨のダブルパンチが襲う昨今の情勢にマッチするゲームだと考えたからだ。翼を広げ大空を舞う体験は、それだけでプレイヤーに開放感を与え、爽やかな気分にさせてくれる。2021年現在。ゲームはメディアとして、娯楽として、さまざまなベクトルに進化し、それに伴って鑑賞形態も変化した。
だがゲームの重要な役目として忘れていけないのが「現実逃避」である。気分が落ち込んだとき、ストレスを感じたとき、『AER Memories of Old』をプレイして欲しい。きっとつらい状況を乗り越えるための翼になるはずだから。
by. Takayuki Sawahata
『Trine 4: The Nightmare Prince』
962円(3850円、75%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Trine』シリーズを知っている、というPCゲーマーは多いことだろう。安価で遊べる上に、リッチなビジュアルで楽しめるアクションパズルゲームとして、かつてシリーズのどれかをプレイしたことがあるかもしれない。ではこの『Trine』が「4」まで出ていることを知り、そしてプレイしたことはあるだろうか?開発元Frozenbyteはやや宣伝下手で、「3」で紆余曲折あっただけに、第四作目がリリースされたことは意外と知られていない印象だ。
『Trine 4』は過去作より定価が高いので75%オフでも962円。とはいえ、ゲーム内容は充実しており、この価格で購入してもまず満足できるだろう。美しいグラフィック、ゴリ押しが許されるパズル、ほどよいアクション要素に、このジャンルにしては多めのボリューム。前作の失敗から学び、過去作で人気のあった要素をブラッシュアップして仕上げられている。個人的な推しポイントは、このゲームは協力プレイにぴったりな点。それぞれ役割を分担&協力して幻想世界を進む楽しさを加えて、ゆるめの物理演算要素がハプニングを呼び笑いどころも多し。難易度も易しめなので、気を張らずにプレイできる。
駄作の烙印を押されがちな前作『Trine 3』も今のセール価格(75%オフの549円)なら十分にお買い得。3D要素を導入したことや、ボリューム不足などで評価を下げたが、協力プレイ対応のリッチなアクションとしてはよくできている。「1」と「2」の知名度が先行しがちだが、「3」と「4」をあわせて購入検討してほしい。
by. Ayuo Kawase