「Steamウィンターセール 2019」でオススメしたいゲーム11選。レビュー件数500以下縛り
PCゲーム配信プラットフォームSteamにて、ウィンターセールが開催中だ。実施期間は日本時間2020年1月3日午前2時まで。つまり、もうすぐ終わる。大量の作品が値引き対象となっており、どのタイトルを買うべきか悩んでいる方も多いだろう。そこで、AUTOMATONライター陣が、Steamウィンターセール 2019で購入をおすすめしたいタイトルを計11本紹介する。通常の紹介記事は読者もライターも飽きている(だろう)ということで、今回は「Steamストアのレビュー件数500以下」というテーマでお送りする。知名度はある(かもしれない)が、実際に購入しレビューした人はそれほど多くない(と思う)。そんな作品群を紹介したい。
Pool Panic
608円(1520円、60%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
ビリヤードが好きでもそうでなくても『Pool Panic』をオススメしたい。本作は白い手玉をキューで弾き、最終的に8ボールを穴に落とすゲームだ。これだけ聞くと、紛れもなくビリヤードだろう。しかし本作の真髄は、バラエティ豊かなステージ群と奇想天外なボールたちにある。チュートリアルではビリヤードの基礎を教えて貰えるが、本編が始まると一変、プレイヤーはキャンプ場や浜辺、果ては滑走路や観覧車をテーブルに玉をキューで突くこととなる。各テーブルには多種多様なギミックが施されており、ボールたちがバスから降りてきたり、鬼ごっこをしていたりと、まさにハチャメチャ。そんな中、ボールを穴に落としていくのだ。
ボールに関しては全て生きており、大人しく穴に落ちてはくれない。突然ジャンプをしたり、木に登っていたりと、クセもの揃いだ。もちろん、プレイヤーが弾く白い手玉も歩けるうえ、ジャンプも可能。ボールを弾くことなく押し出して穴に落とすことも。一見何でもありだが、各テーブルに設定された時間制限やショット制限をこなそうと思えば一転、かなり頭を使って弾く必要がある。そう、本作はやり込むほどにレベルデザインの秀逸さが光るゲームなのだ。全100ステージ以上の大ボリュームの中で、バカゲーとして楽しむもよし、本格ビリヤードとして頭を悩ませるのもよし。本作以上に懐の広いビリヤードゲームを私は知らない。
The Shrouded Isle
392円(980円、60%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
クトゥルフ神話を題材にしたゲームは数あれど、邪神に仕えることができる作品は『The Shrouded Isle』だけだろう。君は隔絶された村の司祭長だ。そこで、5年間カルト教団の運営をおこなってもらいたい。教団は、5つの一族で構成されている。毎年各一族から顧問を選出し、そこから1人の生贄を捧げて欲しい。しかし中には厄介な村人もいる。そう、背信者だ。人間だれしも悪徳を持っているが、時に罪人とも言うべき裏切り者が紛れ込んでいる。彼らは、村の存続に甚大な悪影響を及ぼす。もし、裏切り者を放置したまま次の年を迎えることがあれば、君は自我を持った村人に命を奪われるだろう。
一方で、村人は徳も持っている。徳は村に好影響を与える。つまり君には、村に残るべき敬虔深い信者と、生贄となるべき異端者を毎年見抜いてもらいたい。顧問を選出した後は、そこから四半期ごとに3名の代表者を選び、仕事を命じろ。もちろん、各一族の村人を調査してもらっても結構だ。ただし言っておくが、悪徳の尋問は一族の信用を損なう。また、仕事を任命されなかった一族は不満を抱く。いずれかの一族が謀反を起こす可能性にも注意して頂きたい。まさに“あちらを立てればこちらが立たず”な状況に飲まれるだろう。最後に、君は中間管理しょ…司祭長に選ばれた。審判の日を待っている。
By. Nobuya Sato
Valfaris
1927円(2570円、25%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
2019年、もっともメタルなゲームといえば『Valfaris』で決まりだろう。終始ゴリゴリのヘヴィメタルをかき鳴らす、硬派な2D横スクロールアクションゲームだ。ゴテゴテかつグロテスクなエナミ―デザイン、極彩色の異世界空間、銃と剣による豪快な四肢破壊と血しぶき。新武器を入手するたびに主人公がヘッドバンギングしたりと、徹底したメタル魂を見せつける残虐かつイカツイ一作だ。破滅したはずの宇宙要塞が死の太陽の軌道上に再出現。無限の闇を生成する要塞の謎を追う戦士と家族の因縁など、コンセプトアルバムが作れそうなシナリオも一興。年末年始をメタルサウンドとゴア表現とともに過ごしたいヘッドバンガーにオススメしたい。
メタルテーマとは別途、「ポイント消費による任意チェックポイントシステム」によってもアクセントを加えている。プレイ中に手に入るポイントは、小刻みに配置されたチェックポイントの発動、もしくは武器強化素材への変換のために使用。また、ポイント所持数によって体力が増加する。チェックポイントを頻用すれば、体力が低く死にやすくなるかわりに死亡後のやり直しが楽。チェックポイントの利用を控えると、その逆となる。こうしたトレードオフの関係により、プレイヤーに難易度調整の余地を与えている。
By. Ryuki Ishii
2236 A.D.
1000円(2000円、50%オフ、日本語あり ) (Steamストアリンク)
西暦2230年代の未来。人類が音声言語に代わるコミュニケーション手段として、発達したテレパシーを用いるようになった時代。4月のある日、中学生のヨツバは廃墟になった洋館の中、封じられた部屋で死体のような少女と出会う。彼女の名はハル・シオン。奇しくもクラスに居る変わり者、テレパシーを使えない2人の片方と同じ名前・容姿の少女だった。テレパシーを使えるハルと、使えないシオン。もう1人の変わり者シライシ。スマートツールに搭載された人工知能マスコとの会話によって音声言語に慣れていたヨツバは、彼女たちと交流を深めていき、ある結末を迎える。
『2236 A.D.』は、ゲームサークルChloroが制作したノベルADV。2015年に『西暦2236年』として完全版が頒布された作品で、『2236 A.D.』はおおむねその全年齢版にあたる。大きくわけて3部で構成されており、西暦2236年に99通の同じ内容のメッセージを受け取ったところから始まる第2部、更に先を綴った第3部まで物語は広がっていく。また、日常の一部を切り取ったスピンオフ『西暦2236年の秘書』がフリーゲームとして公開されている。世界観や作風は本編と共通なので、まずはこちらから遊んでみてはどうだろうか。
By. Keiichi Yokoyama
DERE EVIL .EXE
55円(100円、45%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
『DERE EVIL .EXE』はメタホラー2Dアクション。そこそこシビアで短めの2Dアクションゲームに、プレイヤー自身も巻き込んだメタホラーを組み合わせた作品だ。最初は騎士風のキャラクターを操作し、コインを取得すると数秒後に爆発四散するなど、癖のある2Dアクションゲームを攻略していく。DEVを名乗るナレーター、音声によってプレイヤーをガイドする人工知能A.I.D.E、本作のベテランを自称する少女・YANNA、個性的な登場人物たちも序盤から登場。しかし、YANNAがゲームを止めるように言い出したあたりから、徐々にゲーム内の様子がおかしくなっていく。DEVはゲームデータが壊れていたと言うが、何が正しいのだろうか。
タイトルの.exeからわかるように、本作は.exe系作品や、その言葉が意味する内容に影響を受けている。しかし、過度にスプラッタな表現や、大勢のキャラクターが命を失うような展開は含まれておらず、そうしたところでは安心してプレイできる。.exe系というより、メタホラー作品と言ったほうが本作の内容には合致しているだろう。プレイ時間は1時間程度。2Dアクションとしては本編より難しいものと優しいものをそれぞれ収録した無料DLC2本も配信されている。
Lofi Ping Pong
156円(520円、70%オフ、日本語なし) (Steamストアリンク)
『Lofi Ping Pong』は、卓球風リズムゲームADV。5人の対戦相手。15曲のメロディー。風によって挙動が変化したり、対戦相手側の卓上が隠されていたり、ボールが2個あるステージで、Lo-fi Hio Hopのリズムに合わせてピンポン玉を打ち返していく作品だ。対戦相手たちは、曲ごとに常に一定のテンポでランダムな3方向へボールを撃ってくる。方向を目視で見極めラリーを続け、一定時間ミスなくボールを拾い続けられたらその曲はクリア。ストーリー以外に、手持ちの音楽で遊べる機能も搭載されている。
本作には、少女の足元に3つのボックスが配置されているだけで、PERFECTやGREATなど、1回ごとにタイミングがどの程度正確だったか示す表示はない。体力ゲージや余分なライフもなく、それなりの時間続くラリー中、一度でもリズムを崩してしまえば曲の最初からやり直しとなる。率直に言って、リズムゲームとしては不親切で歪だ。
しかし、おそらくそうした設計には理由がある。『Lofi Ping Pong』の主人公は、何かひどい目にあった少女。駅のホーム。走っていく列車。お面を被った対戦相手。一定間隔で響くリズム。対戦の合間に、断片的に語られる少女の感情。何があって、どうしてそう感じたのか―――そうした詳細な事情は語られないが、作品全体で物語を描こうとしているのは間違いないだろう。
By. Keiichi Yokoyama
Roof Rage
516円(1520円、66%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
『Roof Rage』は、屋上を舞台にする2D対戦格闘ゲームだ。屋根から落下すると一気に体力を失い、ラウンドをひとつ失った状態で試合に復帰する。そのため、相手の攻撃で場外に吹っ飛ばされた際には、2段ジャンプなどを駆使してステージに帰ってくることが求められ、どことなく『スマブラ』風である。ステージはアジア各国をモチーフにしており、広い舞台のような場所もあれば、何棟かに分かれていたり、段差や階層があったりと構成はさまざま。ゲームモードはアーケードモードのほか、対戦設定を自由に決められる最大8人対戦のローカルモード、1対1のオンラインモードがある。
キャラクターは12体が登場し、アーケードモードをクリアすればそのボスも使用可能となる。侍やくノ一、殺し屋のほか、棒術や槍術、ムエタイ、テコンドーの使い手などどれもユニーク。HONDAならぬYAMAHAという名の相撲レスラーもいる。使用するボタンは通常攻撃と必殺技の2つだけ。とはいえ、十字キーを組み合わせることで技が変化し、空中ではまた別の技が出るため、操作はシンプルながら技の数は意外に多い。ドット絵の細かいアニメーションも見所。本作は、ひとりでもマルチでも気軽に楽しめる対戦ゲームとなっている。
By. Taijiro Yamanaka
『ef – the first tale./the latter tale.』全年齢英語版
ef – the first tale 1236円(50%オフ 3090円)(Steamストアリンク)
ef – the latter tale. 1800円(50%オフ 3600円)(Steamストアリンク)
日本語対応:どちらもボイスのみ
私が愛し、そして今年19年の歴史に幕を閉じたアダルトゲームメーカー「minori」を代表する傑作の全年齢英語版『ef – the first tale./the latter tale.』。the first tale.が前編、the latter tale.が後編にあたる。ある者は恋に勝ち、ある者は恋に敗れ、やがて恋に救われる。言ってしまえば「どうにかなってしまった」ありふれたフィクションである前半と、それを踏まえて展開される後編「どうにもならなかった」人間達のお伽噺話という作品構造は、プレイヤーと攻略対象、埋まるはずの無かったピースが、運命の出会いにより愛として結実、物語に救済をもたらすという、それまでの恋愛ADVにおける伝統を破壊した。誰と結ばれることになろうが、目の前に横たわる現実と、起きてしまった過去はその双眸を決して私達からそらすことは無い。”だが人は前に進むことができる。夢を持つことはできる。ときにご都合主義とも呼ばれる、劇場の絡繰りを徹底的に排除し、よりキャラクターの心模様を密に描くことによって生まれた緻密な『ef』の物語は、決して悲劇ではなく、制作陣の尽きることのない熱量で生まれた力強い人間讃歌である。寒空広がるこの冬に心温まるゲームを一つ。そしてどうか、このゲームを作った「minori」という会社があったことを一人でも多く覚えていて頂ければ幸いである。
The Textorcist: The Story of Ray Bibbia
912円(1520円、40%オフ、日本語なし)(Steamストアリンク)
もとはFLASHゲーム制作チームであったMorbidWareが開発した本作『The Textorcist: The Story of Ray Bibbia』は世にも珍しい「タイピング弾幕アクションゲーム」である。そのゲーム性はタイピングゲームと弾幕STGが合体したもので、弾幕を避けつつも指定された文字列をタイピングすることで敵に攻撃することができるというゲームになっている。
当たり前だが、キャラクターを移動しながらタイピングすることは普通できない。Textorcistでは、移動に2種類の方法が用意されている。キーボードの方向キーと、Shift+WASDだ。両手に移動が用意されているため、タイプをしているのと逆の手でキャラクターを移動することで両立が可能というわけだ。理論上は。
現実的には、弾幕を避けつつもわずかに空いた時間に高速でタイピングを進めるのを繰り返すことになる。主人公は聖書片手に戦うエクソシストであるため、被弾して聖書を落としてしまうと拾いなおすまではタイピングを進めることができない。ただし、逆に聖書を持っている間は被弾しても聖書を落とすだけでダメージを食らわないので、クリアを目指すだけなら良心的な仕様ともいえるだろう。
Textorcistはボス戦だけで構成されており、脳の新しい使い方を要求される以外はシンプルに遊べるゲームであるため、「難しいが小粒なゲーム」を求める人にオススメだ。ただし、英語のタイピング練習目的で本作を買うことはオススメしない。後半のステージでタイプさせられるのはラテン語であるからだ。
By. Mizuki Kashiwagi
VERSUS SQUAD
199円(798円、75%オフ、日本語あり)(Steamストアリンク)
サマーセールでお勧めしたNation Redの続編的トップダウンシューター。Nation Redとの違いは、最初にバリケードや地雷で拠点を築いた後にゾンビの群れを迎え撃つ点だ。ゾンビを撃ちまくるトリガーハッピーなプレイフィールはそのままに、拠点づくりや、敵を罠に誘導する要素を追加した良質な続編に仕上がっている。
私は同じFPSでも、BioshockよりBioshock 2のほうが好みだ。正面から撃ち合うのではなく、事前に張り巡らせた罠で敵を撃退するプレイの方が嗜虐的な楽しみがあると感じる。Falloutシリーズでも、予め用意した地雷原に強敵をおびき寄せて倒すことに快感を覚えてしまう。戦闘よりも、バリケードや陰湿なトラップを準備する過程のほうが楽しいという私のようなゲーマーに、本作はうってつけだ。価格が安いので、まとめ買いしてフレンドとCoopを楽しむのも良いだろう。
Broken Reality
760円(1520円、50%オフ、日本語なし/作中におかしな日本語あり)(Steamストアリンク)
『Broken Reality』は、どこか懐かしい「インターネット世界」を舞台とした一人称視点のアドベンチャーゲームだ。舞台となるのは、遠くない未来。この時代では、巨大企業であるNATEMが、すべてのデジタルサービスを管理していた。NATEMは、バーチャル世界を作り出し、人々をそこに招待しているサービスを展開。プレイヤーは、NATEMに招待されたユーザーのひとりとして、ユートピアと称されている仮想世界を探索していく。手っ取り早くいえば、仮想世界がテーマのクエスト形式の3Dアドベンチャーゲームだ。
本作は「イイネ(Like)」が重要な要素となっており、このLikeを集めて“イケてる”プレイヤーになることを目指す。ローポリで飾る極彩のサイケ世界を探索していく。イイネするプレイヤーの度は、悪質な広告をぶった切ったり、ブックマークをつけてジャンプしたりしながら、人助けをするうちに壮大な冒険に巻き込まれていく。『Broken Reality』には、インターネットへの愛情と風刺が入り混じっており、それらがオリジナリティをもたらしている。迷うことは少なく、アドベンチャーゲームとしては丁寧に作られているかつボリュームもあり、一度その世界にハマればついついプレイしてしまうだろう。なかなかイカれた世界が舞台の本作。正月ということで、お酒を飲んでキメたい方におすすめだ。
By. Minoru Umise