街オープンワールド『NTE: Neverness to Everness』(以下、NTE)では、街のあちこちで「異象」と呼ばれる超常現象が発生する。異象にまつわる依頼では、巨大な怪物と戦ったり、奇妙な空間を探索したりと、普段の街歩きとはひと味違う体験が待っている。

Ver.1.4では、そんな異象依頼が新たに4本追加された。しかも、いずれもホラーテイストを含む内容だ。巨大な子猫に追われる小人の冒険から、お化け屋敷、悪夢の世界、マネキンだらけの幽霊バスまで、なかなか不穏な顔ぶれである。

『NTE』のコンテンツはすべて楽しみたいが、ホラーが苦手で二の足を踏んでいる人もいるだろう。そこで今回は4本を実際に遊び、それぞれの怖さを5段階で評価してみた。あくまで筆者個人が感じた恐怖の度合いであり、面白さの評価ではない。怖くなかった順に紹介していこう。気軽に遊べそうなものから、思わず足が止まったものまで、意外なほど差があった。なお、本稿には一部先行体験コンテンツが含まれるため留意してほしい。

巨大な子猫に襲われる、小人の大冒険

まずは「鏡の国の小人たち」。新エリア「プカランド」にある鏡から異象空間へ入ると、プレイヤーは突然小人になってしまう。周囲には巨大な家具や段ボールが並んでいるが、家が巨大化したのではなく、こちらが小さくなったのだ。元の大きさに戻るため、仕掛けを解きながら脱出を目指す。小さくなっただけで、同じ住宅がまるで別世界になるのだから不思議だ。

普段ならまたげる段差も立派な障害物となり、棚の上に登るのも一苦労。家の中には乗って走り回れるラジコンカーがあり、食卓には自分と同じくらいの大きさの寿司まである。見慣れた日用品が冒険の舞台になる感覚が面白い。子供部屋やキッチン、浴室など、探索できる場所も多く、脱出方法も複数用意されている。マルチプレイにも対応しているため、友達との冒険にもよさそうだ。道を探して高いところを目指したり、仕掛けを動かして新たなルートを開いたりと、ちょっとしたアスレチックゲームのような手触りがある。

ただし、家には恐ろしい住人がいる。リビングを闊歩する巨大な子猫だ。こちらを見つけると目を輝かせて飛びかかってくる。猫としては遊んでいるだけかもしれないが、小人にとっては命懸けの鬼ごっこである。

もっとも、捕まっても入口付近に戻されるだけ。残虹の透明化で見つからずに進むこともできる。さらに、新キャラ「クロバネ」やレクイエムの飛行能力を使えば、本来は家具を足場にしたりギミックを解いたりする場所も、ある程度飛び越して進めてしまう。ギミックをじっくり楽しみたいなら飛行能力を封印するのも手だが、こうしたショートカットが通用するのも『NTE』らしい。特にクロバネはVer.1.4の新キャラだけに、さっそく意外な活躍を見せてくれた。

怖さは5段階中「1」。暗い場所はあってもBGMは明るく、ホラーというより不思議な世界の冒険だ。小人体験そのものが楽しく、ホラーが苦手な人にもおすすめできる。

お化けがかわいすぎる、探索型お化け屋敷

続いては、10月21日のアップデートで追加された「鬼行便」。プカランドの「ホラー館」で遊べる、お化け屋敷を舞台にしたコンテンツだ。

懐中電灯ひとつで薄暗い洋館に入り、アイテムを集めながら脱出を目指す。デフォルメされた館の雰囲気は、どことなく『ルイージマンション』を思わせる。道中に落ちているお宝を集めればスコアが伸び、報酬も増えるため、寄り道にも意味がある。単にゴールを目指すだけではなく、怪しげな部屋を覗き、いかにも何かありそうな場所を調べる楽しさが用意されている。

探索の要は懐中電灯。暗闇を照らすだけでなく、ブラックライトに切り替えて隠し通路やお宝を見つけることができる。そしてお化けが現れたら、強力なフラッシュを浴びせて動きを止め、何度か照らして撃退する。ひとつの道具が探索にも戦闘にも使えるわけで、操作自体はわかりやすい。

しかし、肝心のお化けたちがどうにもかわいい。丸っこい姿で、サングラスをかけていたり、カボチャを頭に乗せていたりする。ライトに驚く反応も大げさで、恐怖よりも愛嬌が勝ってしまう。

とはいえ油断は禁物。懐中電灯にはバッテリーの制限があり、襲われてパニック値が上がればゲームオーバーにもなる。電池や回復アイテムを拾いつつ進む必要があるのだ。奥にはボスの「お化け伯爵」も待ち受けている。バリアで光を防ぐため、攻撃を避けて隙を見つけ、フラッシュを当てなければならない。道中での戦いとは少し勝手が違い、お化け屋敷に来たつもりが、最後にはなかなか本格的なボス戦を楽しむことになった。

探索、謎解き、戦闘と遊び応えは十分だが、怖さは5段階中「2」。驚かせるよりも、お化け屋敷を攻略する楽しさが中心の、遊園地らしいホラーだった。

悪夢の住人になりすまし、異形の悪霊から逃げる

ここからは少し怖くなる。「夢中エキストラ」は、星暮保護区の民家にあるベッドで眠ると始まる異象依頼だ。目覚めた先は、家から工場、教室へと脈絡なく繋がる不条理な空間。どうやら悪夢の世界らしい。部屋の構造自体は見慣れたものなのに、繋がり方だけがおかしい。夢の中で感じる、理不尽への納得感まで再現されているようだった。

そこを徘徊しているのは、黒いローブをまとい、顔のあたりが光る異形の悪霊だ。『ハリー・ポッター』のディメンターにライトを取り付けたような姿で、こちらを見つけると襲ってくる。先ほどのお化けたちとは違い、まったくかわいくない。見慣れた住宅や教室に得体の知れない存在がいるだけで、なんとも不気味だ。

ゲームプレイは、悪霊の監視を避けながら進むステルスアクションだ。白い人影の集団に紛れて同じ歩調で行進したり、教室の椅子に座って住人になりすましたりする。勝手に動けば見つかってしまうので、周囲に合わせて何食わぬ顔をしなければならない。

異様な集団に紛れる仕組みは『INSIDE』を思わせる。敵を倒すのではなく、目を盗んで通り抜ける。しかも、なぜ自分がここにいるのか、住人たちは何者なのかもわからない。この状況そのものが、じわじわと不安を煽ってくる。

怖さは5段階中「3」。基本的には決められた道を進む比較的シンプルな構成で、長く迷うことはない。短い時間でゾッとしたい人に向いた、一口サイズのホラーといえる。

マネキンでギチギチの通路を進む、恐怖の最終バス

最後の「最終バスの夜」は、今回もっとも怖かった依頼だ。星暮保護区のバス停から夜のバスに乗り込むと、奇妙な異象空間へ迷い込む。このバスは行き場を失った異象たちを収容しており、プレイヤーは停留所を巡って迷子の異象を連れ帰ることになる。

特徴的なのは、進行中に視点が強制的に一人称になること。いつものように自分のキャラを背後から眺めることはできず、異様な世界と正面から向き合わなければならない。普段は自由に飛び回れるだけに、視点も移動も制限される感覚が余計に心細い。場所によっては走ることすらできず、逃げたいのに逃げられない。

最初の停留所で待つのは、こちらが見ていない間だけ動くというマネキンのような人形たち。視線を向けている間は止まっているのに、目を離すと位置が変わる。背後を確認したいが、目の前の人形からも目を離したくない。視点を動かすこと自体が怖くなってくる。

しかも、大量のマネキンがギチギチに詰まった通路まである。隅々まで探索するなら、人形の身体に触れそうな距離まで近づき、その隙間を縫って進まなければならない。一人称なので顔も身体もやたらと近い。こんな場所には入りたくないが、奥には何があるのか気になる。隙間を探して身体を押し込むように進むうちに、人形のひとつでも動き出したらどうしよう、という考えが頭を離れなくなる。

いざ踏み込めば今度は背後が気になって仕方ない。振り返ったら目の前のマネキンが動くかもしれない。何も起きていないのに想像だけが膨らみ、歩くだけで妙に疲れてしまった。突然驚かされるのも怖いが、この異象では何より「先へ進みたくない」という心理が強烈だった。

別の停留所では黒い人影に追われ、暗闇を逃げてバスに戻る場面もある。ただ、そんな異象たちも、連れ帰ると急におとなしくなって座席に座る。さっきまで恐ろしかったマネキンまで、妙に行儀のいい乗客になるのが可笑しい。

最後の停留所には、なぜかタギドも迷子になっている。強がって乗車を拒むくせに、バスが発車すると慌てて追いかけてくる。最初から乗ればよかったのに。散々怖がらされた後だけに、こうした展開には少しほっとした。

ちなみに筆者は途中で動作が不安定になり、バスに置いていかれた。マネキンのいる空間にひとり取り残され、進行もできなくなる。異象を助けに来たはずが、こちらが救出されたい立場になってしまった。再起動で進められたものの、あの絶望感は忘れがたい。先行プレイ環境での単なる不具合であることを願いたい。

怖さは5段階中「4」。一人称視点、思うように走れないもどかしさ、そしてマネキンに囲まれる心理的な恐怖が際立っていた。『NTE』の異象依頼だからと侮ると、思いのほか怖い思いをするかもしれない。

怖さも遊び方も違う、4つのホラーを体験してみて

Ver.1.4のホラー系異象依頼4本を遊んで印象に残ったのは、怖さだけでなくゲームプレイも大きく異なっていたことだ。「鏡の国の小人たち」は巨大な家を冒険するアスレチック、「鬼行便」は謎解きと戦闘を備えたお化け屋敷。「夢中エキストラ」はステルスアクションで、「最終バスの夜」は一人称視点を活かした心理的なホラーだった。

怖いものが苦手なら「鏡の国の小人たち」から、しっかり怖がりたいなら「最終バスの夜」から挑戦するとよさそうだ。どれにも奇妙なユーモアがあり、単に怖がらせるだけでは終わらないのも本作らしい。怖さが控えめな依頼もホラーの薄味版ではなく、それぞれ独立した遊びとして成立している。

街のちょっとした超常現象から始まる異象依頼だが、足を踏み入れると独立したゲームのような体験が待っている。Ver.1.4では遊園地が追加されたばかりだが、街のあちこちにもまだまだ妙な遊びが潜んでいるようだ。

『NTE: Neverness to Everness』は、PC(公式サイト/Steam/Epic Gamesストア/Google Play Games)/Mac/PS5/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。

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