PvPvEダンジョン探索ゲーム『ダンジョンストーカーズ』は、とにかくとっつきやすいのに奥深い。気づいたらダンジョンをループしている“とっつきやすさの魔力”

Action Squareは、日本時間2月6日よりSteamで開催される「Steam Nextフェス」にて、ダンジョン探索PvPvE『ダンジョンストーカーズ』のオープンプレイテストを開始する。本稿では、筆者が感じた他作品と差別化されている要素を挙げつつ、本作ならではの魅力を紹介していこう。

Action Squareは、日本時間2月6日よりSteamで開催される「Steam Nextフェス」にて、ダンジョン探索PvPvE『ダンジョンストーカーズ』のオープンプレイテストを開始する。期間は2月13日までとなっている。

『ダンジョンストーカーズ』は三人称視点のPvPvEダンジョンクロウラー型探索ゲーム。舞台となるのは、中世ファンタジーをモチーフとした世界。魔女によって創られた謎多きダンジョンをソロ、もしくは最大3人のパーティーを組んで攻略。危険なモンスターや他プレイヤーからの脅威に対処しつつ、ダンジョン内に点在するポータルを見つけ、ダンジョンからの脱出を図るのだ。

2023年初頭より発展を見せた、PvPvEダンジョンクロウラーというジャンル。このジャンルの基本的な流れとして、ダンジョンに潜って、危険を犯しながらもアイテムを回収し脱出を目指す。脱出した後は、手に入れたアイテムを金銭や経験値などに還元し、またダンジョンに潜る……。この一通りのループがPvPvEダンジョンクロウラーというジャンルの基本システムだ。

これはジャンルを象徴する特徴であると同時に欠点であると筆者は感じる。その欠点とは、このループの基本システムがある以上、同ジャンルの他作品と差別化がしにくいという点だ。2023年の流行からこれまでいくつかの作品が発表・リリースされてきたが、どの作品も、はっきりと固有の特徴があるとは言い難い。


しかし、そんな考えを持つ筆者でも、『ダンジョンストーカーズ』は、他作品としっかりと差別化を図ろうとしている作品であることが理解できた。今回、筆者はオープンプレイテストに先駆け、本作の開発チームメンバーと共にゲームをプレイ。本稿では、筆者が感じた他作品と差別化されている要素を挙げつつ、本作ならではの魅力を紹介していこう。

見た目からとっつきやすい

まず、『ダンジョンストーカーズ』は同ジャンルの他作品に比べ、とっつきやすいような工夫が凝らされてある。その工夫のひとつが、プレイアブルキャラクターである「ストーカーズ」の存在だ。本作では、騎士、盗賊、魔法使いといった固有の能力を持ったストーカーズから1人選択しダンジョンへ潜るのだが、このストーカーズのキャラクターデザインが秀逸だ。勇敢そうな女性騎士、屈強な大男、気弱そうな小柄な女の子、髭を蓄えたダンディーな男性など。バリエーションに富んでおり、モデリングの質も高い。造形含め特徴的なキャラクターデザインが、プレイヤーの目を引くことだろう。


加えて、ストーカーズにはそれぞれ名前とこのダンジョンに潜ることになったオリジンのストーリーが用意されている。王国から直々に任を受け、ダンジョン探索に乗り込むものもいれば、行方不明になった娘を探すもの、病を治すためにダンジョンの奥地へと足を運ぶものなどダンジョンに潜る理由はさまざまだ。プレイヤーはプレイするにあたって、ストーカーズを遊びたい能力で選んでもいいし、キャラクターデザインやオリジンのストーリーで選ぶのもいいだろう。キャラクターを選ぶにあたって、性能だけに囚われない理由がゲームに用意されているのだ。

また、そういった魅力的なストーカーズを見せるという面で、本作が三人称視点であることも効果的に感じる。ストーカーズの外見、身にまとっている装備、スキル発動時のキャラモーションが作り込まれているため、それらを存分に堪能することができる。また、ストーカーズにはスキンも用意されているため、手に入れたスキンをダンジョンでゆっくりと眺めることができるのも、また魅力的。


ダンジョンはループしやすめ

また、ストーカーズが潜ることになるダンジョンも、ゲームにとっつきやすくなるような要素が取り入れられている。そのひとつが「魔女の呪い」だ。魔女の呪いとは、ダンジョンに滞在して一定時間経過すると起こるランダムイベント。ダンジョン内にランダムに雷が落下する呪いや、敵を強化する呪いなどといったプレイヤーが不利になるようなものから、モンスターだけが弱くなる呪いや、ヘッドショット攻撃のダメージが上がる呪いなど種類はさまざま。

筆者は、突然ランダムな仲間が一定時間スケルトンに変化してしまう呪いに遭遇。さらに対象は筆者となってしまい、複数いるスケルトンを前に、人間らしい動きをして自分がプレイヤーであることを必死に証明するという、面白おかしな場面もあった。この魔女の呪いシステムのおかげで、ダンジョンに潜るごとにゲーム展開にユニークな変化が起こる。基本的なゲームプレイが同じような作業のループに留まっていないところも、本作ならではの要素だろう。


そして、もうひとつのとっつきやすい要素として、ダンジョン脱出の難易度が高すぎないというところも筆者の評価したいポイントだ。今回の先行プレイでは開発者チームとともに、限られた時間で数回ダンジョンに潜った。運に恵まれたのもあるだろうが、その多くで青いポータルを見つけ脱出成功を果たした。加えて、ポータルは1つで複数人脱出が可能となっており、同ジャンルの作品における脱出ポータルが1人ひとつ必要という制約はない。


もちろん、その制約によって誰を脱出させるか、というやり取りが生まれるのもこのジャンルのおもしろいところ。とはいえ、本作の脱出しやすいつくりのおかげで、1回のダンジョンの探索時間がグッと短くなったように感じた。実際に開発者チームも探索時間は15~20分あたりを想定していると語っており、1回のダンジョン探索を濃密にするというより、何度もダンジョンに潜りたくなるループを作り上げることに念頭を置いているようだ。

しかし、一度ダンジョンに潜ったのであれば、高難易度な挑戦をしたいというのも冒険者の性。ハイリスクハイリターンを望む血気盛んな冒険者には、青色の脱出ポータルではなく、赤色のポータルを通っていただきたい。ダンジョンに極稀に発生する赤色のポータルに入ると、ダンジョンを支配する魔女の番人とのボスバトルが発生する。ボスは相当強く、かなり装備をしっかり整えないと勝利は難しいようだ。今回の先行プレイでは、残念ながら赤色のポータルに出会うことはなかったものの、凶悪なボスとそれを倒した先にある報酬が気になって仕方がない。プレイテストで見つけたなら真っ先に入りたいものだ。

環境利用や、装備・コンビネーションを巡った戦術が楽しい

ここまで、本作が同ジャンルの作品の中でもとっつきやすい点をいくつか解説したが、それに対してゲームプレイの深みが損なわれる、ということはない。むしろ、とっつきやすいおかげで、本作の面白い部分にいち早く触れやすくなっており、ダンジョンへ何度も潜ってしまう“正のループ”に囚われやすくなっているのだ。

まず、本作は1回の戦闘において取れる戦術の幅が広い。例えば同ジャンルの作品でも一般的に使われる、高台などを利用して攻撃するような、いわゆる地の利を活かした戦術。そうした戦術のひとつとして、ダンジョンの薄暗さを利用した暗闇からの奇襲が挙げられる。この戦術は『ダンジョンストーカーズ』においてかなり有効だ。本作は松明などをはじめとする光の表現にかなり力を入れていると語っており、光源があたりにないダンジョンの一部分は本当に何も見えないほどの真っ暗闇だ。

いくら視野が広くなる三人称視点とはいえ、この暗闇からプレイヤーが出てきたらとっさには対処し辛い。

画像を見てわかるように、ここまで暗いとプレイヤーの存在には気づきにくいはず。加えて、ダンジョンでは壁に立てかけてある松明や、焚き火などは攻撃やインタラクトで消すことができる。これにより、作為的に暗闇を作ることができるのだ。逆を返せば、ダンジョンで暗闇に出会ったなら、それはプレイヤーによって生み出された可能性があり、接敵することすらあるということ。暗闇は使い方次第で敵にもなるし、味方にもなる。この暗闇の存在によって、戦術の幅が広がるだけでなく、常にダンジョン探索に緊張感が生まれるのだ。

また、スキルを利用した敵との戦闘では、本作の2つの独自システムにより、更に戦闘に厚みが生まれている。1つ目がアーマーブレイクの存在だ。本作におけるアーマーは恒久的に装備するようなものではなく、耐久度がある使い捨て装備だと認識していただきたい。本作ではアーマーの耐久値が低下すると少しずつ傷ついたりするなど視覚でもアピールされ、アーマーが破壊されれば極度に防御力がダウンする。

ほぼ肌着のアーマー破壊状態


さらに、本作では自らアーマーを破壊することで大幅バフが与えられる「究極技」が存在する。ストーカーズによって与えられるバフは変わるが、攻撃スピードと攻撃力が大幅に上がるものや、ミニマップに敵プレイヤーの位置が表示されるものなど、戦況を大きく変える“切り札”になりうる。筆者のお気に入りは、魔法使いの究極技である魔石「解放」だ。この究極技は30秒間クールダウン、スペルキャスト、MPを無視して魔法を唱え続けられるというトンデモスキル。うまくハマりさえすれば1人でパーティー3人を壊滅させるほどの高火力を持ち合わせており、魔法を唱えまくっているときの快感とカオスさは筆舌に尽くしがたい。

しかし、この究極技はアーマーを破壊することではじめて能力を得られるため、あらかじめアーマーを着用していないと発動できない。そのため、着用していない場合はダンジョンでアーマーを確保する必要がある。なんならダンジョンに入る前に所持品枠を埋めてでもアーマーを持っておいてもいいくらいだ。貴重なアーマーを防御のために使うか、あえて破壊して勝利のために使うかはプレイヤーの裁量次第といえる。

そして、2つ目の独自システムが「コンビネーション」だ。本作の一部のスキルには、雷や毒といった属性が存在する。この属性攻撃を単体で当てると、頭の上に与えた属性と、もうひとつ属性マークが浮上する。このマークに応じた属性攻撃を与えると、コンビネーション効果が発動。なんと属性攻撃を食らった直後に敵が気絶するのだ。このシステムはある程度戦闘に慣れてきたのであれば、積極的に使っていきたいところ。もし仲間どうしでパーティーを組んでプレイするのであれば、コンビネーションを念頭において、スキル構成を組んでみるのもいい。うまく噛み合えば、ダンジョン攻略も容易くなるだろう。

こういった高度なテクニックやシステムは、ゲーム内ガイドから確認できるのでしっかり読んでおきたい

この2つの独自システムによって、駆け引きが楽しい戦闘となり、ゲームプレイに厚みが生まれていることは確かだ。初心者のうちは、地の利や暗闇を利用して、少しずつ生き残り方を学び、戦闘に慣れ、装備が整ってきたらアーマーブレイクや、コンビネーションの概念を理解・活用していくなど、ダンジョンに潜るほど、少しずつ取れる戦略の幅の広がり、上達の実感がしやすいのもポイント。コンビネーションまでうまく扱えるようになったのであれば、上級冒険者と言っても過言ではないはず。この戦術の幅を活かしたプレイヤースキル上昇の実感こそが、本作の楽しさに繋がっている。

頭悩ませるスキルビルド

そして、ダンジョンに潜れば潜るほど、おそらく装備や財宝も手に入っていることだろう。手に入れた財宝は商人と交換しゴールドに還元。ゴールドは装備やポーションの購入に必要。またスキル取得にも使えるものの、まとまったゴールドと、ダンジョン内で手に入る特殊アイテムが複数要求される。本作ではダンジョンに潜る際、「亡骸送還」、「アーティファクト探索」などゲームモードが選択可能。このゲームモードで課せられたミッションをこなすことによって手に入れた特殊アイテムを使うことでスキルが取得できるのだ。

アーティファクトが入手できる祠


アーティファクト探索では、ダンジョン内に点在する祠からアーティファクトを入手。それを持った状態で脱出するのがミッションとなるのだが、アーティファクトを入手すると一定時間、他プレイヤーのマップに自分の現在位置が表示されてしまう。スキルひとつ取得するにも並々ならぬ緊張が訪れるのだ。この危険を冒すヒリつきと、アーティファクトを抱えて脱出した時の達成感による緊張と緩和はひとしお。それを何度も行うことにより、スキルビルドを構築できるのだが、最大4つ装備できるパッシブスキルと、3つ装備できるアクティブスキル。この相性を考えるのにかなりの時間とリソースを要する。さらに、先述した属性攻撃によるコンビネーションのことを考えるともっとビルド構築に頭を悩ませるはず。

強力なスキルであるほど、多くのリソースを必要とする


リソース収集のためにダンジョンに潜り、ビルドを構築、構築したスキルビルドを試すためにまたダンジョンに潜り、また調整……とスキルビルドが組めるようになるころには、すっかりループの魔力に囚われているはず。なにせダンジョンは15~20分ほどのスピードで探索できるため、気づいたら1日に何度も何度もダンジョンに足を運んでしまっているだろう。持ち前のとっつきやすさで、気軽に遊んでいたら、いつの間にか深層までたどり着いてしまうような“とっつきやすさの魔力”が本作にはあるのだ。この魔力こそが『ダンジョンストーカーズ』ならではの特徴となっているのだ。

魔力はさらに強まる

『ダンジョンストーカーズ』は近日中の発売を目処に、現在プレイテストを重ねている最中。そんないわゆる調整中の段階でも、この固有の特徴を持っているおかげで筆者はかなり楽しめた。開発チーム曰く、新要素、新キャラクターの拡充や、公式Discordでユーザーからのフィードバックの受け入れなど、発売に向け着々と準備を進めている段階。このオープンテストプレイ期間で、さらに本作が面白くなる可能性は高い。そうなってしまったらこのダンジョンから出られる日はいつになるのだろうか……。


『ダンジョンストーカーズ』オープンプレイテストはPC(Steam)にて2月6日から2月13日まで開催予定。すでにとっつきやすさの魔力に囚われた筆者はこの1週間のテスト期間で、数え切れないほどダンジョンをループすることになるかもしれない。

Tamio Kimura
Tamio Kimura

エンタメ大好き系ゲーマー。COOPゲームが大好き、クライム系だったらなおよし。

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