Steam日本語アプデ配信『How 2 Escape』の“スマホを併用した友人との列車脱出劇”が面白い。指示側と脱出側に分かれる非対称列車脱出
非対称型の協力謎解きゲームはお好きだろうか。各々が異なる画面を見て通話などで情報を共有しあい、ひとつの答えを導き出していくこのジャンルは、プラットフォームが異なっていても遊べるものが多く、ちょっとしたタイミングで誰かを誘いやすい。プレイ時間もそれほど長くならず、ああでもないこうでもないと意見を交わしながら謎が解けた瞬間は筆舌に尽くしがたいものである。
パブリッシャーのJust For Gamesは12月22日、『How 2 Escape』Steam版において日本語版対応アップデートを配信した。なお現在Steamウィンターセールにて半額の850円でゲームを購入可能だ。
2人プレイの非対称脱出ゲームである本作は、片方が列車に閉じ込められる側、片方が列車の外から助力する側に分かれて謎解きをするゲームである。列車に閉じ込められる側は列車内の風景を見て、助力する側はスマホアプリの情報を見て情報共有をするのが特徴だ。
すでにPC(Steam)/Xbox One/Xbox Series X|S向けに発売され、2024年1月18日にはPS4/PS5/Nintendo Switch向けにもリリースが予定されている本作だが、手元で画面が見えるNintendo Switch版が発売されたことでより遊びやすくなったと言えるだろう。年末年始、家族が集まったり友人と会うことも増えるこの時期にぴったりの本作を、この機会にぜひご紹介したい。なお本稿では一部スクリーンショットが英語であるが、ゲーム内は日本語に対応している。
閉じ込められた列車から脱出せよ
『How 2 Escape』は2人プレイの非対称脱出ゲームだ。プレイヤーは列車に閉じ込められる側(本稿では「脱出側」と呼称)と、列車の外から指示を出す側(本稿では「指示側」と呼称)に分かれ、それぞれまったく異なる画面を見ながら互いにヒントを出し合って脱出を目指すこととなる。
脱出側のエイミーは、ふと目を覚ますとパズルだらけの列車内にいることに気付く。ここから生還するには先頭車両までたどり着き、列車のブレーキを引くしかないらしい。エイミーの弟・ヨハンはスマートフォンでエイミーに連絡を取る。エイミーは電話の向こうにいる弟のヨハンのサポートのもと、列車からの脱出を目指す……というのが、本作の物語である。
同ジャンルのゲームのなかには「同じ画面だけど見えている景色が違う」タイプなどもあるが、『How 2 Escape』はまったく違う画面を見て協力するゲームである。脱出側のプレイヤーはゲーム本体をそのままプレイし、指示側のプレイヤーはスマートフォン向けのアプリをダウンロードするか、Steamにて無料でダウンロードできる「Companion App」を見て脱出側に指示を出すこととなる。指示側は無料で参加することができるので、ゲームの購入が1本分だけで済むのも嬉しいところである。
脱出側の画面
指示側の画面(画像は縦画面のスクリーンショットを3枚並べたもの)
指示側はスマートフォンアプリを利用するのがおすすめだ。本作は指示側がスマートフォンを通じて脱出側に連絡をするシチュエーションから物語が進むため、実際に連絡を取り合っているような没入感を得ることができる。プレイヤー同士の口頭でのやりとりも、通話アプリを用いると臨場感が増すだろう。
どちらで遊ぶか迷ったら
二人のプレイヤーが異なる画面を見て推理をする本作だが、筆者が実際にプレイをしてみたところ、それぞれに違ったスキルを求められると感じた。実際に閉じ込められる脱出側と、ヒントを与える指示側とで、ゲームのプレイフィールが少し異なるのだ。もし本作が気になり、脱出側と指示側どちらを遊ぶが迷っている方がいたら、以下の所感を参考にしてみてほしい。
脱出側をプレイするのは、3D空間を見て相手にどんなものがあるかを伝えるのが得意な側が良いだろう。脱出側は突然謎の車両に放り込まれた状態からゲームがスタートするので、どこにどんなものがあって、何ができそうなのかを相手に伝えなければならないからだ。視覚情報を言語化して、相手にうまく伝えられるとスムーズに攻略が進むだろう。また、怪しげなオブジェクトにピンとくることができる力もあるとなおよい。
本作には脱出までに時間制限があり、時間に余裕がなくなってくると視界がボヤけ、ブレはじめる。この表現はコンフィグからオフにすることもできるが、画面酔いに弱い方はこの機能を切るか、指示側を選ぶのが良いだろう。指示側は基本的に2Dの画面を見てゲームを進めることになるので、3D酔いの懸念は少ないからだ。
指示側をプレイするのは、限られた時間内で長めの文章を読み解き、相手が必要な情報を過不足なく伝えることが得意な側が良いだろう。画面情報が多い脱出側と比較すると、指示側は文章を読んで相手に要約して伝えなければならない場面が多い。長めの文章から必要な要素を噛み砕いて伝達する必要があるので、脱出側よりも文章を読むことを苦にしない人が望ましい。
指示側は脱出の「鍵」となる情報を握っている側だ。画面に表示される情報からメタ的な解釈をし、脱出側に「こういうものがそちらにないか?」と質問できるとよりスムーズに攻略できるだろう。
本作の謎解きはかなり骨太。時間制限もあるのだからなおさらである。定番の暗号を使った謎もあれば、何をどうすれば解決の糸口となるのかという部分から自分たちで考えなければならない謎もある。しかし、だからこそ2人で力を合わせ、謎を解き明かしたときの気持ちよさは格別である。仲間と意見を交わして難題を解決できれば、ゲームだけでなく現実での絆も深まることだろう。
『How 2 Escape』Steam版は、日本語に対応し配信中。現在Steamウィンターセールにて半額の850円でゲームを購入可能だ。国内PS4/PS5/Nintendo Switch版は、2024年1月18日発売予定だ。年末にかけて、家族や恋人、友人などと遊ぶ機会も増えてくることだろう。本作をプレイして、年の瀬のひとときを誰かと頭を捻ってみてはいかがだろうか。