2019年話題となったSteamゲーム6本を編集部が選ぶ。全タイトル遊べる10万円以下のゲーミングPCも紹介
今年2019年もPCゲームを引っ張り続けたプラットフォームSteam。業界ではさまざまなプラットフォームが生まれた1年だったが、機能性や市場に強みを持つSteamは、例年どおりその価値を示していたといえるだろう。そんなSteamでは、今年も数多くのタイトルが生まれた。Steamだからこそ生まれた作品も数多あるはずだ。
2019年はさまざまな作品が話題となったが、それなりにSteamタイトルを追ってきた弊誌AUTOMATONとして、話題になったと感じられる6タイトルをピックアップした。あわせて本稿では、話題となったゲームを動かせるPCを紹介し、実際にそれらのタイトルを動かした結果も報告している。今回は、PC市場で人気上昇中のAMD社製CPU「Ryzen」シリーズを搭載した製品の内、コスパ重視のエントリーモデル「NEXTGEAR-MICRO am560BA1」と、ミドルレンジの性能を持った上位モデル「NEXTGEAR-MICRO am560SA1-SP2」の2製品で動作をチェックしていく。年の瀬ということで、2019年のSteamを振り返り、かつゲーミングPCの購入を検討していただければ幸いだ。
Steamを沸かせた6タイトル
『Remnant: From the Ashes』
今年一番のダークホース
定価4100円、日本語なし(Steamストアリンク)
『Remnant: From the Ashes』は、荒廃したポスト・アポカリプス世界を舞台に、異次元ポータルを介して冒険に出る三人称視点のアクションRPG。ソロプレイとオンラインCo-opに対応している。『ダークソウル』を代表とした作品のコンセプトを、三人称視点シューターに当てはめたという本作には、銃撃ソウルライクARPGという表現がしっくりくる。そしてサプライズヒットという意味では、今年一番の作品だろう。2019年8月、発売前の知名度の低さや宣伝量・反響の少なさからは、おそらく予測できなかったであろう好スタートを切り、Steamの売上上位チャートでは初週トップに。同時接続プレイヤー数もピーク時4万人超えを記録し、10月には100万セールスを突破したと発表された。
プレイした人が、口コミ効果で広げていきやすい作品でもあった。「銃撃ソウルライクARPG」「周回プレイを想定した自動生成マップ」「オンライン協力プレイ対応」「装備品収集要素」「ポスト・アポカリプス」「異次元冒険」……。短くキャッチーなフレーズで見どころを紹介しやすいのだ。そうして事前購入者向けの先行プレイ期間中にゲームの評判が広がっていき、ローンチを勢いづけていった。
もちろん、三人称視点シューティングとしての手触りや、ローリング回避の動作・フレーム数といった、アクションの土台部分にしっかりとケアが行き届いていたことが、成功の大前提としてある。アクションゲームとしての基礎と、一対複数を基本とした戦闘チューニングに力を費やしたことが垣間見える。ただ剣を銃に変えたソウルライクとして終わらせるのではなく、剣を銃に変えた際、ソウルライクなアクションゲームとして面白くするにはどうすべきなのか。その根本的な問いに対する答えのひとつとして生まれた『Remnant: From the Ashes』は、それまで『Darksiders II: Definitive Edition』『Darksiders III』を手がけてきたGunfire Gamesの経験と情熱が実った作品だ。
『MORDHAU』
奥深さを備えた情熱の中世剣戟アクション
定価3090円、日本語なし(Steamストアリンク)
『MORDHAU』は、中世の騎士や剣士となって戦うマルチプレイヤースラッシャーゲーム。本作と同ジャンルの作品『Chivalry: Medieval Warfare』のコアなプレイヤーたちが集い、もっと楽しく、もっと堅実で、もっとプレイしやすいゲームを目指して、情熱を持って作り上げられたタイトルだ。2017年に行われたKickstarterキャンペーンで成功を収めた後、予定より1年遅れの2019年4月にSteamでの正式リリースを迎えると、本人たちにとっても予想外なことに1週間で50万本以上の売上を記録し、同時接続数は6万人以上に。一躍Steamの人気タイトルの仲間入りを果たした。
ゲームプレイではかなり溜めの長い攻撃モーションと、反応は良いものの隙が生じるパリィを使い、最大64人が一堂に会する中世の戦場で戦う。ロングソード、スピア、メイスなどの近接武器に加え、馬に乗って戦場を駆ける騎士や、遠くから弓を射掛ける弓兵、盾を構えた臆病者もいる。多様な武器を手に取ったものが集まり、それぞれに相手の命をつけ狙うフィールドはカオスだ。突出した相手を側面から狙って多体一の状況を作り出したり、百戦錬磨の相手に為す術もなく殺されたり、盾を構えてみたり、命の価値が暴落した中世の戦闘をお祭り感覚で味わえるようになっている。しかし、恐らく本作の真価はそこにはない。インディーゲームスタジオTriternionが作り出そうとしたものは、1対1の状況で発生する奥深い駆け引きにある。攻撃の溜めが長いということは、防御が容易であるということだ。Botの繰り出す単調な攻撃程度なら、すぐに防ぎきれるようになるだろう。底の浅い剣士同士の戦いでも、冗長な剣戟が繰り返される。しかし、熟練の騎士たちが繰り出す一撃は当たる。本作にはフェイントを含め、判定の発生箇所やモーションを利用した攻撃を当てるためのテクニックがあり、彼らはそれを駆使し、読み合い、屍の山を積み上げていく。スキルキャップの高さと、それが活きるゲームプレイこそが、本作がプレイヤーの支持を集めた源泉なのだろう。
「Dota Auto Chess」
新たなジャンルを開拓した作品
「Dota Auto Chess」の、あるいはオートチェス系とでも呼ぶべき作品群の面白さは、ままならないことにある。『Dota 2』のMOD版「Dota Auto Chess」、Valveの『Dota Underlords』、『League of Legends』のゲームモード「チームファイトタクティクス」、『Hearthstone』のゲームモード「バトルグラウンド」、本家本元Drodo Studioの『Auto Chess:Origin』。オートチェス系作品は多数リリースされているが、基本的なルールはどれも同じだ。ラウンドごとに手に入るリソースを使って、ランダムに提示されるユニットを購入し、ユニットを盤面に並べ、ターン毎にNPCや対戦相手と戦う。勝てばノーダメージでラウンドを乗り切れるが、負ければ盤面の状態に応じたダメージを負う。プレイヤーのHPが無くなればその時点で敗北となり、最後の1人になることがゲームの目標だ。ただ強いユニットを置けば良いわけではなく、ユニットにはそれぞれ種族/クラスなど、複数揃えて配置することにより発生するシナジーがある。リソースにもユニットを購入する以外の用途があり、ユニットの配置数増加やリロールが行えるほか、温存しておけばボーナスが得られる。リソースの使い途やタイミングを模索し、ユニットの構成を考え、より強い盤面を作り上げたものが最終的な勝者になるのだ。
環境によって理想の構成や流行りのプレイング、こうしていきたいと思い描くプランは常にある。しかし、狙ったユニットが3体/9体すぐに揃うことは稀だし、そもそも1体も来ないなんて事態も良くあることで、思ったとおりにはいかない。多くの場合、想定していたゲームプランは乱数の前に打ち砕かれてしまう。手なりに打つのか、リソースを使って強引に狙うのか、あるいは敗北を許容してリソースを貯めるのか―――想定外の状況で臨機応変な対応を求められ、常に思考を回転させる。ランダム性によって思い通りにならないからこその面白さが、オートチェスにはある。
奇しくもかつて『Warcraft III』のMODとして誕生し、MOBAの祖となった「Defense of the Ancients(DotA)」と同様に、今年『Dota 2』のMODとして登場して以降、ジャンルの礎となりつつある「Dota Auto Chess」。世界的なオンラインゲームメーカーを代表に、リリースされた多数のオートチェス系作品がその面白さを証明している。MOD版「Dota Auto Chess」だけでなく、フォロワーたちもそれぞれ違った面白さを持ちつつ、どれもオートチェスらしい醍醐味に溢れている。遊んだことのある作品のスピンオフなどを入り口に、2019年を代表するジャンルを是非遊んでみてほしい。
【UPDATE 2019/12/28 19:00】『World of Warcraft』のMODとの誤記訂正。
『Risk of Rain 2』
2Dの名作を3Dで再解釈した続編
定価2376円、日本語あり(Steamストアリンク)
Steamで販売されるインディーゲームの数が爆増する前の、2013年に発売された前作『Risk of Rain』。未知の惑星に不時着した貨物船クルーとなり、大量のモンスターやマシンが押し寄せるステージを探索。強化アイテムを集めつつ、テレポーターで次のステージへと移動していく2Dアクションゲームだ。時間の経過により難易度が上昇するという特徴的なシステムと、運と腕のバランスが生む中毒性、ボリュームのあるやりこみ要素などにより人気を博した。性質の異なる複数の操作キャラクターと、さまざまな補正効果をもたらす無数のアイテム群。それらをうまく組み合わせることでバケモノ級の強さを発揮し、圧倒的な物量で襲いかかる敵を一網打尽にする。だがいつまでも無双し続けられるわけではなく、いずれ時間(=難易度)が強さに追いつき、一瞬の油断で死に絶えてしまう。ああ、もっと上手く立ち回れたはず。もしくは、アイテム運が足りなかった。もう一回挑戦してみよう……。そうやって繰り返し遊んでしまうような、リプレイ性の高いゲームであった。
そして2019年3月、『Risk of Rain 2』の早期アクセス販売が開始される。Steamを代表するインディーゲームのひとつとなった『Risk of Rain』の続編だけあって、発表された当時から話題を呼んだ。根幹となるゲームシステムは同じ。操作キャラクター、アイテム、敵もおなじみの顔ぶれ。ただ決定的に違うのは、前作の2Dアクションから3Dアクションに変化し、立体的なアクションが可能になったこと。ファンに愛された部分はそのまま残しつつ、アビリティやアイテムの効果も含め、『Risk of Rain』を3Dゲームとして再解釈したのである。続編においては、どこまで新しいことに挑戦して、どこまでオリジナルの要素を残すのか、という問いが付き物。その点、本作は2Dから3Dに大きく転換しつつも、ファンに求められている『Risk of Rain』らしさを見失わず維持することで、新旧ファンの心を掴んでみせた続編といえるだろう。ステージを素早く突破することを優先するのか、アイテム集めに時間をかけるのか。そのバランス感覚や、ソロでもCo-opでも楽しめるゲーム設計も健在。アイテムドロップのランダム性に左右されながらのビルド構築、無双状態から一転して突如訪れるゲームオーバーなど、『Risk of Rain』のエッセンスは全て詰まっている。早期アクセス開始から順調にバランス調整・コンテンツ追加を進めており、2020年の正式リリースが大いに期待できる作品だ。
『Bloodstained: Ritual of the Night』
懐かしくも新しいラブレター
定価5480円、日本語あり(Steamストアリンク)
2019年のSteamゲームを語る上で押さえておきたい作品のひとつ、『Bloodstained: Ritual of the Night』。本作はコンソール向けにもリリースされていたが、国内向けにはPCでの発売が最速で、Steamレビューの評価が極めて高く、Steamがクチコミの発信源のひとつとなっていた。発売されるやいなや、あっという間に高評価で埋め尽くされていった当時の圧巻の光景を、筆者は今でも覚えている。Steam250でも目を見張るほどの圧倒的な評価の高さ。それを理由に、『Bloodstained: Ritual of the Night』を、今年を代表する作品のひとつに選びたい。
カリスマクリエイターが独立し、原点に立ち返った作品をつくる。そうしたニュースは業界では少なくなく、ファンに希望を与える。しかし、その希望という名の期待に応えられるかは別の話。新作の発売時期が何度も延期していればなおさらだろう。しかし『悪魔城ドラキュラ』の生みの親である五十嵐孝司氏は、そうした不安を、純朴すぎるほど丁寧なゲームづくりによって払拭した。『Bloodstained: Ritual of the Night』そのものは、革新性を持っているわけではない。主人公ミリアムとして城の内外を探索する、ごくごくシンプルなゲームだ。しかしそうしたシンプルで原始的ともいえるゲームデザインを突き詰めている。手触りの良いアクションに、プレイヤーを飽きさせない巧みなギミックに満ちた迷宮。同じ場所で同じ敵を倒す意義を生んでいるシャードとアイテムのドロップ要素に、そうしたドロップと成長の成果をダイレクトにアクションへと反映させるゲーム全体の骨組み。探索を柱に据えながら、戦闘や収集、クラフトに成長などを絡ませることで、探索の動機づけを強めている。探索をしていれば新たな発見があるし、発見したアイテムを使ってミリアムを強化したくなるし、そのミリアムを使って戦いたくもなる。端的にいえば、探索と戦いと強化のサイクルがきれいに循環されているのである。それらのサイクルは、前述したように「操作の手触りのよさ」によって支えられていることにも言及しておきたい。
2019年にリリースされたクラシックで丁寧なメトロイドヴァニアは、2019年のSteamを代表する傑作のひとつであると断言できる。ファンの心を熟知したクリエイターであるからこそ作れた、旧来そして新たなファンへのラブレターであるだろう。
『Baba Is You』
業界人が評価した独創ゲーム
定価1520円、日本語あり(Steamストアリンク)
弊誌は今年4月、Nintendo Switch向けインディーゲームについて、複数のテーマに分けて業界関係者にオススメタイトルをうかがう企画記事を掲載した。筆者はその集計を担当したのだが、特に印象的だったのが「独創的なゲーム」という項目。多数のゲームに票が分散するなか、唯一この『Baba Is You』だけは非常に多くの支持を得ていたのだ。先行して国内発売されていたPC版のSteamレビューの評価は「圧倒的に好評」となっており、業界の中の人にも一般のゲーマーにも絶賛されている作品だと言える。
『Baba Is You』はどのように独創的なのか、ゲームプレイの一例を紹介しよう。本作は、ブロックを動かしてステージのゴールを目指すパズルゲームである。上の画像のように、ステージには文字のブロックが存在し、その文章がステージのルールとなる。たとえば「BABA IS YOU」は、白い奇妙な生き物Babaがプレイヤーキャラクターという意味。「FLAG IS WIN」は、旗に触れればステージクリアである。しかし、骸骨(SKULL)に触れると死んでしまう(DEFEAT)し、壁(WALL)を超えることもできない(STOP)ため、Babaが旗の元へ行くのは不可能に見える。
では、「WALL IS STOP」の「WALL」を動かして文章を壊してみよう。すると壁を超えられないというルールがなくなり、壁の外に出られるようになるのだ。しかし、依然として骸骨が邪魔しており、触れると死ぬというルールは超えられない岩によって守られている。ここで求められるのが、発想の転換である。骸骨の向こう側にあるオブジェクトは、旗以外には壁しかない。ならば、壁をプレイヤーキャラクターにしてしまえば良いではないか。つまり「WALL」を動かし「BABA」と入れ替えて、「WALL IS YOU」にするのだ。
『Baba Is You』では、このようにステージのルールを変えることができ、いかに既成概念にとらわれないヒラメキを得られるかがクリアのカギとなる。ステージは200種類以上存在し、文字ブロックや作れるルールはほかにも多数。本作は、単に独特なシステムを持つだけでなく、これをプレイヤーの発想力を刺激する新たなパズルとして絶妙に昇華させたことで、独創的であると絶賛されるに至ったのである。
実際に動かしてみた
マウスコンピューターから発売中の「NEXTGEAR-MICRO am560」シリーズ。ケース前面上部には、USB端子に加えてHDMI端子も備えて8万円台から最新のゲームが動くPCを取り揃えていることが魅力のシリーズだ。
記事では、「2019年に話題となったSteamゲーム」としていずれも2019年にリリースされた6作品を紹介してきた。今回それらのタイトルをテストするPCはふたつ。十分にこれらの作品が遊べるスペックを持っている、ゲーミングPCとしてはエントリーモデルである「NEXTGEAR-MICRO am560BA1」(以下、NG-am560BA1)。今回は同PCに、BTOでメモリを16GBへ増量(+税別7800円)、1TB HDDを追加(+税別5800円)するカスタムを行っている。もうひとつは、同シリーズの上位モデル「NEXTGEAR-MICRO am560SA1-SP2」(以下、NG-am560SA1-SP2)。合計2台をマウスコンピューターからお借りして、実際に快適に動作するかをテストした。
今回マウスコンピューターからお借りした内の1台「NG-am560BA1(エントリーモデル)」は、CPUに第3世代Ryzenから6コア/12スレッドに対応するRyzen 5 3600、GPUにNVIDIA製のエントリーモデルGTX1650を採用。カスタムを考慮しないのなら、10万円あればついでにSteamでゲームも買えるお手頃なゲーミングPCだ。本機に搭載されているRyzen 5 3600は、第3世代Ryzenの中ではエントリーの部類に入るCPUだが、エンコードなどでは価格以上のパフォーマンスを誇る。
一方の「NG-am560SA1-SP2(上位モデル)」は、CPUに第3世代Ryzenから8コア/16スレッドに対応するRyzen 7 3700X、 GPUにAMD製のミドルレンジモデルRX 5700を搭載。最新のゲームが動作するのはもちろん、画像処理や配信用途などでも非常に高い性能を持っている。
ちなみに「NG-am560BA1(エントリーモデル)」及び「NG-am560SA1-SP2(上位モデル)」に搭載されている第3世代Ryzenは、AMDから2019年7月に発売されたZen2マイクロアーキテクチャを採用したCPUだ。第3世代Ryzenでは、2018年に発売された「Ryzen 7 2700X」などの第2世代Ryzenから、ゲーム用途において重要なシングルスレッド性能が大幅に強化。元々Ryzenが得意としていた画像処理やエンコード、YouTubeでの配信などに加えて、ゲームでも十分なパフォーマンスを発揮するようになっている。ゲーム以外の側面も考慮した場合、コストパフォーマンスに優れているのが第3世代Ryzenの特徴となる。
今回のテストにおける両製品の差異としては、GPUの性能差が大きい。そのほとんどは「NG-am560BA1(エントリーモデル)」に搭載されたGTX1650と、「NG-am560SA1-SP2(上位モデル)」に搭載されたRX5700の差が出た結果と言えるだろう。
テストを実施した6タイトルは、いずれもベンチマークや相当するモードは用意されていない。そのため、タイトルごとに個別に設定を変更しつつ、解像度はフルHD(1920×1080)に設定した状態で5分間のゲームプレイを行い、計測ツール「OCAT(※)」を用いてパフォーマンスを測定。平均フレームレートと99th-percentile(※)を元に算出した最小フレームレートを掲載している。また、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」及び「ファイナルファンタジー XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」でもベンチマークを行い、テスト結果を掲載しているので参考にしてほしい。なお、今回のテストにおいてOS側の設定には変更を加えておらず、工場出荷時の設定のままテストを実施している。
※OCAT:
フレームレートをオーバーレイに表示したり、パフォーマンスの計測ができるオープンソースのツール。The Open Capture and Analytics Toolの略称でもある。
※99th-percentile:
ざっくり表現すると、例外を除いた99%の描画にかかっている時間。
『Remnant: From the Ashes』『MORDHAU』「Dota Auto Chess」テスト結果
では順にテスト結果を見ていこう。上記の画像は『Remnant: From the Ashes』のテスト結果である。本作にはプリセットがないため、Texture QualityやAnti-Aliasingなど一部グラフィックオプションをMediumとUltraで切り替え、フレームレートのリミットを解除した状態でパフォーマンスを測定した。「NG-am560SA1-SP2(上位モデル)」のテスト結果では、Ultra設定においても最小フレームレートが60を越えており、非常に安定して動作している。
一方「NG-am560BA1(エントリーモデル)」は、Medium設定でも平均フレームレートは65、最小フレームレートは54となっており、5分間のプレイでも重さを感じるシーンがあった。Ultra設定になると平均フレームレートが43になっており、最低フレームレートは34。プレイ自体はできるが、なめらかな動作には至らない印象だ。もし、「NG-am560BA1(エントリーモデル)」やそれに近いスペックのマシンで『Remnant: From the Ashes』をプレイするのなら、設定を少し落とすと安定したゲームプレイが得られるだろう。
続いて、上のグラフが『MORDHAU』の結果となる。『MORDHAU』では、設定項目の中からFRAME RATE LIMITのみ250へ変更。主要なゲームモードにして、最大64名が参加する「Frontline」にてテストを実施した。「NG-am560SA1-SP2(上位モデル)」のテスト結果では最小フレームレートも73を記録しており、多数の敵に囲まれたとしても普段と変わらないパフォーマンスが発揮できることだろう。
「NG-am560BA1(エントリーモデル)」では平均フレームレートも60を割り、最小フレームレートは29になっている。概ね遊べるといえば遊べるが、確かに重い瞬間は存在する。設定項目のうち、View Distanceを除きUltraに設定していたオプションをMediumに下げた状態で1分間フレームレートを測ってみたところ、平均フレームレートが約90、最小フレームレートが約70にまで改善した。戦場でカクつきを感じたのなら、設定項目を下げるのもありだろう。
上記が「Dota Auto Chess」のテスト結果だ。グラフィック設定にてDirect 3D11モード・プリセットBest Looking・フレームレート上限を240へ変更。実プレイに近いデータを得るため、ランクマッチに参加して7人のプレイヤーを相手に計測を行った。しかし、ラウンド1の結果はともかく、ラウンド20にもなればすでに敗退しているプレイヤーが発生している場合や、構成やユニットによって複数のエフェクトが飛び交うなど状況が全く異なるため、あくまで参考程度としてほしい。
ラウンド1の結果から見ていくと、「NG-am560SA1-SP2(上位モデル)」「NG-am560BA1(エントリーモデル)」共に安定した数値を示しており、快適にプレイできていた。一方、ラウンド20以降のデータでは、共に最小フレームが30近い数値になっている。これはゲームの進行により、1プレイヤーあたりのユニット数が大幅に増加した結果だ。最小フレームを記録していたのも、互いの盤面に対戦相手のユニットが登場し、派手なバトルが行われる戦闘中だった。戦闘中こそエフェクトによってカクつく瞬間もあったが、それ以外の場面では快適にプレイできるフレームレートを保っており、オートチェスの場合戦闘中は見ているだけなので、概ねプレイに支障はなかったといえる。戦闘の様子をじっくり観察したいのなら、最高設定ではなくもっと負荷の低い設定を採用するべきだろう。
『Risk of Rain 2』『Bloodstained: Ritual of the Night』『Baba Is You』テスト結果
『Risk of Rain2』にはプリセットがないため、影の設定やテクスチャ解像度、最大死体数などの項目を個別に設定し、フルHD解像度で可能な限り負荷のかかる状態にした上で、フレームレート上限を解除してテストを行った。ゲーム開始直後のデータでは、敵が少ないこともありどちらも非常に安定している。
『Risk of Rain2』は、時間経過に伴ってゲーム内の難易度が上昇し、敵の数が増えていく。敵の数が増えれば当然負荷も上昇する。また、テレポーター起動時にはボスが登場し、その際も敵の沸きが増える。上記は「広漠平原」にて難易度が1段階上昇するまで待ち、テレポーターを起動した時のデータだ。ようするに、序盤ながらそれなりに負荷がかかっている状態である。計測までの区間でアイテムを入手したり、出現している敵とボスの種類も異なり、全く違う条件でのデータなため、数値は一例に過ぎない。その上でデータを見ていくと、戦闘の激化に伴いFPSが低下し、両製品で似たような数値を示しており、興味深い結果が得られている。
「広漠平原」は最初のステージであり、今回計測した状態よりも負荷の高い状況が本作にはまだまだある。設定を下げた状態のデータは、影の解像度・シャドウカスケード・陰影距離・最大死体数をそれぞれ中程度まで引き下げたものだ。こちらもあくまで一例だが、重いシーンに出くわした際には、グラフィックオプションを下げることで一応の効果が見込めるだろう。
上記のグラフが、『Bloodstained: Ritual of the Night』のテスト結果となる。『Bloodstained: Ritual of the Night』では、フレームレートの上限を解除した状態で、いくつかのグラフィックオプションを最高に設定し計測を行った。平均フレームレートにこそ差はあるが、どちらのPCにおいても非常に安定して動作しており、フルHD解像度のゲームプレイで困ることはないだろう。
FPS Is 60。『Baba Is You』のテストにおいては、フレームレートの上限を解除する設定もないため、デフォルト設定のままテストを行った。その結果が、上記のグラフである。「NG-am560BA1(エントリーモデル)」の方が平均フレームレートにおいて安定した数値を出している点は興味深いものの誤差の範囲であり、非常に軽いタイトルであるためこの条件では差が出ていない。『Baba Is You』のようなライトな2Dゲームであれば、とても快適にプレイできる。以下、「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」及び「ファイナルファンタジー XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の結果。
PCゲームの世界へ
6タイトルの中でも比較的重いタイトルにおいては、グラフィックオプションの設定も相まって「NG-am560BA1(エントリーモデル)」では厳しい局面もあったが、設定の変更なども考慮に入れれば6タイトルすべてがプレイ可能といえるだろう。なお両製品はマウスコンピューターのG-Tune公式サイトから購入可能だ。
今回紹介したタイトルは代表的な作品を取り上げていることもあり、PlayStation 4やNintendo Switchで発売されている作品も含まれていたが、Steamには早期アクセスタイトルも含め、他のプラットフォームではリリースされていない未知の良ゲーや魅惑のバカゲーなど、世界中から集まった多数の作品がリリースされている。本稿で紹介した「NG-am560BA1(エントリーモデル)」も含め、ゲーム用のPCといっても必ずしも高価なものばかりではないので、これを機会にPCゲームの世界に興味を持ってもらえれば幸いだ。
【UPDATE 2020/1/8 9:30】
Steamウィンターセール終了に伴い、表題および内容を調整。