『モンスターハンターワイルズ』新プレビューで“蜘蛛感”が増したネルスキュラに挑み、新エリア「油涌き谷」「氷霧の断崖」を駆け巡る。シームレス化がもたらす力強い没入感

2023年末の初報から幾月が経ち、もう今月末に発売を控えた『モンスターハンター』シリーズ最新作『モンスターハンターワイルズ』。筆者は昨年8月の試遊プレイに続き(該当記事)、新たなプレビュー版を先行してプレイする機会に恵まれたため、本稿では現時点で判明している作品の内容を紹介していきたい。
『モンスターハンターワイルズ』は『モンスターハンター』シリーズ最新作。発売日は2025年2月28日を予定している。価格は通常版が9900円。特典付きのDeluxe Editionが1万1900円。Premium Deluxe Editionが1万3900円(いずれも税込)。対応プラットフォームはPC(Steam)/PlayStation 5/Xbox Series X|S、となっている。本作にてプレイヤーは、強大なモンスターの狩猟を生業とするハンターとして禁足地の調査に向かい、その世界と人々との関わりを解き明かしていく。
ププロポルとネルスキュラ

体験会が始まってまず挑戦することになったのは、沼噴竜ププロポルの狩猟だ。舞台となるのは「油涌き谷」。文字通り、泥のような性質を持つ黒ぐろとした油が地面から沸き立つ渓谷である。泥地をイメージしたエリアは旧作にも何度か登場したが、「油涌き谷」の景観は土色ではなくタールの黒に染まる。谷の底を流れる油泥はハンターの足を取る沼と化しており、非常に動きづらい。また、「油涌き谷」には文明の跡が残る遺跡が数多く存在しており、本作のストーリーに深く関連している場所であることが示唆されている。
一方、「ププロポル」はペストマスクのような頭に、鎌のような爪を持つ腕、バルーンアートの如くパンパンに膨れた体を特徴としているモンスターだ。生息地にあふれる油の影響なのか、体表はぬらりとした光沢をまとい、青の模様が黒の世界に映える。PVでは同じ地に生息する「アジャラカン」に縄張り争いで押されていたが、実際の強さは如何ほどか。
ご飯や装備を整えて、いざ狩猟開始だ。筆者が担いだのはガンランス。新アクションとして「竜杭フルバースト」が追加されたり、竜撃砲の仕様がゲージ制に変わったり、クイックリロードが集中モードでも可能であったりと、順当に新しくなっていることが明らかとなっている武器種である。
ププロポルは主に、鎌のような爪で引っ掻いてくるほか、ガスを噴射する尾を地面に刺すことで地面の油泥を噴き上げる攻撃を得意とする。これがガンランスにとって相性が悪かった。死角から湧くガスが防御をまくってくるのだ。機動力が低いことも相まって、とにかくチマチマと体力を削られていく。さらにつらいのは、地面の油泥によって移動速度が低下している上、ププロポルが細い舌を伸ばして毒霧攻撃をしてくることである。毒のスリップダメージとガードまくりのコンボが筆者を追い詰める。

しかし天は筆者を見放していなかった。積み重ねたダメージが傷口を破壊する。ププロポルがダウンする。さっきまでの威勢はどこへやら、自前のガスが体から抜けて萎んだ姿は、びしょ濡れになった毛むくじゃらの犬のようにしおしおだ。そういえば獣竜種だったな……。なんとも言えぬ可哀想な感覚に襲われたものの、筆者の攻め手は止まることを知らない。携えたガンランスの炎が、ププロポルと黒い油泥に火を付ける。ドロドロとした湖に炎がゆらめく中、ププロポルの狩猟が完了した。PVの演出と手応えからして、おそらく「油涌き谷」の生態系においては下層に位置するのだろう。毒と足場に注意すればそこまで苦労はしない難易度であった。
次に挑戦したのは影蜘蛛「ネルスキュラ」の狩猟である。ネルスキュラは蜘蛛のような外見をしており、糸で動きを封じる戦法を得意とするほか、毒や睡眠の状態異常を操るなど搦め手を駆使して攻め立てる。ハンターを動けなくしてからの鋏角による一撃は痛烈の一言だ。ちなみに、このモンスターは『モンスターハンターXX』以来ひさびさの登場であり(『モンスターハンターストーリーズ』や実写映画などの関連作には登場していたが)、ゲリョスというモンスターを捕らえている生態が確認されていた。本作にもゲリョスの登場が判明しているため、リアルに描かれた捕食シーンが観られるかもしれない。だが、筆者の捕食に関しては上手く行かなかったようだ。

ネルスキュラの狩猟は「氷霧の断崖」というエリアで行われた。「油湧き谷」の情景とはうって変わって、こちらは寒色がエリア全体を覆っており、立っているだけで凍えそうな環境である。そしてやはりというべきか、装備品の中にはスタミナの最大値減少を緩和する「ホットドリンク」が予め用意されていた。ご飯を食べて、ガンランスを担ぎ、早速ネルスキュラのもとへ向かう。自動でターゲットのもとに連れて行ってくれる「セクレト」の存在が改めてありがたい。やがてネルスキュラに接近すると、小グモの大群がお出迎えだ。わらわらと群がるばかりですぐに焼き払ったため、印象には特に残っていないが、もしかすると細かなダメージを与えてくるのだろうか。そして久々に観るネルスキュラは、最新ハードの描画力を通じて、より蜘蛛らしさが増している。爪や鋏角が鈍い光沢を放つ一方で、身に纏う皮や腹部の質感が生々しい。ハンターの拘束用に吹きかけてくる糸のテクスチャも気合が入っている。筆者は拘束を解除する消散剤の携帯を忘れていたため、全力でレバーをガチャガチャするはめになってしまった(ちなみに、睡眠対策の元気ドリンコは忘れずに持っていった)。
しかし、ガンランスが持つ堅実さがネルスキュラの戦術に噛み合う。爪によるひっかきや、鋏角によるはさみ攻撃、糸を活用したアクロバティックな動きにも、どっしりと構えて対応することができる。それは相手を巣に追い詰めても同じことだ。ダメージを積み重ね巣に追い詰めると、小グモを向かわせたり、天井や地面から強襲したりと行動パターンが増える。天井からの攻撃はかわすだけでなく、広範囲を攻撃できる武器なら叩き落とすことも可能であり、地面(巣に潜る)からの強襲は予兆がわかりやすい。状態異常になってもオトモが治してくれる。特に苦戦を強いられることなく、ネルスキュラの狩猟も完了した。
シームレスな没入感に驚く

最後に残り時間を使って、本作の序盤をプレイ。チュートリアルから炎尾竜「ケマトリス」の狩猟、そして刺花蜘蛛「ラバラ・バリナ」に遭遇するまでを体験した。プレイを開始して最初に驚くのは、カットシーンとゲームプレイがシームレスに移行することでもたらされる没入感である。『モンスターハンターシリーズ』は作品ごとにストーリーが設けられており、その進行形態は「拠点→フィールドにワープ→カットシーン→狩猟→拠点」というサイクルを基本としていた。本作は拠点とフィールドの間に移動という操作体験が入っているほか、フィールド中のその場で物語が進行することもある。文字にすると大したことがないように思えるが、実際は体験としてより豪華に、印象深いものにグレードアップしている。拠点からフィールドへ地に足つけて移動する。カットシーンではなくその場で進行する、NPCがルーティーンに沿ってフィールドを移動するという、「ゲームらしさ」を取り除く工夫は、世界の実在感をよりくっきりとしたものにし、ハンターとして世界を調査する体験に埋没させてくれる。
「ケマトリス」の狩猟は本作におけるThe「先生」といったオーソドックスな体験であった。鶏のような意匠が入っているが、れっきとした肉食の獣竜種である。特徴的な尻尾攻撃や火炎で地面を燃やす攻撃など、範囲攻撃を繰り出してくることを特徴としており、狩猟を通してそれらの対処を学べるモンスターとなっている印象だ。先ほどまでププロポルやネルスキュラと、癖のあるモンスターと戦っていたのもあり、狩猟の中には一方的に攻撃できる心地よい爽快感があった。
狩猟のあとは、現地の村である「風音の村 クナファ」に移動。調査をしながら、カットシーンを通じて村の名産であるチーズ料理に舌鼓を打つ。今作も料理のテクスチャには気合が入りまくっているが、同時に顔の筋肉にも気合が入っている。美味しい食事をしているときの「もぐもぐ」とした口の動き方は、観ていると腹が減って料理がしたくなる。なお、本作の世界にはこのような村々が点在しており、住民は特定のルーティンに沿って行動、移動する。災害のような生物がうようよする世界で彼らがどのように生きているのか、モンスターだけでなく、人間を観察するのも面白さの1つである。
やがてストーリーが進行し、新たなフィールド「緋の森」に到達した筆者。その姿はサバンナのような「隔ての砂原」とは180度異なり、鬱蒼とした湿地帯という様相である。そんな緑の中に、赤い水辺が異彩を放つ。やがて「ラバラ・バリナ」と出会い、狩猟が始まったのだが、あえなくタイムアップ。薔薇のような蜘蛛との戦いは製品版に持ち越しとなった。

今回の試遊レポートは以上となる。来月末に発売が予定されている本作ではあるが、前回の試遊に引き続き、実際のプレイに対する期待感をより煽るような、小出しにされて焦らされているような、ワクワクが詰まった体験だった。ちなみに、本作の発売直前に、オープンベータテストが2回にわたって開催される(関連記事)。1回目は終了済みで、2回目は「2月14日(金)12時〜2月17日(月)11時59分」というスケジュールになっている。新たなモンスターの狩猟や、シームレスな演出によって生まれる世界の実在感を、ぜひ体験して欲しい。
『モンスターハンターワイルズ』はPC(Steam)/PlayStation 5/Xbox Series X|S 向けに2025年2月28日発売予定だ。