老舗MMORPG『ArcheAge』が大型アップデートでグラフィック大幅向上。今こそ初心者が始めるべき理由とは
来たる4月22日、老舗MMORPG『ArcheAge(アーキエイジ)』における大型アップデート「ArcheAge6.5 庭園」が配信される。新マップやダンジョンが追加されるほか、目玉となるのがこれまでに類を見ないグラフィックの刷新だ。一方、7周年を間近に成長を続ける本作は、いまだ新規冒険者にも広く門戸を開いている。これから本作に触れる人にはどのような体験が待っているのか。そしてアップデートを経た本作の生彩はどれだけ変化したのか。その詳細に迫っていこう。
あらゆる自由が許され、世界を形づくるRPG
『ArcheAge』は株式会社ゲームオンがサービスを運営するファンタジーMMORPGだ。舞台となるのは、古き神々の争いから2000年が過ぎた2つの大陸。プレイヤーは東西の勢力に分かれた6つの種族の一員となり、古き伝説の真相へ迫る冒険に巻き込まれる。このストーリーを探究していくことが1つの目的だ。しかし楽しみ方はそれだけではない。たとえば2つの大陸に分かれた勢力は互いに争っており、しばしばPvPの「戦争」が巻き起こる。バトル好きのプレイヤーは自勢力の兵に加わり、対戦で腕を競うことも可能。あるいは旅や争いに目もくれず、ひとつところに根を下ろして土いじりに励む「農民プレイ」を選ぶこともできる。まさにロールプレイをしながら、あらゆるライフスタイルを選択できる点が本作最大の特徴といえるだろう。
自由度の高さは、本作の「職業」システムにも表れている。キャラクターは「格闘」「魔法」「愛」といった12種類の「適性」から3つを選び、その組み合わせによって職業が決まるのだ。適性が異なれば覚えるスキルも異なる。近接アタッカーやデバフ特化型など好きな戦闘スタイルを選ぶことができ、適性の選び方で220種類もの職業をチョイスできる。また、選んだ適性はいつでも変更可能という点も他のMMORPGと大きく異なるポイントだろう。さまざまな適性・スキルを試しながら、もっとも自分好みの職業を探り当てるのも楽しいところだ。
そして先述のとおり、『ArcheAge』が誇るのが農業・酪農といった「生活プレイ」の充実度。家を建てれば自家菜園で野菜を収穫することができるし、家畜を育てることもできる。あるいは工芸の腕を磨いてアクセサリーを生産したり、果ては音楽家として実際に作曲した楽譜を世に広めることも可能なのだ。しかも、こうした生活プレイのひとつひとつが経験値として加算される。戦闘だけでなく、牧歌的な農民プレイでもレベルを上げることが可能なため、地道にコツコツ続けることが得意な人にもぴったりなコンテンツだ。
もし効率重視でとにかく利益をあげたい、もしくは旅人としてさまざまな景色を見てみたいなら、貿易商として生産物を各地に送り届けることで身を立てることも可能。そして、たとえ剣を取らない村人や商人として生きても、その手で生み出された生産物は種族を潤す。巡り巡って勢力の戦力にもつながり、どんな生き方をしてもコミュニティとの絆が生まれるシステムとなっているのだ。あらゆる自由が許され、すべての生き方が世界を形づくる壮大なゲームが『ArcheAge』といえるだろう。
光と影、色彩のすべてを一新するグラフィック向上
大型アップデートの目玉が、かつてない規模のグラフィック刷新だ。従来のアップデートでも少しずつ改修が行われてきたものの、一部オブジェクト追加や、山岳・空など全体の描写にかかわるライティングの調整など、今回のような大掛かりなグレードアップは今までにないものになるという。すべてのビジュアルが格段に進化しながら、必要スペックは変わらずという点も驚きだ。このたび、先行プレイで新旧グラフィックを比較する機会が得られた。いったいどんな変化が表れたのか、画像とともに詳しく見ていこう。
西大陸の中心都市、中世ヨーロッパのような石壁の街「マリアノープル」の遠景を望む。まず目がいくのは空の表現の変化だ。以前のバージョンでは単色の淡い水色の上に雲が流れるだけだったが、新バージョンにおける色調の複雑さは目を見張るものがある。青みの深さは幾重にも変化し、光を乱反射して浮かび上がる雲は確かな質量と透明感をたたえている。また街の景観に目をやれば、今回のグラフィック刷新が単に明度の調整にとどまらないことがわかるはずだ。複雑な尖塔の数々がより鮮明に浮かび上がり、一方で石造りの外壁はより堅牢な印象に。かつての白茶けた印象だったグラフィックよりも、より年季を経た重厚感が伝わってくる。素材によってその質感を最大限引き出す、細やかな調整が施されていることがわかるだろう。
続いてチェックするのは西大陸の中央に広がる「ホワイトフォレスト」、シラカバの木が群生するエリアだ。旧バージョンではゴツゴツした岩場にぽつりぽつりと樹がしがみついているような、やや殺風景な印象だった。しかしアップデート版では植林がほどこされ、「ホワイト」の名に恥じない美しい植生が見られる。また旧版ではテクスチャが沈みのっぺり見えた岩場も、新たなグラフィックではより凹凸感が際立つリッチな質感となった。また全体を印象づけているのが空気感の変化だ。以前のライティングでは、ただCG空間に光を当てているような均一な印象だった。しかし現行版を見ると全体的に青みがかった色調になっていることがわかる。空気中に含まれた水蒸気で光が屈折しているかのような、有機的な画面となっているのだ。コントラストも増しているため、遠景の草葉のシルエットまでくっきり浮かび、景色全体が引き締まった印象を受ける。
西大陸の南に位置する「地獄の沼地」。薄暗い湿地帯で、屍肉を喰らうモンスターがうろつく危険な地帯だ。ここにはもともと濃い霧が充満しており、遠くまで見通すことが困難なエリアだった。ところがアップデート版ではずいぶん視界が開けた印象。霧が透き通り、かなり向こうまで見渡すことができる。ある面では不気味な雰囲気が減ってしまったという見方もでき、ここは好みが分かれる点かもしれない。ただし沼地の刷新についてはある狙いが存在する。
いかにも陰鬱なエリアだが、実はこんなところでも住宅地が存在し、家を建てることができるのだ。地獄の沼地はその悪路ゆえ、各地との交通の便が悪い。翻っていえば、交易の競争相手が少ないということだ。そのためこの地を貿易拠点とするプレイヤーにとっては魅力的なハウジングエリアとなっている。今回の改良で沼地の霧がクリアになったのは、こうした住民がより暮らしやすいように視界を確保するための施策だという。なお霧の濃度以外にも樹々の植生がより自然なものとなり、草木のテクスチャも精彩になった。新バージョンでは木漏れ日が差し込むなど、光の表現にも注目したい。
変更が加えられたのは固定の街並みだけではない。プレイヤーがハウジングできる家屋の1つ「素朴なヌイア住宅」が大きくイメージチェンジを遂げた。上にあげた写真は一見同じ住宅とは思えないかもしれないが、同一の物件を旧バージョン・新バージョンでそれぞれ撮影したものである。アップデート前の「素朴なヌイア住宅」は全体的に重く沈んだ色合いで、新築でも半世紀くらい年季が入ったような古めかしい作りだった。ところが装いを新たにした「素朴なヌイア住宅」は一転、シルバニアハウスのような明るいパステルの色合いに。これからハウジングをはじめる第一歩としてふさわしい、初々しく鮮やかなカラーリングとなっている。もちろん屋根などの色は従来同様、好きなものから選択可能だ。
ところで今回のアップデートは建物や自然風景の刷新が主だが、キャラクターについても変更が加えられたポイントがある。それは6種族の1つ、「エルフ」の女性キャラクターの顔立ちだ。旧版ではつるりとした肌をしており、いささか作り物のような印象が否めなかった。そこでアップデート版では肌のきめ細やかさを大幅に改良。テクスチャの枚数を増やし、より人間らしい風合いの肌を実現した。なお今回の調整により目鼻立ちのパラメータ反映結果が変更となるため、アップデート前後では顔立ちが変わるユーザーも出てくるという。これに伴い運営は外見を変更可能なエステ利用チケットの配布を予定している。元の顔立ちに戻すもよし、あるいはこの機にイメチェンを図るのもありだろう。
ちなみに、エルフは意外にも『ArcheAge』においてもっとも使用率が低い種族だという。対して人気なのはおじいちゃん&ずんぐり体型が愛嬌のある「ドワーフ」。新グラフィックで抜群の精彩度をもつエルフか、他のMMORPGでは見られないユニークなドワーフか、これから『ArcheAge』を始める人はキャラクターメイクで楽しい悩みが増えることだろう。
さらなる戦いへ誘う上位者向けコンテンツ
また今回の大型アップデートでは高レベル向けコンテンツも拡充された。目玉の1つはソロで挑戦できるインスタンスダンジョン「冥府の夜」。ここでは「魂の力」と呼ばれるポイントを消費してNPCを召喚し、一個小隊を組んでミッションに挑むことになる。強力なNPCほど魂の力を多く使い、いちどやられるとしばらく新たな兵力を呼びだすことができない。ポイントを管理しながら時間以内にミッションをこなすことが重要だ。クリアすれば貴重なアクセサリーが手に入るため、歯応えはあるが挑む価値のあるダンジョンだろう。
もう1つ最大の追加要素となるのが新規マップ「庭園」の登場だ。ストーリーでも語られる、太古の遠征隊が足を踏み入れた別世界の土地だ。『ArcheAge』の物語の深層に触れる多彩なフィールドでは、「精霊の頼み事」と呼ばれるデイリークエストの周回がメインになる。クエストの報酬を決めるポイントはあらゆる手段で獲得することができ、敵の討伐や釣り・採集、あるいは立っているだけでも加算される。成績しだいで貴重な装備をさらに強化できるアイテムを得ることができるという。また「庭園」の特徴として、ランダムで他サーバーのユーザーたちとマッチングされる点も挙げられる。同一サーバーの味方以外はPvP可能な敵となるため緊張感が高まる一方、ロビーでは平和にコミュニケーションすることもでき、交流の幅が広がりそうだ。今回追加された庭園には「秋」エリアと「冬」エリアが存在。まだ地図には空白地帯が大きく存在するため、今後の展開にも期待が高まるところだ。