『バーンアウト』の開発陣が立ち上げたスタジオ、苦渋の「スタッフ全員解雇予告」。新作『Wreckreation』発売も、収益見込めず支援も得られず

Three Fields Entertainmentは12月4日、同社のスタッフ全員に対し「解雇予告」をおこなったと発表した。『Wreckreation』の収益が見込めないことが理由だという。

デベロッパーのThree Fields Entertainmentは12月4日、『Wreckreation』の公式Xアカウントにて、同社のスタッフ全員に対し「解雇予告」をおこなったと発表。ゲームの収益が見込めないことが原因とのことだ。

Three Fields Entertainmentは独立系のゲームデベロッパーだ。かつてElectronic Arts(EA)傘下で『バーンアウト』シリーズの開発を手がけたCriterion Gamesを前身としている。2013年にEA傘下を離れ独立し、Three Fields Entertainmentを設立。2016年にデビュー作『Dangerous Golf』をリリースしていた。

その後複数作品のリリースを経て、2025年10月にはTHQ Nordicのパブリッシングにてオープンワールドレースゲーム『Wreckreation』を発売している。同作では、MixWorldと呼ばれる巨大なオープンワールド世界にて、さまざまな物体を配置して独創的なコースを形成できる点が特徴。プレイヤーはフレンドなどの作ったコースをオンラインで自由に遊ぶことができる。

本作は2025年10月28日にリリースされたものの、UIのスタイルや解像度設定などをはじめとした不備などから不評を招き、本稿執筆時点では263件中61%の好評率で「賛否両論」ステータスとなっている。とはいえ、複数回のパッチ配信によって設定の追加や不具合修正がおこなわれ、過去30日間のレビューでは41件中87%が好評とする「非常に好評」ステータスを記録。アップデートによる改善が図られていたわけだ。

そんな本作に関連して、12月4日にThree Fields Entertainmentが声明を発表。同スタジオが閉鎖の危機に直面し、開発チーム全員に解雇予告をおこなったという。声明においては、先述したような『Wreckreation』の評価まき直しを経ても、当面の間はゲーム販売による収益は見込めないと説明。かつ今年の大半と、本作リリース後のすべてのコンテンツ開発を同スタジオの自己資金で賄ってきたそうだ。

またそうした中で、パブリッシャーから開発継続のための“熱意(enthusiasm)”や金銭的な支援を得ることができなかったため、スタジオを維持することが不可能になったと述べている。一定の改善はあったものの、『Wreckreation』の初動の評価面での躓きは開発継続に大きく影を落としたのだろう。

またThree Fields Entertainmentはこの発表にあわせ、今後実装予定だった「イライラ棒」風モードやHUDリニューアルといった新コンテンツを動画で紹介している。スタッフが全員解雇となればこうしたコンテンツの実装は絶望的とみられるものの、誰かが可能性を見出し、何らかのチャンスが生まれるかもしれないという希望をかけての動画公開とのこと。仮に希望が叶わなくても、開発チームの情熱や技術力の証として残したい思いがあったと綴っている。

元Criterion Gamesの開発陣が手がける新作レースゲームとして注目を浴びていたものの、開発チームが全員解雇となる『Wreckreation』。実績ある開発元といえども巻き返しは難しい、厳しい業界の状況もうかがえる。

『Wreckreation』はPC(Steam)およびPS5/Xbox Series X|S向けに販売中だ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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