宇宙RPG『アウター・ワールド2』、発売前だけど「9900円→8900円」に定価値下げ。“定価80ドル化”を見送りか

Obsidian Entertainmentは7月23日、10月30日に発売予定の『The Outer Worlds 2』について、定価の値下げを発表した。

デベロッパーのObsidian Entertainmentは7月23日、10月30日に発売予定の『The Outer Worlds 2』について、海外向け価格を79.99ドルから69.99ドルへと引き下げることを発表した。ゲームソフト市場において、80ドル級のゲームソフトが現れ始めたことに対するユーザーの反発を受けた措置とみられる。

『The Outer Worlds 2』は一人称視点のRPGだ。舞台はワープドライブ技術の拠点である巨大コロニー「アルカディア」。この場所では、政府・企業・科学者集団の3つの派閥によって、土地の支配権を巡る派閥戦争が巻き起こっている。プレイヤーは地球議会から送られたエージェントとして、すべての人類を滅ぼさんとする「時空の裂け目」の原因を突き止めることを目指す。

2019年に発売されたヒット作『The Outer Worlds』の続編となる本作は、2021年6月のゲームイベント「E3」にて最初の発表がおこなわれた。そして今年6月9日に放送された「Xbox Games Showcase」では発売日が10月30日となることが明らかとなった。一方で、その後発表された本作の海外価格が79.99ドル(日本向けには9900円)になることが波紋を呼んでいた。

そんな中でObsidian Entertainmentは7月23日、公式Blueskyアカウントにて価格の改定を発表。投稿されたポストでは、「企業に自由に行動させないようにすることに専念する組織として、地球議会は“削除済み”と協力して『The Outer Worlds 2』の価格を改定した」と説明された。本作の世界観に則りつつ、なかば自虐的に価格設定の高さを認めたかたちだ。

Dear Galactic Citizens!We have received your SOS via skip drone about the pricing. As an organization devoted to making sure that corporations do not go unfettered, we at the Earth Directorate have worked with [REDACTED] to revise the price of The Outer Worlds 2.

Obsidian (@obsidian.net) 2025-07-23T14:02:33.084Z

価格の変更はすぐさま実施され、すでに79.99ドルから69.99ドルへと価格が引き下げられている。また日本向け価格も同様に、9900円から8900円へと値下げがおこなわれた。なおXboxの広報担当者が海外メディアWindows Centralに提供した声明の中では、現在の市場状況に合わせて、『The Outer Worlds 2』を含むホリデーシーズンのフルプライス作品の価格を69.99ドルで維持する方針が示されている。そして価格改定前の79.99ドルですでに本作を予約購入したユーザーは、各小売店で払い戻しを受けることができるという。

このように、当初約80ドルを予定していた価格への反発、そして定価変更がおこなわれた背景には、任天堂が6月5日に発売したNintendo Switch 2向けソフト『マリオカート ワールド』の価格設定があるとみられる。同作の海外向け価格は79.99ドル(日本向けにはダウンロード版が8980円、パッケージ版は9980円)で、従来の業界水準である70ドルからすると高額な価格設定が注目を集めていた。

米任天堂社長のDoug Bowser氏は、開発費やゲームプレイの幅といったさまざまな要素を加味したうえで、『マリオカート ワールド』に80ドルという価格が設定されていることを説明している。少なくとも任天堂においては、価格はあくまでタイトル次第であるとの姿勢を示していた(関連記事)。ただ同作はNintendo Switch 2のローンチを飾る注目タイトルであり、業界水準が引き上げられるのではないかといった懸念も生じていた。

『マリオカート ワールド』

そうした反響も広がる中で、『The Outer Worlds 2』の販売価格が当初は79.99ドルと発表。本作は現時点で任天堂製コンソール機に展開予定はない。ただ『マリオカート ワールド』の発売直後だったこともあり、任天堂が提示したゲームソフト価格の新たな水準に追従しているのではないかとする推測も生まれ、議論を巻き起こすことになったわけだ。

なお『The Outer Worlds 2』のディレクターであるBrandon Adler氏はインタビューに対して、ゲームの販売価格はゲーム開発者が決定するものではなく、約80ドルという価格が設定された理由についてはXboxの担当者に聞く必要があると回答している(GamesRadar+)。価格設定はパブリッシングを手がけるマイクロソフト側がおこなっていたようで、このたび同社から今年のホリデーシーズンに展開されるタイトルについては、本作を含めフルプライスでも70ドルとなることが示されたかたち。

昨今ではゲーム作品の規模拡大にともない、開発コストも高騰傾向にある。前述したBowser氏の見解にあるように、開発に関するさまざまな要因にもとづいて適当な価格を決定するメーカーも多く、タイトルや地域によって“フルプライス”の価格設定はまちまちだ。一方で、今回『The Outer Worlds 2』の価格に対してユーザーの反発があったように、大規模開発あるいは人気シリーズの新作タイトルをもってしてもユーザーに受け入れられにくい価格ラインが存在するという現状はあるのだろう。とはいえ、開発費回収のためにも定価水準の引き上げの必要性は業界内で高まっているとみられる(関連記事)。今回のマイクロソフトが約束した“定価70ドル据え置き”も、少なくとも今年のホリデーシーズンに限った発表であり、今後の業界の動向は注目される。

『The Outer Worlds 2』は、PC(Steam/Microsoft Store/Battle.net)/PS5/Xbox Series X|S向けに10月30日発売予定だ。Xbox PC/Game Pass向けにも提供される。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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