「Steamレビューを書くのはハードル高い」という意見にゲーム開発者がこぞって背中を押す。一言でも批判でも、レビューされないよりずっといい

Steamにおけるユーザーレビューについて、ハードルが高いと尻込みする声に対し、ゲーム開発者が、一言でもいいから投稿してほしいと背中を押す場面が見られた。

日々Steamでゲームをプレイするユーザーの中には、「Steamでレビューを書くのは難易度が高い」と考えている人もいるだろう。あるXユーザーが投稿した、「レビュー投稿のハードルの高さ」をつぶやくポストに対して、複数の開発者が「一言のレビューでもいい」として、気軽にレビューを投稿することを後押しする流れが生まれているようだ。

Steamでは実際にプレイしたゲームに対して、ユーザーがレビューを投稿することが可能だ。ゲームのストアページにて、レビュー文章を入力し、「おすすめしますか?」という問いに対して「はい」「いいえ」の2択を選択して投稿する形式となっている。投稿したレビューにはプレイ時間も表示され、そのほかのユーザーが自由に閲覧できる仕組みだ。また、レビューの公開範囲をフレンドに限定することができる公開設定オプションも用意されている。

しかし、レビューの執筆にあたり、心理的障壁からなかなか書けないユーザーも一定数いるようだ。発端となったのは個人ゲームエンジン開発者のdolphilia氏のポストだ。同氏によると、人の作品を批評することに対して心理的ハードルがあり、Steamで一度もレビューを書いたことがないそうだ。実際、プレイヤー数とレビュー数の比率については、販売価格や経過期間との相関関係が報告されており(関連記事)、おおむね30人~50人に1人がレビューする傾向がある。つまり、レビューしない人が大多数であり、理由はさまざまながら、同じような心理的ハードルで書けない人もいるだろう。こういった心理的ハードルに対して、複数の開発者がハードルを下げるような後押しをしている様子が注目されている。

たとえば『リーサルアプリケーション』などをリリースしている大雪戦氏は、ポストを引用しつつ、「一行や一言でもいい」と反応。続くポストでレビュー数が10件以上になると、Steamでの表示回数が4倍に増えた実例を紹介している。

また『Slot & Dungeons』を開発中のSparkWingGames氏もリポストしつつ反応。「gg」という2文字のレビューだろうと書いてもらうことでSteamでの露出が増えることを伝えている。同氏自身も一言レビューを書くことを実践し、現在は171件のレビューを投稿済みとのことだ。

そのほか『雑音系少年少女 DEMO』を公開中のMYU氏は過去の投稿をリポスト。レビューを書きにくい人のために、面白ければ「d(≧▽≦)GOOD!」の顔文字だけでもレビューしてほしいとストアページに記載していることを紹介。コメントを例示することで、ひとこと投稿するハードルをさらに引き下げる狙いだろう。ストアページにはこの顔文字を用いたレビューが複数投稿されており、レビュー投稿の後押しとして、一定の効果をあげているようだ。

こうして複数の開発者が伝えている通り、レビュー数はゲームの注目度にも直結する。具体的にSteamではレビュー数10件を基準にSteamでの表示回数が変わることが報告されている。この傾向はデータでも示されており、マーケティングコンサルタントのChris氏のポストによると、レビュー10件に到達した瞬間にストアページへのアクセス数が跳ね上がっている様子が確認できる。同氏の推測によれば、アセットフリップなどにより粗製乱造された低品質なゲームが、ディスカバリーキューに表示されないようレビュー数によるしきい値が設定されているとのことだ。

なお、Steam公式情報からもこのようなしきい値の存在は確認できる。配信直後のインディーゲームや、DLCなどのストアページではレビュー数が10件に満たないものがあり、レビュー件数にカーソルを合わせると「スコアの生成には、さらに多くのユーザーレビューが必要です」と表示される。さらにSteam開発者向けのドキュメントSteamworksには、レビュースコアはストアの露出に影響があるかという質問に対する回答が掲載。好評率40%以上の「賛否両論」以上のレビュースコアであれば露出に影響しないことが明記されている。

逆に言えば、レビュー数10件に達してレビュースコアが生成されない限り、露出は下がってしまうことが予想される。ちなみに同ページには、Steamキーで有効化したプレイヤーはレビュースコアに反映されないことも明記されているため留意されたい。なお、レビュー以外の露出に関する主要な要素も公開されている。好調なタイトルであれば「話題の新作」などに表示されやすくなるとのことで、好評レビューが寄せられれば露出が増え、さらにレビューを獲得できる好循環も期待できるだろう。

さらに、レビュー数の影響は露出だけではない。生成されるレビュースコアもレビュー数によって変化する。たとえば、好評率80%以上の「非常に好評」はレビュー数50件に達することで生成され、好評率95%以上の「圧倒的に好評」はレビュー数500件に達することで生成される。そのほか、直近30日間のレビューとして表示される「最近のレビュー」では、しきい値となる好評率は同じながら「非常に好評」は10件のレビューが必要であり、「圧倒的に好評」は100件のレビューが必要となる。つまり、レビュー内容もさることながら、レビュー数も常に重視される指標となっているのだ。

2024年には1万9000本ものタイトルがリリースされ、そのうち約80%があまりプレイされなかったことも報告されているSteam(関連記事)。その中には出来がよくともレビュー件数が10件に満たず、露出が制限されているゲームもあるかもしれない。そういったゲームをプレイすることがあったり、またゲームをプレイして面白いと感じたのであれば、難しいことは考えずに、一言「よかった」とだけレビューを残すのもよさそうだ。

Haruki Maeda
Haruki Maeda

3DアクションRPGと犬をこよなく愛するPCゲーマー。『フォールガイズ』のようなわちゃわちゃ系も大好きです。

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