デベロッパーのSDK Innovationは10月11日、「Junk Store」をPC(Steam)にて配信すると発表し、Steamストアページを公開した(関連記事)。一方、10月15日に突如ストアページは閉鎖。SDK Innovationの報告によると、Valve側からは本アプリが「Steamでサポートされていない機能を含んでいる」とみなされたという。
「Junk Store」はゲームではなく、Steam Deckで使用することを目的としたランチャーアプリだ。Epic GamesストアやGOG.comなど、ほかのPCゲームストアにてユーザーが所有するゲームを、Steam Deckでプレイする際に役立つ機能が想定されていた。
「Junk Store」では、まずはEpic GamesストアとGOG.comがサポート予定となっていた。本アプリから各ストアのアカウントにログインすると、それぞれで所有するゲームがストアごとのタブに分けて表示され、個別にインストールしてプレイ可能とのこと。Epic Gamesストアのゲームであれば、同ストアの実績機能やEOS(Epic Online Services)オーバーレイにも対応するという。
通常Steam DeckにてEpic GamesストアやGOG.comのゲームをインストールする場合は、Linux PCとして利用できるデスクトップモードに切り替えて、Epic Games LauncherやGOG GALAXYといった各ストアのランチャーを導入する必要がある。「Junk Store」ではそうした手間なく、デフォルトのゲームモードのまま、アプリ内でゲームのインストールから起動までが完結することが説明されていた。
また、Steam Deckのインターフェースや機能に対応し、たとえばクイックアクセスメニューから各種設定をおこなったり、互換レイヤーであるProtonのバージョンをゲームごとに指定したりといったことも可能とのこと。知識さえあれば、ユーザー側で機能を追加することもできるとされた。
「Junk Store」のSteamストアページは10月11日に公開されたものの、10月15日にはすぐさまストアページが閲覧できなくなった。このことについて、Redditの本作コミュニティにてSDK Innovationが説明をおこなっている。同スタジオは本アプリのストアページ閉鎖についてValveのSteamサポートチーム に問い合わせたようで、Valveからの返信を収めたスクリーンショットが紹介されている。
Valve側の説明によると、本アプリにはSteamがサポートしていない機能が含まれていたとのこと。具体的には、Steamクライアントのコードや動作、インターフェースを変更できるアプリだとみなされたそうで、プレイヤーやコミュニティに害を及ぼす可能性があるためサポート対象外だという。
一方でSDK Innovationは、Valve側の懸念に対処できる可能性があると説明したとのこと。しかしその返信としてValve側からは「Junk Store」の目的と、Steamでの動作の性質上、Steamにて本アプリをリリースすることは不可能だと伝えられたようだ。つまり、一部機能を調整するだけでリリースすることもできないと判断されたのだろう。
「Steam Deck」にて、Steam以外のPCゲームストアを利用しやすくなる点で一定の注目を集めていた「Junk Store」。当初ストアページが公開されていたことから、一時はValve側が本アプリのストアページ申請を承認したとみられるものの、後からそうした判断が撤回されることとなった模様だ。
先述のスクリーンショットでは、ValveがSDK Innovationに対して「混乱を招いたことをお詫びします」と伝えており、ストアページ開設に際しての手数料も払い戻されるようである。SDK InnovationはRedditの投稿にて「自分たちには休息が必要だ」としており、少なくとも現時点では「Junk Store」のリリースは断念されるとみられる。