中華ソウルライク『明末:ウツロノハネ』アプデで突如「倒すと死んでたボスがけろっと生きてるように変更」され、困惑広がる。“史実系キャラの扱い”を巡ってか

『明末:ウツロノハネ(WUCHANG: Fallen Feathers)』にて8月12日に実施されたアップデートにて、ひっそりと「一部のボスや敵が死ななくなるように」変更されたことが物議を醸している。

明末:ウツロノハネ(WUCHANG: Fallen Feathers)』にて8月12日に実施されたアップデートパッチ1.5で、ひっそりと変更された要素が物議を醸している。

本作は、明代末期の古蜀を舞台とするソウルライク・アクションRPGだ。本作の世界では、忌まわしいモンスターを生み出す謎の疾病「羽化病」が蔓延していた。主人公の無常は、記憶喪失の女侠である。本作で彼女は、体を蝕む恐ろしい羽化病に苦しみながら、古蜀の地を探索。羽化病によって生み出されたモンスターたちと戦い、失われた記憶や刻まれた呪い真相へと迫っていく。

戦闘においては、ジャスト回避や所定のコンボで「須羽」がストックされる仕組みが特徴。須羽を消費することで、威力が大幅に強化されたスキルを使用することが可能だ。このほか敵に倒されたりすると内なる「心魔値」が蓄積されていき、心魔値が一定以上の状態で倒されると、「心魔降臨」により、倒された地点に強敵が出現するシステムも特徴となっている。

本作に向けてはアップデートパッチ1.5にて、さまざまな調整が実施。たとえば回復動作がわずかに高速化したほか、回復の回避キャンセルが可能になった。また起き上がり時に追撃を受けにくくなるような無敵時間の微調整、罠に関する難易度緩和などもおこなわれている。

そうしたなかで「一部NPCの行動・ステータス・マップ構造を見直し、新規ダイアログを追加」といった記載と共におこなわれた調整が、一部プレイヤー間で物議を醸している。パッチノート内で具体的な説明はおこなわれていないものの、本アップデートによって一部ボスや敵が“死亡しなくなる”ような表現変更がおこなわれているのだ。

たとえば「大明将軍」劉承恩や「撫南将軍」劉文秀など、複数のボスから死亡演出が撤廃。アップデート前は撃破後に舞い散る羽根や煙と共に消え失せていたが、アップデート後は撃破後に体制を立て直し、生きていることが明示される演出が追加された。撃破後に会話が可能なボスもいれば、追加のセリフを発した後はこちらの攻撃を受け付けずその場に立ったまま動かなくなるボスも見受けられる。

さらに今回のパッチでは、近づくと怯えてプレイヤーに石を投げてくる民間人NPCであった農民への攻撃が不可能に。また第4章にて描かれる反乱においては、敵NPCとなっていた多くの明兵が非敵対NPCに変更。こちらも攻撃することが不可能になっている。

そうした不思議な変更が加えられた背景について公式は説明していないものの、主に中国語ユーザーが発売後に寄せた批判が関係している可能性がありそうだ。というのも本作発売後には、Steamユーザーレビューにて一部中国語ユーザーが人物や歴史に関わる描写について批判を投じていた。本作は先述のとおり明代末期の古蜀をモチーフに展開されるダークファンタジー的な世界観が特徴で、実在の人物も登場する。明代末期といえば史実では、漢民族による明王朝が李自成による農民反乱で打ち倒された時期だ。その後建国された順王朝は、満州族により滅ぼされ清王朝に取って代わることになった。

本作では農民反乱などは史実に基づいて描かれているものの満州族などは登場しない。漢民族である明兵や明王朝側の実在の人物を一方的に殺して回る構図となっているといった非難が、一部ユーザーから発生していたようだ。

また本作の世界では三国志でお馴染みの英傑、趙雲が復活を遂げており、条件を満たすと主人公の前に立ちはだかる。英雄的な存在である趙雲の扱いや、殺害できることもまた、一部から批判を受けていたようだ。そのためか先述したボスに加えて、趙雲も撃破後に“死なない”ようになっている。

とはいえ今度は、そうした描写の変更について、欧米のユーザーを中心に批判が集まることに。殺伐とした世界観の本作にて、ボスを撃破してもすぐ立ち直り、お互い攻撃することもなくなる描写の不自然さが指摘されている。また趙雲についても“不本意な復活”に主人公が引導を渡すといった描かれ方をしていたものの、調整によって台無しになっているという声もみられる。さらには先述した第4章の明兵の非敵対化によってゲームバランスも変化しており、突然の変更に混乱が広がっているかたちだ。

発売後に「NPCを殺せないようにする」という珍しい調整がおこなわれた『明末:ウツロノハネ』。あくまでファンタジー作品ながら史実をベースにしていることで、主に中国語ユーザーからの批判が寄せられたことが背景にあるようだ。とはいえ突如変更となった点から、ファンの間で波紋を広げている様子。PC版では、パッチ1.5以前の状態に戻す非公式Modまで作成される事態となっている。いずれにせよ2つの文化圏のユーザーコミュニティの間で“板挟み”になっている公式が、今後調整をおこなうかどうかは注目されるところだろう。

明末:ウツロノハネ』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中。PC/Xbox Game Pass向けにも提供されている。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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