日本舞台の『サイレントヒルf』がヒットしたので他の国の“サイレントヒル化”も視野に。ロシア・イタリア・中南米なども候補に模索中

『SILLENT HILL』シリーズの統括プロデューサーを務める岡本基氏が、次回作ではさらに別の国を舞台とする可能性について言及した。

『SILLENT HILL(サイレントヒル)』シリーズの統括プロデューサーを務める岡本基氏は、『SILENT HILL f(サイレントヒルf)』のヒットを受けて、次回作ではさらに別の国を舞台とする可能性について言及した。海外メディアInverseによる取材で明らかとなった。

『SILENT HILL f』は、サイコロジカルホラーゲーム『サイレントヒル』シリーズの最新作。舞台となるのは1960年代の日本の架空の田舎町・戎ヶ丘で、岐阜県下呂市金山町をモデルにしているという。主人公となる学生の深水雛子は平凡な日常を過ごしていたものの、町は突如霧に包まれ、奇怪な何かがうごめくおぞましい場所に変貌することに。町を探索して謎を解き、身を守るために戦うなかで、美しくもおぞましい選択の物語が繰り広げられる。

本作は9月22日にデラックスエディション向けのアーリーアクセスが開始され、9月25日に発売。9月26日時点で全世界累計出荷本数が100万本を突破している人気作だ。

これまでのシリーズ歴代作品では、その大半がアメリカ・メイン州にある架空の街「Silent Hill」を舞台としていたのに対し、本作はシリーズとして初めて日本を舞台としている。今回、『サイレントヒル』シリーズの統括プロデューサーを務める岡本基氏がInverseの取材に対して、舞台の選択について答えた。

岡本氏によれば、日本の他にも本作の舞台として検討していた特定の場所があったという。本作では舞台が日本であったことにより、地方の伝承を深堀した上で、ゲームのホラー要素と結びつけることができたが、世界中の他の文化に対しても同様のアプローチがとれるのかもしれないと考えているそうだ。たとえば中南米を舞台とすれば、より地域に根付いたシャーマニズム的な信仰を取り入れ、それがどのように結びつくのか見ることができるかもしれないと発言。一方、ロシアやイタリア、韓国といった他の地域にも視野を広げていけるかもしれないと述べており、なぜならそれらの地域もその土地独自の信仰体系を持っているからだとしている。岡本氏はそうした要素が『サイレントヒル』のコンセプトをさらに広げるきっかけになると考えているそうだ。

なお舞台の例として挙げられた中南米地域について、軍事政権やクーデターによる影響を強く受けてきたという歴史に触れつつ、それらの土地ではある種の虚勢(bravado)や男性優位主義(machismo)が存在すると発言。同時にシャーマニズムや地元の信仰から来る民間伝承的な側面もあるとしている。『SILENT HILL f』にて日本の古い男女観を恐怖とともに描いたように、そうした地域の性質もホラーと結びつけやすい要素として見据えているのだろう。

とはいえ中南米地域を舞台に選ぶ上では懸念事項もあるという。中南米には興味深い映画や書籍などは多く存在するものの、『サイレントヒル』のようなIPを扱うことができる有名ゲームスタジオがあまりないということも問題だそうだ。というのも、『SILENT HILL f』の開発に携わったのは台湾の開発会社のNeoBards Entertainmentながら、コナミデジタルエンタテインメントの日本チームやモデルとなった自治体との連携のもとで、1960年代の日本の風景や歴史を詳細に調査したことを明かしていた(Inverse)。

その土地の信仰や伝承に根付いた物語を作り上げるためには、現地チームとの連携は不可欠とみられ、信頼あるスタジオの存在は舞台を選ぶ上での条件となっていくのかもしれない。いずれにせよ、『SILENT HILL f』のヒットはSilent Hillの街から舞台の選択肢を広げるきっかけになっているようで、シリーズの今後は注目される。

『SILENT HILL f』はPS5/Xbox Series X|S/PC(Steam/Epic Gamesストア)向けに発売中。

この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

記事本文: 570