開発元交代の『Risk of Rain 2』アプデと新DLC配信、「バグいっぱい」として不評集まる。しかしシリーズ生みの親からはエールも


パブリッシャー/デベロッパーのGearbox Entertainmentは8月28日、3Dアクションゲーム『Risk of Rain 2』向けにDLC「シーカーズ・オブ・ザ・ストーム(Seekers of the Storm)」を配信した。またDLCに合わせて無料アップデートも配信されたものの、重大なバグが複数発生するようになったとの報告がユーザーより相次ぎ、Steamでは不評レビューが多数投じられている。不満の声の背景には、同作の開発元変更にともなうファンの不安と期待があるようだ。海外メディアPC Gamerなどが報じている。

『Risk of Rain 2』は、ローグライク要素のある3Dアクションゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch 。ソロプレイおよび最大4人協力プレイに対応している。

本作では未知の惑星を舞台に、多数の敵や巨大なボスと戦う。プレイヤーキャラは、戦闘スタイルやスキルの異なる複数の生存者から選択可能。プレイ中には、ユニークな性能をもつアイテムの数々を入手でき、装備ビルド構築の奥深さが特徴のひとつとなっている。

今回配信されたDLC「シーカーズ・オブ・ザ・ストーム(Seekers of the Storm)」は、DLC「Survivors of the Void」に続く本作の大型拡張パック第2弾だ。導入することで5つの新ステージや3種類の生存者キャラクター、新たなボスなどの新要素が追加される。また同DLCの配信に合わせて、バージョン1.3.1となる無料アップデートが配信。UIの調整やバグの修正などがおこなわれたとされていた。

しかしながら同アップデート以降、新たなバグが複数発生するようになったとの報告がSNSやユーザーレビュー上で相次いでいる。「メニュー画面から先に進めない」、「自分のセーブデータが消えてしまった」といった症状や、ゲームプレイでは「フレームレートの変動に合わせてゲームスピードが変化してしまう」、「最終ボスが無敵になってしまって倒せない」など、さまざまな症状が報告されている。

こうした状況を受け、Steamユーザーレビューでは多くの不評レビューが投じられている。本稿執筆時点で、すべてのレビューにおいて本作は約19万件中94%が好評とする高い評価を得ている。しかし直近30日間の評価では、約5200件中47%が好評とする「賛否両論」ステータスに。また本DLC「シーカーズ・オブ・ザ・ストーム」のレビューには約6000件が投じられ、好評率は23%に留まる「やや不評」ステータスとなっている。レビュー内容では「開発元変更への懸念が現実のものになってしまった」として、嘆くファンの声も見られる。


『Risk of Rain』はもともとはインディーデベロッパーのHopoo Gamesが手がけていたシリーズだ。『Risk of Rain 2』もHopoo Gamesにより開発され、2019年からの早期アクセス配信期間を経て2020年にリリース。2021年3月時点でSteam版のみで400万本を売り上げ、Steamユーザーレビューでは一時「圧倒的に好評」ステータスを得る人気作となっていた。また第1弾DLC「Survivors of the Void」もHopoo Gamesが開発を手がけており、同DLCは「非常に好評」ステータスを得ている。

そうしたなか2022年11月、デベロッパー/パブリッシャーのGearbox Entertainment(以下、Gearbox)が『Risk of Rain』のIPを獲得。またその際には、Hopoo GamesのコミュニティマネージャーのJonathan Cheetham氏がDiscord上で「我々は今後『Risk of Rain 2』および今後のシリーズタイトルには関わらない」とコメントした。IP買収にともないシリーズの生みの親であるHopoo Gamesが開発から離れたことが明かされ、ファンのあいだではシリーズの未来を不安視する声もあがっていた(関連記事)。

本DLC「シーカーズ・オブ・ザ・ストーム」はIP買収後、Gearboxが開発を主導する体制での初のDLCとなり、注目が集まっていた。同DLCの配信開始後、Steam版では本作の同時接続プレイヤー数が急増。ピーク時には過去最高を更新する約7万5000人を記録(SteamDB)しており、多数のプレイヤーが期待してプレイしたことがうかがえる(関連記事)。そうした注目と期待が集まっていたなかで、重大なバグが複数報告される事態となり、ファンから失望の声があがっているわけだ。

なお現在はGearboxが運営していると思われる『Risk of Rain』公式Xアカウントによると、開発元は本作の状況について認識しており、現在不具合の解消に取り組んでいるとのこと。最初のパッチはすでにリリースされており、メインメニューから先に進めない問題や、2番目のアカウントが最初にログインしたユーザーのセーブデータを上書きしてしまうことがある問題については解決されたという。そのほかの不具合についてもできる限り早く修正する予定で、まずはPC版向けにパッチを配信し、追ってコンソール版の対応をおこなっていく予定とのことだ。

またSteamの本作公式ニュースは「シーカーズ・オブ・ザ・ストーム」の地域別の価格設定について言及。日本やアメリカなど多くの地域では、本DLCは第1弾DLCと同じ価格に設定されている。しかしながら、たとえばブラジルでは第1弾の28.99レアルに対して49.90レアルという価格になるなど、一部地域ではかなり高い値付けに。該当地域のプレイヤーからは不満の声があがっていた。

同ニュースによると、Steamにおける担当者と協力しながら本DLCの地域別価格について見直しをおこない、値段が高くなっていた地域では第1弾の価格に近い水準へ値下げを実施したという。すでに購入してしまったプレイヤーは一度返金処理をおこない、改めて買いなおしてほしいと呼びかけている。

また、シリーズを生んだHopoo Gamesの共同創設者であるDuncan Naoki Drummond氏は、同氏のXアカウントにて『Risk of Rain 2』の現状についてコメント。同作の現在の状況は「ほろ苦い(bittersweet)」ものであると語っている。ゲームに新たなコンテンツが追加されて喜ばしく思っているが、「新たなチームが成長痛を経験しているのを見るのは辛い」とのこと。ファンにとってもGearboxの開発チームにとっても厳しい状況ではあるものの、Gearboxの開発チームは『Risk of Rain』を深く気にかけていると考えており、同社が正しい方向に進んでいると信じているそうだ。

本DLC「シーカーズ・オブ・ザ・ストーム」のSteamユーザーレビューでは、「大好きなゲームがまともに遊べなくなってしまった」として、ファンの嘆きの声が複数投稿されている。一方で、DLCのコンテンツ自体は問題がなく、不具合が解消されれば楽しめるはずと内容を評価するレビューも見られる。Gearboxが開発元交代にともなう“成長痛”を乗り越え、『Risk of Rain』シリーズをさらに発展させていくことが期待される。

『Risk of Rain 2』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch向けに配信中だ。DLC「シーカーズ・オブ・ザ・ストーム(Seekers of the Storm)」も各プラットフォームにて配信されているが、現時点では国内Nintendo Switch向けにはまだ配信開始されていない様子である。