話題のPvPvE脱出シューター『ARC Raiders』開発者、強豪ライバル『Marathon』から受けた“思わぬ恩恵”を明かす。偶然が生んだ「ABテスト」
PvPvE脱出型シューター『ARC Raiders』の開発者によると、競合タイトルである『Marathon』との“プレイテスト被り”が、思わぬ恩恵をもたらしたという。

ネクソンは10月30日、『ARC Raiders』を発売予定。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S。本作の開発者によると、競合タイトルである『Marathon』との“プレイテスト被り”が、思わぬ恩恵をもたらしたという。
『ARC Raiders』はPvPvE形式の脱出型TPSだ。ソロプレイまたは最大3人でのチームプレイに対応。本作の舞台はARCと呼ばれる謎の機械によって荒廃した未来の地球。プレイヤーは「レイダー」と呼ばれるならず者のガンマンとなり、ARCや敵対するほかのレイダーなどと地表で戦う。戦闘や探索を通じて手にした貴重な物資を、地下居住区「スペランザ」へと持ち帰るのだ。

本作は先日10月17日から日本時間10月20日未明にかけて最終プレイテスト「サーバースラム」が実施。Steamでの最大同時接続プレイヤー数が約19万人に及ぶ大盛況を博していた(SteamDB)。そして、10月30日には満を持して発売を迎える。
そして本作のシニアテクニカルデザイナーを務めるVirgil Watkins氏が、PC Gamerのインタビューの中で、競合作品である『Marathon』について言及している。『Marathon』といえば、PlayStaition StudiosのBungieが開発中のPvPvE脱出型FPSだ。今年9月24日のリリースが予定され、北米地域では今年4月末にアルファテストも実施。一方でユーザーからのフィードバックを受けて延期され、現在はクローズドテストを継続しながら改善がおこなわれているという。アルファテスト時点ではネガティブなフィードバックも散見されたが、PlayStaition Studiosに傘下入りしたBungieが初めて打ち出す完全新作ということもあり、高い注目を集めるタイトルだ。

そんな『ARC Raiders』と『Marathon』はPvPvE脱出型シューターというジャンルを同じくしており、世界観の違いやTPSかFPSかの違いはあれど競合作品といえる。とはいえ意外にもVirgil氏は『Marathon』の存在に恩恵を感じているようだ。というのも先述した『Marathon』のクローズドアルファテストと同時期には、『ARC Raiders』の「Tech Test 2」も実施。同氏いわく偶然かつ完全に予想外の“被り”だったそうだが、思わぬメリットがあったそうだ。
というのもVirgil氏によると、競合作品同士のプレイテストが被ったことで「ABテスト」的な分析ができるという恩恵を受けられたとのこと。各作品でプレイヤーが特定の要素についてどう受け止めたのかを調べたり、また『Marathon』と『ARC Raiders』のそれぞれで、上手くいった要素や課題などを分析したりするのは非常に興味深い知見をもたらしたようだ。
なお『Marathon』で実施されたのはあくまでクローズドアルファテストであり、細かく分析したわけではないとのこと。それでも『ARC Raiders』の開発チームは、近い時期にリリースされる競合作品として『Marathon』に目を光らせていたことがうかがえる。近年では特に大型のマルチプレイタイトルにて、発売前からじっくりとプレイテストを重ねてブラッシュアップされることも一般的になってきた。そうしたなかでは自社作品だけでなく、ジャンルの近い他社作品のプレイテストも研究対象となっているのだろう。
ちなみに『Marathon』では北米・欧州向けのクローズドテクニカルテストが日本時間10月23日から29日にかけて実施される見込み。その直後となる10月30日に、『ARC Raiders』が発売されるスケジュールとなっている。先にリリースされる『ARC Raiders』のユーザー反応などは、今度は『Marathon』の開発チームにて“ABテスト”的に用いられていくかもしれない。
『ARC Raiders』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに10月30日発売予定。