『ポケモン』を丸ごと盗用し自分勝手にセクシャル表現まで付け足す悪質ゲームに批判集まる。過去に一度消されたアプリが、ひそかに存続か

『ポケットモンスター』IPを盗用するゲームアプリの存在が報告され、物議を醸している。権利侵害にとどまらず、セクシャルな演出などが用意されていることから苦言も寄せられている。

『ポケットモンスター』IPを盗用するゲームアプリの存在が報告され、海外Xユーザー間で物議を醸している。権利侵害にとどまらず、ポケモンを模したキャラのセクシャルな演出などが用意されていることから、苦言も寄せられているようだ。

今回報告されているのは『Pocket Incoming』なる基本プレイ無料のゲームアプリだ。少なくとも日本のGoogle PlayやApp Store上では配信されておらず、サードパーティーのアプリ配信サイトにてPCやAndroid向けに提供されている模様だ。なお本稿には同作のダウンロードを薦める意図はない。サードパーティーのアプリ配信サイトでは悪意あるコードなどが混入したアプリが野放しになっている場合もあり、基本的に使用は控えた方がよいだろう。


アプリ紹介ページなどを見るに、『Pocket Incoming』は最大6対6のモンスターによる戦闘が繰り広げられる育成RPGのようだ。登場するモンスターの呼称は「Pokémon」とされており、モンスターたちは名前も見た目も『ポケットモンスター』と同一。サトシ(英語名・Ash)をはじめ、アニメ版のキャラクターまで登場する。しかし権利表記などを見るに株式会社ポケモンはまったくの無関係のようで、堂々と盗用がおこなわれていると見られる。

最近になって本作の存在が海外Xユーザー間で報告されたことで、新たな物議を醸している様子だ。なかにはセクシャルな表現が確認できるゲームプレイ動画も投じられており、注目を集めつつも作品への冷ややかな目が向けられている。


報告された動画では、ポケモンのサーナイトを模したと思われるモンスターが登場。モンスターの攻撃時のムービー演出が確認できる。コダックのようなモンスターが吊るされて恍惚とした表情を浮かべており、もはやサーナイトの原型をとどめていない、際どい衣装に身を包んだモンスターが登場。しきりに胸部が揺れている様子も見られ、セクシャルな演出が押し出されているようだ。

動画の最後にはユーザーがこうした演出への困惑を示すためか、ネットミーム画像と共に「人間に失望した」とのコメントで締めくくっている。『Pocket Incoming』では堂々と権利を侵害していることに加えて、ポケモンのイメージを損ねるような演出を勝手に作り、売り物にしている点を、呆れたり非難したりといった反応も集まっている。

なお『Pocket Incoming』では、これまで上述した動画のほかにも、攻撃時のムービー演出を中心に一部ユーザーから注目を集める例もあった。ポケモンのカイオーガに瓜二つのモンスターのほか、サーナイトを模したモンスターのバリエーションは複数存在。“サーナイト風モンスター”は本作のユーザーから特に人気があるのかもしれない。そうした特別な演出付きのモンスターを売りにしてマネタイズがおこなわれてきたようだ。

アプリ紹介ページによると、『Pocket Incoming』の開発元はINNOVATIVE GAME、配信元はENTERTAINED CENTERと記載されている。弊誌で調査する限りではINNOVATIVE GAMEについては素性が分からず、ENTERTAINED CENTERについては同社のものと見られる簡素なホームページが見つかっただけであった。ホームページは中国語(簡体字)で記載されている。

*ENTERTAINED CENTERのホームページと見られるサイト


このほか『Pocket Incoming』はゲームシステムなどから、過去に韓国向けに配信されていた『ポケットモンスター』IPの盗用ゲームアプリ『포켓 트레이너DX(ポケットトレーナーDX)』との類似性を指摘する声も見られる。同作もポケモンと同名で瓜二つのモンスターが登場するゲームアプリであり、一時Google Playで配信されていたようだ。しかし株式会社ポケモンは同作について無関係であるとコメントしており、物議を醸したのちすぐさまGoogle Playから削除された(ねとらぼ)。

『포켓 트레이너DX』の開発・配信元はFanya Gameと記載されており、拠点が中国広州市にあるという情報以外は素性不明の会社であった。今回の『Pocket Incoming』の開発元・配信元も含め謎に包まれており、それぞれペーパーカンパニーという可能性もありそうだ。

なお中国においても『ポケットモンスター』IPを盗用するゲームが複数存在するという。そのうち『口袋妖怪:复刻』なるゲームアプリについては、株式会社ポケモンが運営元などを相手取り、知的財産権を侵害しているとして訴訟を提起。今年7月に同社が勝訴をおさめたことが報告されていた。また株式会社ポケモンは、中国において同アプリの運営元を含め6社に対して訴訟を提起していることも過去に報じられていた(関連記事1関連記事2)。中国での権利侵害に対しても毅然として対応する方針が垣間見え、今回報告されている『Pocket Incoming』についても、開発・運営元の所在地に関わらずいずれ追及される可能性はあるだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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