『ポケモン』まるごと盗用のゲームアプリ会社、株ポケに訴えられて“悪あがき”するも終結。損害賠償22億円に加えて「謝罪声明」まで出すことに

株式会社ポケモンは2月21日、ゲームアプリ『口袋妖怪:复刻』の運営元2社との調停が成立していたことを報告した。運営元2社による、謝罪声明も公開されている。

株式会社ポケモンは2月21日、ゲームアプリ『口袋妖怪:复刻』(別名『口袋之旅』)の運営元2社との調停が成立していたことを報告した。株式会社ポケモンは同アプリを巡って運営元に訴訟を提起し、昨年7月に勝訴。運営元のうち2社は控訴していたが、今回調停に至った格好だ。運営元2社による、謝罪声明も公開されている。

『口袋妖怪:复刻』は、中国にてiOS/Android向けに配信されていたゲームアプリだ。『ポケットモンスター』シリーズからのアートワークをそのまま流用したようなイラストがゲーム内でいくつも見られたほか、戦闘システムも酷似していたようだ。

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また『口袋妖怪:复刻』にはポケモンがそのままのデザインで盗用されていたほか、見た目にアレンジが加えられたオリジナルのモンスターも登場していた。このほか『口袋妖怪:复刻』のアプリストア内ではサトシやピカチュウ、ミジュマルやポカブの姿も見られるキーアートも使用されており、大胆な『ポケモン』IPの盗用がおこなわれていたようだ。

なお『口袋妖怪:复刻』はリリース1年後となる2016年には総売上高3億元(約60億円)を記録していたと伝えられている。月間売上は3000万元(約6億円)を超える月もあったそうだ。株式会社ポケモンは過去に同アプリの運営元を含む中国企業複数社に対し、著作権侵害などを理由とする訴訟を提起していた。

そして2024年9月には『口袋妖怪:复刻』の運営元を相手取る訴訟で勝訴を収めたことが報告されていた。このうち广州麦驰网络科技有限公司には損害賠償金1億700万元(約22億円)の支払い命令が下されたという。また深圳市阿斯卡德信息技术有限公司、深圳市值尚互动科技有限公司および霍尔果斯方驰网络科技有限公司には、損害賠償金の一部の連帯賠償責任の負担を命じる判決が下されたと伝えられている(関連記事)。

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しかし損害賠償を命じられた广州麦驰网络科技有限公司および霍尔果斯方驰网络科技有限公司は控訴し、広東省高級人民法院で裁判が続いていたようだ。そして今回、両社と株式会社ポケモンとの間で調整が成立したことが発表された。これに伴って「法治日報」総合版及び「澎湃新聞」のホームページに謝罪声明が掲載。株式会社ポケモンにより、声明の参考和訳も用意されている。

声明によると、調停は2024年12月18日に成立していたという。調停手続きの過程で両社は、『口袋妖怪:复刻』が『ポケモン』IPの要素を大量に使用して著作権を侵害するとともに、『ポケモン』IPの知名度および好評に便乗し、不正競争行為に該当する法律違反を犯したことを深く認識したとのこと。また著作権侵害および不正競争行為が、権利者に多大な経済的損失を与え、『ポケモン』のブランドイメージに悪影響を与えたとも説明。権利者やファンなどに対し、謝罪が伝えられた。

『口袋妖怪:复刻』についてはすでに配信がすべて停止され、運営は終了されているとのこと。また両社は今後『ポケモン』の知的財産権を一切侵害せず、不正競争行為に手を染めないことを厳守するとしている。ほか、声明では経済的な代償を支払うことになったと説明されており、一審判決での1億700万元の損害賠償がそのまま課されることになったようだ。

なお海外では『口袋妖怪:复刻』のほかにも『ポケモン』IPを盗用するアプリが一部存在することが物議を醸している(関連記事)。今回の調停成立の報告は、そうしたアプリの運営者へのけん制となることも期待されるだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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