PlayStation Studiosの新作ライブサービスゲーム2本が未発表のまま開発中止、SIEが認める。PS5版『Demon’s Souls』開発元と『Days Gone』開発元が手がけるも、それぞれとん挫
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)が、傘下のBend StudioおよびBluepoint Gamesが手がけていたライブサービスゲーム(運営型ゲーム)を開発中止としたことが明らかになった。海外メディアBloombergに対し、SIEの広報担当者が認めたとのこと。
Bend Studioは、米国オレゴン州に拠点を置くスタジオだ。『Days Gone』の開発元として知られ、古くは『Syphon Filter』シリーズを手がけていた。一方のBluepoint Gamesは、米国テキサス州を拠点にするスタジオ。PS5版『Demon’s Souls』やPS4版『ワンダと巨像』など移植開発に定評があり、2021年にPlayStation Studiosの一員となった。
海外メディアBloombergは1月17日、SIEはBend StudioとBluepoint Gamesの新作を開発中止にしたとし、いずれの作品もライブサービスゲームであったと報じた。SIEの広報担当者も、取材に対しその事実を認めたとのこと。ライブサービスゲームとは、継続的にコンテンツを追加し運営しながら収益を得るビジネスモデルのオンラインゲームのことだ。
SIEの広報担当者によると、両スタジオの新作は最近実施された社内評価の結果により開発中止になったという。なお、これを受けてBend StudioやBluepoint Gamesが閉鎖されるということはなく、今後SIEはそれぞれの次なるプロジェクトに向けて緊密に協力していくとのこと。レイオフ(一時解雇)が実施されるかどうかは不明。
ちなみに、両スタジオが手がけていたライブサービスゲームは未発表のまま終息することとなったが、Bloombergの記者Jason Schreier氏は、Bluepoint Gamesが手がけていた作品は『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズのものだったと報告している。同スタジオは、『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』の開発にも携わっていた。またSchreier氏は、「両スタジオのスタッフは、今回の報道が出たタイミングで自らの新作の開発中止を知らされた」とする噂が一部で報じられたが、これを否定。噂を流した本人であるインフルエンサーのJeff Grubb氏もその後、話を聞いたスタッフの言葉を思い出す際に勘違いしてしまったと認め謝罪している。
近年SIEはライブサービスゲームの充実化を掲げ、2026年3月までに10タイトル以上をリリースする計画を、2022年2月に発表。これに先立っては、『Destiny 2』を手がけライブサービスゲーム開発の経験豊富なBungieを買収している。その後、外部開発作品ではあるが、今年2月に発売された『HELLDIVERS 2』は大ヒットを記録したものの、思うような成果を出せていない状況にある。
2023年には、『The Last of Us』シリーズのオンラインマルチプレイ作品が開発中止(関連記事)。また昨年9月には、ヒーローシューター『CONCORD』が不評を受け、リリースからわずか10日で販売中止され、開発元の傘下Firewalk Studiosは閉鎖された(関連記事)。この間には、Bungieにて複数回のレイオフが実施され、「Payback」なるコードネームの新作が開発中止になったとも報じられた。そして今回、さらに2タイトルの開発中止が明らかになった格好だ。
ソニーは昨年11月に実施した2024年度第2四半期業績説明会にて、『HELLDIVERS 2』の大ヒットと『CONCORD』の失敗という両極端な結果を受けての、ライブサービスゲーム展開の現状の受け止めについてコメント。同社は、ユーザーテストや社内評価をどのタイミングで実施するかにつき、もう少し早い段階で検証を重ねるべきだったことを、反省すべき点のひとつとして挙げた。Bend StudioとBluepoint Gamesの新作については、そうした方針のもと開発中止の決断が下されたようだ。
また上述の業績説明会にてソニーは、SIEにおけるライブサービスゲームのプロセス改善は着実に進捗しているとも報告。また、⽴ち上げに⼀定のリスクを取りながらもアップサイドを追求するライブサービスゲームと、確立されたIPでヒットの予⾒性が⾼いシングルプレイヤーゲームを組み合わせた、最適なタイトルポートフォリオの構築を進めていくとした。
なお、新作が開発中止とされたBend Studioであるが、コミュニティマネジャーのKevin McAllister氏は今回の報道後、すでに何らかの新作の開発計画があることを示唆する投稿をしている(上に当該ポストを掲載)。一方のBluepoint Gamesは、2021年にSIE傘下に入った際に、オリジナル作品を手がけると表明。同スタジオの技術責任者Peter Dalton氏は昨年6月に、その計画に変わりはなく開発を続けているとコメントしており、今後はそのオリジナル作品に注力することになるのかもしれない。