動物保護団体PETA、『マリオカート ワールド』の「ウシの鼻輪がかわいそう」とクレーム。いつもの団体、“ウシ好き”ゆえに
動物愛護団体PETAは8月14日、『マリオカート ワールド』を販売している任天堂に向け、公開書簡を発表。今回は「ウシ」の鼻輪についての要望のようだ。

動物愛護団体PETAは8月14日、『マリオカート ワールド』を販売している任天堂に向けた公開書簡を発表した。PETAは以前より複数のゲームに対し、活動方針や理念に基づいて抗議をおこなっており、今回もその一環と見られる。
PETAは、1980年に米国ノーフォークにて設立された、動物の権利運動および動物保護などをおこなう団体だ。正式名称はPeople for the Ethical Treatment of Animals(動物の倫理的扱いを求める人々の会)。アジア太平洋地域を含む複数の国・地域に支部をもち、動物保護団体としては世界最大規模とされる。
同団体は『あつまれ どうぶつの森』や『パルワールド』などのさまざまな有名・人気タイトルについて、動物や動物を模したキャラへの扱いについて、たびたび“要望”を伝えていた。たとえば『あつまれ どうぶつの森』については、「魚や虫を捕まえることは自然の摂理に反する」という理念のもと、“プレイガイド”として、生物の搾取に繋がりかねない行動をやめるよう推奨する、といった具合だ(関連記事)。

一方で、同作内に登場するキャラ、フータへ抗議するためにPETAのTシャツを着て周囲を走るパフォーマンスを実施。また『パルワールド』に向けては、パルの使役要素などには触れず、「パルの肉を食べずに遊ぶガイド」を用意してほしいという要望を伝えていた(関連記事)。“いちゃもん芸”ともとれる声明や行動を通じ、同団体は動物愛護の理念を広めようとしているようだ。
そんなPETAは今回、任天堂社長の古川俊太郎氏に向けた公開書簡を発表した。内容は『マリオカート ワールド』の「ウシ」に対するもの。『マリオカート ワールド』は今年6月5日に発売されたレースゲーム。シリーズ初となるサバイバルモードなどが実装されているほか、新レーサーも参戦。その中には、「モーモーカントリー」などのコースで登場する「ウシ」も登場していた。なんとも言えない表情でコースを疾走し、ときにお乳を見せつけてくれるウシには熱視線が注がれ、話題となっていた(関連記事)。

PETAの主張では、「ウシ」がつけている鼻輪を外すように求めている。PETAによれば、鼻輪は食肉業や酪農業において動物を搾取するために使用される道具であるとのこと。真鍮製の輪は鼻を左右で分ける壁である鼻中隔に粗雑に突き刺され、牛に対し持続的な痛みと不快感を招くとして、人間による動物支配の象徴とする見方を示した。
一方でPETAは『マリオカート ワールド』の「ウシ」について、その笑顔で多くのユーザーを魅了していると影響を認めた。それゆえ、鼻輪をつけていることは現実世界の動物への暴力などを覆い隠してしまっているとして、「ウシ」への共感を示し、鼻輪を外して欲しいと、アップデートを要望しているかたちだ。
今回、PETAが公開書簡を通じて肉牛/乳牛につけられる鼻輪を「ウシ」がつけていることについて懸念を示し、要望を伝えたかたち。一方で書簡では、PETAも「ウシ」に心を掴まれた一人であることを告白し、さりげなく本作に熱中している様子もうかがわせたり、『ソニック』シリーズを引き合いに出し、「リングはソニックに任せよう」とユーモアを交えたりしている。同団体のクレームは“いちゃもん芸”として恒例になりつつあり、今回も同様に取り下げや撤回の要求ではなく、あくまでも動物愛護の理念を広める行動とみられる。