人気RPG『キングダムカム・デリバランス II』、いとも簡単にクエスト進行不能に陥る“リアル仕様”が脚光浴びる。詰み方まで現実的

『キングダムカム・デリバランス II』にて、クエストがプレイヤーの行動次第で“進行不能”となる仕様について、X投稿をきっかけに話題となっている。

RPG作品などでは、しばしばプレイヤーに選択を迫るような場面が存在する。とはいえ近年では攻略しやすさの観点から、どの選択・行動をとっても深刻な事態にはならない“セーフティー”が設けられている場合もあるだろう。一方で今回、『キングダムカム・デリバランス II(Kingdom Come: Deliverance II)』のDLCクエストがあっさりと進行不能になりうることに反響が寄せられている。

『キングダムカム・デリバランス II』は、一人称視点のオープンワールドアクションRPG『キングダムカム・デリバランス』の続編だ。開発はチェコに拠点を置くWarhorse Studiosが手がけている。舞台となるのは15世紀初頭、争乱状態にあるボヘミア王国。プレイヤーは騎士見習いであるスカリッツのヘンリーとして冒険することとなる。今年2月に発売され先日には累計売上400万本突破が報告されるなど、ゲームプレイにおけるリアリズムや自由さが特徴となって広く人気を集めているタイトルである。

そんな本作について、ある投稿が話題となっている。Xユーザーのcreaits_氏は、『キングダムカム・デリバランス II』をプレイ中、クエストのひとつが進行不能となってしまったことをX上で報告。画像によれば、ゲーム内で罪を犯し、修道院を追放されたことでDLCクエストが失敗し、取り返しがつかなくなったことが記されている。

同氏が失敗したのは11月12日に配信された拡張コンテンツ「教会の謎」とみられ、同DLCでは特にセドレツ修道院が主な舞台となっている。creaits_氏によれば、スリをしようとしたことで捕まり、結果として修道院内で進行するクエストすべてが“進行不可”となったようだ。進めたい場合は、ひとつ前のセーブデータをロードする必要があることがゲーム内UIにて示されている。

こうしたシビアな仕様について、意外にもSNS上では肯定的に受け止められているようだ。教会の追放を受けるという時代背景に則した仕様でもあり、本作の持ち味であるリアルさにも繋がっているだろう。またプレイヤーが自由に行動を選択できるタイトルにおいて、プレイヤーの選択が実際にゲームに反映されることが、「ロールプレイング」としてあるべき姿だとして称賛を集めているかたちだ。

たちまち話題となったこの投稿は本作開発元の目にも留まることとなった。クエストを失敗したことについて、「失望しましたか(are you disappointed in me)」とcreaits_氏が尋ねると、本作開発元は「決して。これはロールプレイングゲームであり、確かにひとつの選択だった(never, it’s an RPG, and this was certainly a choice)」と同氏をフォロー。あえて“セーフティー”が設けられていないことは、プレイヤーの自由な選択が結果に残る作風として意図されているのだろう。

ちなみにこうした方針について、中には『The Elder Scrolls III: Morrowind』になぞらえるユーザーも存在する。同作では重要なNPCを殺害すると、「With This Character’s Death, the thread of prophecy is severed.(このキャラクターの死によって、預言の糸は断ち切られた)」としてメッセージが表示される。最悪の場合クエストの進行は中止されるが、プレイヤーはモロウウィンドの地でそのまま過ごすこと自体は可能となっている。つまり同作でも意図された通りの仕様として、プレイヤーの行動次第で進行不能になる可能性があったわけだ。

『The Elder Scrolls III: Morrowind』

一方で『The Elder Scrolls』シリーズを含め、最近のBethesda Game Studios作品では自由度の高さ自体は受け継がれているものの、プレイヤーの行動で主要なクエストの進行が中断されるような事態は引き起こされにくくなったといえる。また同スタジオの作品に限らず、近年では特に大型タイトルではプレイヤーがクリアしやすいような誘導や制限が設けられる事例も増えている。ストーリーの進行上欠かせないNPCが内部的には「不死」扱いだったり、必要な前提条件が崩れてしまう際には、誘導やゲームオーバーというかたちで元に戻されることもありうる。

一方で『キングダムカム・デリバランス II』では、そうした“失敗”を選んだとしてもゲームが継続し、プレイヤーの選択がもれなく反映される格好だ。そのためクエストを進めたい場合には、セーブした時点からやり直しが必要にもなり、かなり不親切なと言える。そんな人を選びそうな仕様が、意外にも称賛を得ているかたちだ。

ちなみに本作では任意のタイミングでゲームをセーブするためにはアイテムを消費する仕様。会話を含めさまざまな選択を迫られるものの、セーブ&ロードで都度“良い結果”を選びながら進めることが難しいシステムになっている。先述のクエスト進行不能も含めて、失敗も噛みしめながら進めることは作風として想定されているとみられる。いずれにせよ、DLCクエストであっても容赦なく進行不能になる作りは、一定の開発規模の作品では近年珍しい仕様としても脚光を浴びているのだろう。

『キングダムカム・デリバランス II(Kingdom Come: Deliverance II)』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中だ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

記事本文: 1611