『キングダムカム・デリバランス 2』では、「大金をばらまくと“社会階級に応じて”NPCが拾う」。貴族はなかなか拾わない

『キングダムカム・デリバランス 2』における“NPCのお金拾い動画”が話題を呼んでいる。システムを担当したという開発者も反応し、仕組みを説明している。

キングダムカム・デリバランス 2』における“NPCのお金拾い動画”が話題を呼んでいる。NPCが物を拾うシステムを担当したという開発者も反応しており、そのこだわりの仕組みを紹介している。

本作は、一人称視点のオープンワールドアクションRPG『キングダムカム・デリバランス』の続編だ。開発は前作に引き続き、チェコに拠点を置くWarhorse Studiosが手がけている。舞台となるのは15世紀初頭、争乱にあるボヘミア王国。プレイヤーは騎士見習いであるスカリッツのヘンリーとして、ボヘミアの大都市クッテンバーク周辺を冒険することとなる。


ゲームプレイにおいては、地道に相手を打ち崩す必要のある戦闘や、負傷や空腹度といったステータスなどリアルさが特徴。ヘンリーの発言や行動次第で世間の評判が変動したり、NPCがさまざまな反応を見せたりするシステムなども持ち味だ。

そんな本作にてとある“実験”をおこなった動画がRedditに投じられ、注目を集めている。本作屈指の大都市クッテンバークにて大金をばらまき、群衆NPCの行動を見守るという動画だ。

本作ではヘンリーが捨てたアイテムがそのままフィールド上に落ちる仕組みだ。そして動画にてばらまかれたのは30万グロッシェンだという。本作では甲冑などの高額な商品でも1000~2000グロッシェン前後であり、相当な大金といえる。30万グロッシェンは無数の袋に入れられ道に散らばっており、町の人々が一心不乱に拾い集める様子が倍速再生されるタイムラプス動画となっている。道行く多数の住民が足を止めてお金拾いに参加したことで、30万グロッシェンはほどなく回収され尽くした。なお動画では、群衆の中にはお金に関心を示さずに通り過ぎるNPCもいることが確認できる。

この動画はX上でも注目を浴びており、本作にてプログラマー/オープンワールドスクリプターを務めたPatrik Papšo氏も反応。お金拾いにおけるNPCの挙動は同氏が担当した部分だという。同氏によると、本作にはアイテムの価値とNPCの社会的地位に基づいて何を拾うかが選択される仕組みがあるという。そのためたとえば貴族は安価なアイテムをわざわざ拾わない一方で、物乞いは安いアイテムでも拾うといった違いがあるそうだ。

なおPatrik氏はユーザーの質問に答えるかたちで、NPCのもの拾いの細かい仕様や裏話についても紹介。まず上述の動画でNPCたちは、お金がばらまかれたにしては行儀正しく争わずに拾い集めている点が印象的だ。同氏によると、本作ではNPCがアイテムを拾う際に内部的に“予約”がおこなわれるそうで、同じアイテムに複数のNPCが殺到することのない、平和なシステムとなっているようだ。

内部処理としては、NPCが地面に落ちたアイテムを発見すると、アイテムの価格とNPCの社会的地位がチェックされ、しきい値に達すれば“予約”がおこなわれ、アイテムを拾いに行くそうだ。ちなみに開発中のプロトタイプ版ではNPCが“予約”したアイテムをヘンリーが先に拾うと、追いかけてきてヘンリーからスリ盗ってしまう不具合もあったという。

ほかにもさまざまなユーザーの返信が寄せられ賑わいを見せており、なかには腐った食べ物を捨てたらNPCの犬が拾い食いして死んでしまったという悲しい報告も。NPCの属性ごとに拾うものが異なる細やかな作り込みは、さっそくユーザーにさまざまな体験をもたらしているようだ。

ちなみにPatrik氏は「物乞いが食べ物を拾ってくれない」という報告についても回答。現状では物乞いでも安すぎる食べ物は拾うことがないようだ。とはいえ同氏は、今後のパッチで食べ物と物乞いの組み合わせを設定すると報告。NPCの物拾いシステムは、さらにリアルに作り込まれることになりそうだ。

このほか本作のNPCは、たとえばプレイヤーの体の汚れなどに反応を示したり、鍵を盗まれたことに気づくと数日後に家の錠前を変えたりとリアリティある行動を見せる。プレイヤーの行動がNPCの言動にも影響を与えるところが持ち味のひとつであり、没入感を高める要素としてこだわって作り込まれているわけだろう。そのひとつとなる物拾いシステムに、本作にておこなわれた一風変わった“社会実験”動画で注目が集まった格好だ。

『キングダムカム・デリバランス2(Kingdom Come: Deliverance II)』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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