インテル、次世代CPUでは“最小電圧上昇問題”は生じないと強調。不具合多発の失敗は繰り返さない
インテルは、Intel Coreシリーズの第13世代および第14世代の一部CPUにて不安定性の問題が発生していた件について、新たな報告を実施。このなかでは次世代CPUである「Arrow Lake」および「Lunar Lake(Core Ultra 200V)」では同様の問題が発生しないとの説明もおこなわれている。
Intel Coreシリーズの第13世代および第14世代CPUでは、ハイエンド向けであるK/KF/KSモデルのデスクトップ向けCPUにて不安定性の問題が顕著に報告されてきた。具体的には、当該製品では一定期間の使用を経たのちに、高負荷がかかる状況になると不安定になる、というものだった。これはたとえばゲームをプレイする際には、クラッシュや起動の失敗を引き起こすことがあった(関連記事)。
そうした問題についてインテル側は調査中であると表明しつつ、対応をおこなってきた。7月22日にはマイクロコードが原因となりアルゴリズムの影響で誤って動作電圧が上昇し、動作の不安定性に繋がっていたことが報告(関連記事)。そして8月9日には、この問題に対処する新たなマイクロコードがマザーボードメーカー向けに配信されたことが発表された。
発表のなかでは問題のさらなる詳細が報告。問題が報告されているCPUでは、電圧の上昇によって、複数のコアでVmin(最小電圧)が大幅に上昇していることが確認されたという。問題が発生したCPUでは、このVminの上昇が不安定性の原因になったと判断されているようだ。この対策として先述のマイクロコードでは、まだ問題が発生していない当該CPUにて電圧が1.55V以上に上昇しないように制限がかけられているとのこと。ただしそうした対策は予防的緩和策であり、引き続き問題の緩和策について調査が進められていくと伝えられていた。
そして8月30日、インテルはVminの上昇が不安定性を引き起こす問題「Vmin Shift Instability」の影響を受けない製品について発表した。このなかではまず、インテルの次世代CPUであるコードネーム「Arrow Lake」および「Lunar Lake」には新たなアーキテクチャが採用されており、Vmin Shift Instabilityの影響を受けないと説明されている。また将来の同社製品でも、Vmin Shift Instabilityの影響を受けないように対策されていくそうだ。なおLuna Lakeは薄型ノートPC向け新型CPU「Core Ultra 200V」として本日正式発表された。
このほかVmin Shift Instability の影響を受けない既存のCPUについても改めて示されている。またVmin Shift Instabilityの影響を受けないIntel Core シリーズ第13世代および第14世代デスクトップ向けCPUを利用している場合にも、最新のBIOSにアップデートしたうえで、デフォルト設定を利用するように推奨されている:
・Intel Coreシリーズ第12世代のデスクトップおよびモバイル向けCPU
・Intel Coreシリーズ第13世代および第14世代のi5(Kではない)およびi3デスクトップ向けCPU
・Intel Coreシリーズ第13世代および第14世代のモバイル向けCPU(HXシリーズを含む)
・Intel Xeon CPU
・Intel Core Ultra(Series 1) CPU
長らく調査が続けられている、Intel Coreシリーズ第13世代および第14世代の一部CPUの不具合。Vminの上昇が不安定性を引き起こしたとみられることが確認されたこともあってか、次世代CPUなどでは同様の問題が発生しないと強調されているかたちだ。とはいえ問題が発生しているCPUに向けては不具合の緩和策についての調査が引き続き続けられていくそうで、今後の対応や報告も気になるところ。また競合他社であるAMDがCPU業界でのシェアを広げるなかで、インテルが次世代CPUにて信用を取り戻せるかは注目されるところだろう。