世界的話題作『ホロウナイト シルクソング』、「理不尽レベルの高難度」で賛否きっぱり分かれる。遊びにくいほどの難しさは、挑戦か苦行か

本作の高い難易度はユーザーの間で評価が分かれている。

デベロッパーのTeam Cherryは、『Hollow Knight: Silksong』を9月4日にリリースした。本作はさっそく多くのプレイヤーに遊ばれているものの、記録的な人気を獲得した前作に対して、評価の面では伸び悩みも見られる。

『Hollow Knight: Silksong』(以下、シルクソング)はアクション・アドベンチャーゲームだ。高い評価を得た『Hollow Knight』(以下、ホロウナイト)の続編で、前作にも登場したホーネットというキャラクターが主人公となっている。ホーネットは崩壊したムシの王国ファールームを舞台に、自身の過去にもまつわる謎を解き明かすべく冒険することになる。ホーネットは縫い針のような剣を武器とし、クールダウン制のスキルも駆使して敵と戦う。また、絹糸で表現された体力回復システムや、道具のクラフト要素なども特徴となる。

本作は2019年2月に発表され、それから約6年半を経て9月4日にリリースされた。発売直後から多くのプレイヤーを集め、9月6日のピーク時にはSteamだけで約59万人の同時接続プレイヤー数を記録している。

しかし、大きな注目度とは裏腹に、ユーザーからの評価には伸び悩みも見える。本稿執筆時点でのSteamユーザーレビューは、約12万件中76%が好評とする「やや好評」ステータスとなっている。前作『ホロウナイト』が約40万件中97%で「圧倒的に好評」ステータスという記録的な好評数を叩き出していたことを考えると、待望の続編としては評価面での苦戦も見える状況だ。

*本稿執筆時点での言語別のSteamレビュー

この評価率には、ローカライズについての不満も大きな影響を及ぼしているとみられる。本作は簡体字中国語のローカライズのクオリティに関する問題が指摘されており、Steamでは簡体字中国語ユーザーからのレビューが好評率39%の「やや不評」ステータスとなっている。本作のSteamユーザーレビューでは、簡体字中国語ユーザーの投稿が英語に次いで2番目に多いため、全体の好評率にも響いているのだろう(関連記事)。

ただ、中国語レビュー以外でも不評は見られ、主にその難易度が賛否両論の要因となっている。前作および本作はメトロイドヴァニアのカテゴリーに分類される作品ながら、死亡時に通貨であるロザリーをその場にすべて落としてしまう点や、ボス戦やそれまでの道中で難しいゲームプレイを繰り返し強いられるというある種の“死にゲー”的な性質から、「ソウルライク」ジャンルになぞらえる声もある。前作の時点ですでに高難度ゲームとしての特徴はあったものの、本作では難しさを増している。

というのもたとえば、本作では各所のベンチを開放し、座って休むことで復活地点を更新することができる一方で、そのベンチが少なく、死亡した際にかなりの距離をやり直す必要がある場所も多い。ベンチ自体が「罠」になっている場合があったり、ボス戦前にベンチがあるとは限らなかったりと一筋縄ではいかない仕様だ。また、道中では耐久度の高い雑魚敵が多く配置されていたり、シビアなアスレチックが用意されていたりと容赦ない。なお一部ベンチの開放には先述したロザリーが必要となるものの、基本的には金欠状態が続くバランスであり、ロストした場合のデメリットは大きい。そうした点から、全体的にストレスを与える要素が過剰に詰め込まれているとの声も聞かれる。

さらに、ボス戦の難易度にも疑問を呈するユーザーも散見。本作では「仮面の欠片」を集めることで最大体力を増加させることができる。しかし、本作にはボス戦を中心に一撃で2ダメージを与える攻撃が多く存在し、特に序盤のボス戦では体力上限を初期の5から6に上げても実質的な耐久力は変わらない。上述した点も含め、難易度が理不尽なほど高いといった不満が寄せられている状況だ。

なお本作はもともと前作『ホロウナイト』向けのDLCとして企画されていたが、規模の拡大にともない独立した新作として開発されてきた作品だ。そういうわけで、前作をすでにプレイないしクリア済みのいわば“熟練プレイヤー”をもともと想定していたという可能性もあるだろう。ただ、前作を遊んだプレイヤーからの不満も散見されるほか、好評を投じたユーザーさえもかなり高難易度である点をほかのユーザーに“警告”する様子が見受けられる。

一方で、前作『ホロウナイト』と違って死亡しても体力回復に用いるゲージの上限が減らなくなったため、デスペナルティは緩和されたといえる。また独特のBGM・ビジュアルによって演出される世界観やキャラクターは引き続き持ち味となっており、前作ファンからは好評も多く寄せられている。メディア・批評家によるレビューはまだ母数が少ない状況だが、レビュー集積サイトのMetacriticやOpenCriticでは、100点満点をつけるメディアも見受けられる。遊びにくいほどの高難易度を受け入れられるかどうかは賛否の分かれ目となっているようで、開発元が調整を加えるかどうかも含めて、今後の動向は注目されるだろう。

『Hollow Knight: Silksong』は、PC(Steam/Microsoft Store)/Nintendo Switch 2/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに配信中。Xbox/PC Game Pass向けにも提供されている。

【UPDATE 2025/09/09 20:01】
Team Cherryは9月9日、本作に向けて来週中ごろにバグ修正や一部難易度緩和をおこなうパッチを配信すると予告した(関連記事)。先述したロザリー不足になりやすいバランスなどにも調整が加わるようだ。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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