ゲーム開発者が、「黄色ペイント誘導使ってもいいじゃないか」と自作品をアピールする動き広まる。“黄色ペイント嫌われがち”風潮に待った
ゲーム開発者たちがX(旧Twitter)にて、自作品に「黄色ペイントによる誘導」があることをあえてアピールする動きが注目を集めている。“黄色ペイントが嫌われがち”といった風潮に待ったをかける狙いもありそうだ。
「黄色ペイント(yellow paint)」は、ゲームにおける誘導の代表例としてネットミームのように用いられている言葉だ。ゲームにおいてはプレイヤーがインタラクトできるものや進行方向などを強調するために、黄色などの目立つ色でカラーリングされたオブジェクトやマークなどが用意されることが多い。一方でゲームの雰囲気や世界設定などにそぐわないとして、一部プレイヤーからは拒絶されることもあるデザインだ。
「黄色ペイントが嫌い?」
一方で最近になってX上では、ゲーム開発者たちが自分の作品に黄色ペイントを用いていることをあえてアピールする動きが注目されている。発端と見られるのはホラーアクションゲーム『Samurai Unicorn』の公式アカウントによる投稿だ。ただ同アカウントについては、むしろ黄色ペイントを用いていないことをアピールしたかった様子だ。
投稿では「黄色ペイントが嫌い?」と前置きしつつ、『Samurai Unicorn』における黄色ペイントを用いずにプレイヤーを正しい方向に誘導する工夫を紹介。投稿によれば、同作では“ネズミ”を用いてプレイヤーを誘導しているという。添付された動画を見るに、ネズミが走っていく方向を見るとアイテムが置かれているといった誘導が用意されているようだ。
同アカウントの投稿には、ほかのゲームの公式アカウントが反応。逆に黄色ペイントを誘導に利用していることを、堂々とアピールする投稿が寄せられ注目を集めている。たとえば廃墟探索アクション『MOTORSLICE』(関連記事)の公式アカウントは、同作のゲームプレイ映像を紹介。同作ではピンポイントで黄色ペイントが用いられているというより、むしろ多数のオブジェクトが黄色ペイントで統一されており、進むべき道がかなり分かりやすくなっているようだ。黄色ペイントが嫌いあるいは避けた方がいいといった考えに対して、真逆のデザインをとっていることをアピールしているとみられる。
また荒廃惑星冒険ゲーム『Caravan SandWitch』(関連記事)の公式アカウントも反応を寄せており、ゲームプレイ映像を紹介。よじ登れるオブジェクトや梯子など、同作中にも誘導として黄色ペイントがふんだんに用いられている様子だ。同アカウントは“黄色ペイントの好き嫌い”について正直あまり気にしていないとコメント。「素敵な色だし黄色ペイント自体も好きだ」としており、黄色ペイント議論の存在はそれほど意識せずに誘導として同作に取り入れたようだ。
このほかパルクールゲーム『Glass Horizon』の開発者Niklas Bellok氏は「ああクソ、ネズミを用意しないと」と冗談めかしながら、同作においても黄色ペイントが誘導になっていることを紹介。同作は『ミラーズエッジ』を彷彿とさせる白地に原色のペイントが散りばめられたステージデザインになっている模様。パルクールにおいて進むべき方向が分かりやすいように、壁などが黄色く塗られているようだ。
“嫌われ風潮”に待った
黄色ペイントの“好き嫌い”は別として、目立つ誘導の採用・不採用は、作風やゲーム全体のアートデザインも関わるところだろう。発端となった『Samurai Unicorn』が黄色ペイントを避けたことをアピールしている背景には、ホラーゲームとして明るい色味の誘導を避けるこだわりもあるかもしれない。また先述の『MOTORSLICE』については重機がモチーフのオブジェクトが多いことから、自然と黄色ペイントが取り入れられているといった評価もみられる。
とはいえ「黄色ペイントが嫌い」といった意見を引き合いに出した『Samurai Unicorn』公式アカウントの投稿には、別のゲームの公式アカウントから“反論”のように作中の黄色ペイント誘導のアピールも集まっているようだ。黄色ペイントは嫌われがちといった風潮に、待ったをかける動きといえるかもしれない。
昨年2月に発売された『バイオハザード RE:4』にて大きな議論を巻き起こした黄色ペイントでのプレイヤー誘導(関連記事)。今年に入っては、8月に発売された『スター・ウォーズ 無法者たち』や(関連記事)、今月発売された『サイレントヒル2』リメイクのように、目立つ誘導のオン・オフを設定で切り替え可能なゲームもある。黄色ペイントに賛否両論がある点は、開発元も意識するところとなっているのだろう。とはいえ、作風からあえて取り入れない・切り替え可能にする作品もある一方で、開発者によってはプレイヤーを誘導する配慮として気にせずに引き続き活用されている様子だ。