EA、かつてActivisionとBlizzardの買収を検討していた。Blizzardは“高すぎる”のでやめた

Electronic Arts(EA)の元チーフクリエイティブオフィサーであるBing Gordon氏によると、かつて同社ではBlizzardなどの買収話が持ち上がったが、見送っていたという。

Electronic Arts(EA)の元チーフクリエイティブオフィサーであるBing Gordon氏によると、かつて同社ではBlizzardなどの買収話が持ち上がったが、見送っていたという。PC Gamerが伝えている。

今回EAがBlizzardの買収を見送ったことが明かされたのは、ベンチャーキャピタルKleiner Perkinsが主催するポッドキャスト番組Gritだ。2月11日に公開された第229回の同番組では、EAの元チーフクリエイティブオフィサーを務めたGordon氏と、Activision Blizzardの元CEOであるBobby Kotick氏が対談。両社の経営における裏話などが飛び出している。


Kotick氏といえば、1991年に当時苦境にあったActivisionのCEOに就任し、その後長年にわたって率いていた人物だ。後に同氏の主導でActivisionは、2008年にVivendi Gamesと合併。Vivendi Gamesは『ディアブロ』シリーズなどの開発元として知られるBlizzard Entertainment(以下、Blizzard)を擁しており、合併によって社名は「Activision Blizzard」に変更。Kotick氏は2023年末まで同社のCEOを務めていた。

そして今回Kotick氏が伝えるところによると、当初ActivisionはVivendi Gamesとの合併ではなく、Blizzardだけを買収する方針だったという。しかしVivendi Games からBlizzard単独での買収を断られたそうだ。このエピソードに対してGordon氏は、当時EAもBlizzardの買収を検討していたことを示唆。Blizzardの買収金額についてはGordon氏の記憶では8億ドル(約1200億円・現在のレート)金額が提示されていたといい、当時のEAのCEOであったLarry Probst氏は(予想外な高額の提示を受けてか)ミーティングにすら応じなかったという。

また対談ではKotick氏により、EAがActivision(あるいはActivision Blizzard)の買収を何度も検討し、話し合いがおこなわれていたことも明かされた。Gordon氏もこのことを認めており、『Call of Duty』(以下、CoD)や『Guitar Hero』などのIPを次々と獲得していたKotick氏の手腕や、Activisionの将来性を買っていたようだ。

『Call of Duty: Black Ops 6』


なおActivisionとVivendi Gamesが合併した2008年当時、EAは世界最大級のゲーム企業であった。一方で合併後のActivision BlizzardはEAの時価総額を上回ることになった。その後Activisionからは引き続き『CoD』シリーズなどが、Blizzard からも『ディアブロ』シリーズのほか、『ハースストーン』や『オーバーウォッチ』シリーズなど人気作がさまざま展開されてきた。有害な職場文化と性的ハラスメントの氾濫を理由に行政機関から訴訟が提起されるなどスキャンダルもあったものの(関連記事)、経営面では成長を続けてきたといえる。そして2023年10月にActivision Blizzardは、総額687億ドル(約10兆4000億円・現在のレート)で、マイクロソフトに買収されることとなった。

昨今ではそうした大手企業同士のM&Aのほか、中国テンセントの台頭など、当時からゲーム業界も変容を見せている。そうしたなかでもEAとActivision Blizzardは引き続き存在感を放っており、両社にかつて買収にまつわる縁があったことが明かされたのは興味深い。Gordon氏とKotick氏の対談ではそのほかにもさまざまなこぼれ話があり、興味のある人はチェックしてみるのもいいだろう。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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