大ヒット中の『スプリット・フィクション』、EA発のゲームでは「12年以上ぶりのメタスコア90点超え」だった

Electronic Artsは3月7日、『スプリット・フィクション(Split Fiction)』を発売した。本作は大ヒットを上げているほか、EAが販売するゲームとして長らくぶりにメタスコア90点を超えたゲームである点にも注目が集まっている。

Electronic Arts(以下、EA)は3月7日、Hazelight Studios(以下、Hazelight)が手がける『スプリット・フィクション(Split Fiction)』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/EA app)/PS5/Xbox Series X|S。本作は、EAが販売するゲームとして約13年ぶりにメタスコア90点を超えたゲームである点にも注目が集まっている。Twisted Voxelなどが伝えている。

『スプリット・フィクション』はローカル・オンラインでの協力2人プレイ専用アクションゲームだ。主人公は作家であるミオとゾーイ。それぞれSFとファンタジーのジャンルを得意分野としている2人は、アクシデントによりお互いが作りだした物語の世界に閉じ込められてしまう。仲の悪かったふたりはこの世界から脱出するために協力するなかで、信頼しあうようになっていく。SFとファンタジーの世界を行き来する、大冒険が描かれる。


ゲームプレイは画面分割とひとつの画面表示が切り替わりつつ進行する。重力を切り替えられるサイバーパンクな世界や、妖精やトロールに変身できるファンタジー世界など、各ステージで異なる世界が舞台となる。ステージごとの独自のメカニズムを活用して困難を突破していくのだ。また、ステージの途中ではさらなる別世界に飛び込み、サイドストーリーを楽しむこともできる。宇宙に飛び出したり、電車に引っ張られながらの水上スキーをしたりと、こちらでもあっと驚く展開が待っている。2人にそれぞれ別の能力が付与されていることもあり、いかに連携するかが攻略のカギとなる。

『スプリット・フィクション』


本作は、レビュー集積サイトMetacriticにてメディア・批評家レビューに基づくメタスコアで91点を記録。今年発売したゲームの中では、現時点で最高のスコアを獲得している(関連記事)。またMetacriticでは、メタスコアが90点を超えたゲームは「Universal acclaim」(世界的な称賛)という肩書きが付くようになっており、90点は同サイトにおける特別な基準といえるだろう。

なおHazelightの前作『It Takes Two』は「Game of the Year」を多数獲得するなど高評価を獲得していたものの、メタスコア自体は88点と惜しくも90点に届かなかった。それが次作『スプリット・フィクション』でついにメタスコアでも記録的な高評価を獲得するに至ったというわけだ。そして本作はEAが販売を担当しており、EAの発売したゲームの中で90点以上を獲得しこの肩書きを手に入れたゲームが登場したのは、実に約13年ぶりのことだ。

EAといえば、数多くの人気シリーズを擁する大手パブリッシャーだ。『バトルフィールド』シリーズや『Apex Legends』といったFPSから、『ニード・フォー・スピード』シリーズや『ザ・シムズ』シリーズなどの長年続くシリーズものや、高いシェアを誇る『EA Sports』シリーズなど、あらゆるジャンルを網羅する幅広いIP群を所有している。数多くの大作やヒット作を発売してきたEAでも、メタスコアを見てみると90点を超えたゲームは少ないようだ。

『マスエフェクト3』


EAが『スプリット・フィクション』より前、最後にメタスコア90点を超えるゲームを発売したのは2012年。『マスエフェクト3』が93点、『FIFA13 ワールドクラスサッカー』が90点で、どちらも「Universal acclaim」を獲得している。それ以降は2016年の『バトルフィールド1』が88点、2019年の『Apex Legends』が89点、2023年の『Dead Space』が89点など、惜しいところまでいった作品はいくつかあるものの、90点まで届くゲームはなかった。ちなみに、Metacritic全体では2012年以降に90点を超えたゲームは108本あるので、EA作品の割合は約2~3%程度にとどまる。それが今回、『スプリット・フィクション』でついに90点超えの評価を獲得した。本作は発売から48時間で売り上げ本数が100万本を突破するなど、高い評価が売上にもつながっている(関連記事)。

『Unravel』


なお『スプリット・フィクション』は、新規IPやインディー作品を支援、販売するEA内のレーベル「EA Originals」より発売されている。このレーベルは2016年発売の編みぐるみアクションパズルゲーム『Unravel』から始動し、先述の『It Takes Two』なども取り扱ってきた。

そして2019年に、当時EAの成長戦略分野におけるエグゼクティブ・ヴァイスプレジデントを務めていたMatt Bilbey氏が海外メディアに語ったところによると、EA Originals作品は諸費用を除いた全収益がデベロッパーにいきわたるような契約になっていると報じられていた(関連記事)。EA Playといった自社のサブスクリプションサービスを充実させる狙いがあるとはみられ、現状でも同様の契約が続けられているかは不明ながら、かなりデベロッパーに有利な契約方針がとられてきたようだ。そしてEA Original始動から約9年を経て、今回ついに『スプリット・フィクション』でメタスコア90点超え・セールス面でも絶好調の滑り出しを見せたことは、投資を続けてきたEAとしても大きな手ごたえを感じているかもしれない。

いずれにせよ、発売されたばかりの『スプリット・フィクション』は大手傘下のインディーレーベル発の作品として成功例のひとつといえそうだ。好評を受け、今後EA Originalsからどのような新作が創出されていくのかも注目されるところだろう。

『スプリット・フィクション』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/EA app)/PS5/Xbox Series X|S向けに配信中だ。

Yusuke Sonta
Yusuke Sonta

『Fallout 3』で海外ゲームに出会いました。自由度高めで世界観にどっぷり浸れるゲームを探して日々ウェイストランドをさまよっています。

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