『ドラゴンクエストVII Reimagined』では「プレイヤーの時間」を尊重したい。“100時間超”だった原作を、テンポ良く現代化

『ドラゴンクエストVII Reimagined』では開発の当初に“現代のユーザーの可処分時間”についての議論がおこなわれたという。

ドラゴンクエストVII Reimagined』では開発の当初に“現代のユーザーの可処分時間”についての議論がおこなわれたそうで、さまざまな点でのテンポ改善などに繋がったようだ。プロデューサーの市川毅氏が、海外メディアGameSpotのインタビューにて明かしている。

『ドラゴンクエストVII Reimagined』(以下、Reimagined)は、2000年にPS1向けに発売された『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』のリメイク版だ。グラフィック面では3DCGのドールルックを採用しリッチな見た目に変更。またメニュー画面の刷新やバトルスピード変更、オートバトル機能といったシステムも搭載されている。ゲームプレイでは職業特性といった特殊能力を使用可能。モンスター職については撤廃される一方で、新たにふたつの職業を「かけもち」できるシステムが導入される。キャラ育成の幅も広がっているのだろう。

今回はそんな本作のプロデューサーを務める市川毅氏に向けて、海外メディアGameSpotがインタビューを実施した。同氏によれば、オリジナル版には個人的な心残りがあるという。というのも同氏がオリジナル版をプレイしたのは小学生のころだったそうで「最初のモンスターとの戦闘」にたどり着くまで続けることができなかったそうだ。

オリジナル版はスローペースで物語が進む作品であり、特に導入部は最初の戦闘までに要する時間がかなり長いことでも知られている。市川氏は過去のVGChartzのインタビューで、最初の戦闘までにかかる時間を短縮したことを明かしており、オリジナル版では約3時間を要したのに対して、『Reimagined』では1時間は超えないはずだと伝えていた。

そして今回のGameSpotのインタビューで市川氏は、そうした調整の背景に“現代のユーザーの可処分時間”を尊重する狙いがあったことを明かしている。同氏は、オリジナル版が発売された当時は、何十時間も没頭できるゲームを筆頭に今よりも長い形態のエンターテインメントがより一般的でユーザーにも受け入れられていたと説明している。一方でそこから25年を経て、世の中に数多くのゲームがあり、メディアやエンターテインメントの形態も多種多様になった点に言及。ユーザーがひとつのエンターテインメントに使える時間に上限があり、このことは同氏が堀井雄二氏と最初に議論した点だそうだ。

本作では上述したバトルスピードの変更や、最初の戦闘までにかかる時間の短縮のほかにも、さまざまな調整が加わることが明かされてきた。シナリオの取捨選択および構成の再編のほか、「石板探し」も“かなり楽になっている”とのこと。本作でも想定プレイ時間はプレイスタイルによるものの、人によってはクリアまでに100時間以上要したオリジナル版からテンポの向上が図られているそうだ(Game*Spark)。現代のユーザーの可処分時間を考慮した末の調整なのだろう。そしてテンポが向上した一方で、新規ストーリーも導入されているという(関連記事1関連記事2)。

なお『ドラゴンクエスト』シリーズのリメイクといえば、これまで『ドラゴンクエストI&II』および『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』のHD-3Dリメイクが展開されてきた。グラフィックの刷新だけでなくテンポの向上など現代化も図られていたものの、オリジナル版をベースにしている要素の煩雑さなどに不満も寄せられていた。

対して『Reimagined』では「再構築」が掲げられており、現代のユーザー目線でのオリジナル版の課題に大きく手を加える作品となるわけだろう。このほか今回のGameSpotのインタビューでは、オリジナル版のダークで独特な世界観と物語、そして魅力的なキャラクターといった持ち味を今一度現代のユーザーに届けたいというリメイクの狙いも語られている。これまでのリメイク作品以上に新規ユーザーを見据えていることもうかがえ、発売後の盛り上がりにも注目したい。

ドラゴンクエストVII Reimagined』はPC(Microsoft Store)/Nintendo Switch 2/Switch/PS5/Xbox Series X|S向けに2026年2月5日に、PC(Steam)向けには2月6日にリリース予定だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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