『Dead by Daylight』公式が「重大バグを修正まで野放し」宣言するも批判殺到で一転、該当パーク使用停止に。除外or放置、線引きの難しさ
『Dead by Daylight』パッチ9.1.0にて、深刻なグリッチの存在が判明。即効性のある対策がおこなわれないことに対して批判が集まり、開発元は謝罪をおこなった。

Behaviour Interactiveは7月30日、『Dead by Daylight』に向けてパッチ9.1.0を配信した。このアップデートに含まれるとあるパークのリワークに際して、深刻なグリッチの存在が判明。即効性のある対策がおこなわれないことに対して批判が集まり、同社は謝罪の声明を出している。
『Dead by Daylight』は、1人のキラー(殺人鬼)と4人のサバイバー(生存者)に分かれて対戦する非対称型マルチプレイホラーゲーム。サバイバー側のプレイヤーは、マップ内に点在する発電機を修理し、ゲートを開いて脱出することが目標。一方のキラーとなったプレイヤーは、生存者の痕跡を追い脱出を阻止することを目指す。

7月30日、本作に向けてパッチ9.1.0が配信され、複数のパークやアイテムなどが追加およびリワークされた。しかし、リワークがおこなわれたサバイバー用パークの1つである「都会の生存術」にすぐさま不具合が見つかり、コミュニティでは議論が巻き起こることとなった。
従来までの「都会の生存術」の効果は、周囲8m以内のサバイバーのアイテムチャージの消費速度を低下させる、すなわちアイテムをより長持ちさせることができるというものであった。一方リワーク後では、チャージのあるアイテムを初めて使い果たした際、殺人鬼のオーラーが8秒間見えることに加えて、チェストからチャージのあるアイテムを回収した際、チャージ量が一定割合だけ増加した状態で手に入るという効果に変更されている。

問題となっているのはこのうち後半の効果。チェストから回収したアイテムを即座に戻し、また回収するという操作を繰り返すことにより、アイテムにチャージの増加効果を何度でも適用することができてしまう不具合が発生している。チャージは割合で増えるため指数関数的に増加することとなり、数回繰り返すだけでもマッチ中実質無限に使用可能な状態を作り出せてしまうというわけだ。これを利用することで、サバイバーは医療キットによる即時回復のほか、工具箱を用いた発電機の修理速度上昇を際限なく実行可能。約30秒で発電機の修理を完了することができるというケースも報告されていた。
そこでユーザーらは運営に「キルスイッチ」の発動を要求。キルスイッチとは、ゲーム内に深刻な不具合が見つかった際、修正がおこなわれるまでの暫定的な処置として、開発チーム側で特定の要素を利用停止にする対応のことだ。『Dead by Daylight』においては2021年10月からこの仕組みが導入され、これまでにも不具合のあるマップやキャラクターが対象となってきた。しかし、Behaviour Interactiveは当初公式フォーラムにおいて、「都会の生存術」の不具合は基準を満たしていないためキルスイッチは発動されないと回答。開発チームは不具合を認識のうえ監視もしているが、ゲームを壊すほどではないとの見解を示した。
しかし、コミュニティでは先述したような“壊れ”グリッチも広まっていたこともあり、SNSや掲示板上では多くのユーザーから開発チームの認識がズレているといった批判が殺到する結果に。そうした状況を受けて、8月6日、Behaviour Interactiveは改めて声明を発表。迅速な対応をおこなう重要性についてのユーザーの意見を軽視してしまったとして謝罪をおこなった。そしてこの声明の投稿にあわせて、即座にキルスイッチによる対応がおこなわれることになった。一時利用停止の対象となるのは「都会の生存術」を含む3つのパーク。さらに明日8月7日から来週にかけて、その他のさまざまな問題に対処する緊急パッチを配信予定だとしている。
なおBehaviour Interactiveはあわせて、キルスイッチの発動プロセスについて見直しをおこなうことを宣言している。キルスイッチに対するユーザーの期待と、従来の開発チームの使い方にズレがあったと認識されているそうで、今後改善していくという。新たなプロセスが決まり次第、キルスイッチの発動基準を明確に伝えていくと説明された。ユーザーのフィードバックへの感謝も綴られており、今後もユーザーとの対話を続けながらライブサービスがおこなわれていくそうだ。

ところで、本作以外でもキルスイッチの仕組みを取り入れているライブサービス作品は少なくない。たとえば『エーペックスレジェンズ』では今年5月、レヴナントがアルティメット発動時に無敵になる不具合が見つかり、一時的に選択不可となる措置がとられた。また『オーバーウォッチ2』においても同様に、アップデート後に大きな不具合が発生したキャラクター(ヒーロー)は基本的に一時的に選択不可になる措置がとられてきた。競技性の高いゲームでは不具合の悪用を禁じる規約が一定の抑止力になるとみられるものの、深刻な場合はそもそも使えなくするという対策もとられているわけだ。
しかし、そうしたキルスイッチによる対応には賛否も分かれている。仮に問題が放置された場合、不健全なゲームバランスや混乱が続く恐れもある。とはいえキルスイッチは、特定のキャラクターを愛用していたユーザーのプレイを阻害する対応ともいえる。開発チームには、問題の程度に応じて“大ごと”にするか、もしくは対処できるまで放置するかの基準を見極める必要があるのだろう。今回のユーザーと開発チームの軋轢は、そうした基準の違いから発生したといえる。ライブサービスゲームに共通する問題でもあり、本作においては新たなキルスイッチ発動プロセスによって、どのように落としどころが設けられるのかは注目される。
『Dead by Daylight』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに発売中。PS PlusゲームカタログおよびXbox/PC Game Pass向けにも提供されている。