『Call of Duty: Warzone』で「間違ったチート報告」が多いとの公式発表。ぱっと見“チートを使った”と勘違いする理由

Activisionは3月29日、『Call of Duty: Black Ops 6』および『Call of Duty: Warzone』のシーズン3に先駆け、アンチチートに関するレポートを公表。そこではユーザーによるチート報告について、多くの「勘違い報告」が寄せられていたことが明らかになった。

Activisionは3月29日、同社が手がけるFPSゲーム『Call of Duty: Black Ops 6』および『Call of Duty: Warzone』の「シーズン03」に先駆けて、アンチチートに関するレポートを公表した。このレポートによると、ユーザーによる「チート報告」の多くが実際にチートを使用したものではなかったという。

『Call of Duty: Black Ops 6』は人気FPS『Call of Duty』のシリーズ最新作。映画のようなキャンペーンモードに加えて、マルチプレイモードも実装されている。全方向にダッシュをすることのできる新機能「オムニムーブメント」を用いた自由度の高いアクションが特徴の1つだ。また『Call of Duty: Warzone』は基本プレイ無料のバトルロイヤル作品であり、現在『Call of Duty: Black Ops 6』と合わせてシーズン展開がおこなわれている。

Activisionは同2作の「シーズン03」の開始に先駆けて、アンチチートシステム「RICOCHET Anti-Cheat」のこれまでの取り組みの成果や今後の展望などを公式ブログにて明かしている。『Call of Duty: Black Ops 6』のリリース以降、これまでに20万件以上のプレイヤーをBANし、その実に23%は最初の試合をプレイする前に阻止したとのこと。ゲームリプレイを通じて疑わしいプレイを特定し、その後人間によって精査するといったプロセスが組まれており、さらには機械学習などの導入も進んでいるようだ。

チートの検出にはプレイヤーによるチート報告なども活用されているようだが、このチート報告についての状況が今回伝えられた。レポートによると、ユーザーからのチート報告の実に60%以上がコンソール版プレイヤーに対するものであり、なんとその多くが「間違ったチート報告」とのこと。そもそも『Call of Duty: Warzone』におけるチートの大半はPC版プレイヤーによるもので、コンソールでのチート使用者は極端に少ないという。よって、多くのコンソール版のプレイヤーが、事実とは異なるチートの疑いをかけられてしまっている格好だ。単に上手なだけのプレイヤーがいわゆる「誤BAN」されてしまうリスクもあるだろう。

こうした「間違ったチート報告」の原因として、攻撃側が受け取っているさまざまな情報が、死亡したプレイヤーが見るキルカメラからは読み取れないという問題があると分析されている。例として、タクティカルと呼ばれるガジェットの1つ「スパイカメラ」によって位置がハイライトされている場合、自分がガジェットによって見られているにもかかわらず、「チートで把握されているのではないか」などと誤解して報告をしてしまうケースなどもあるという。そのため、来たる「シーズン03」ではキルカメラのUIに大幅なアップデートを加え、戦況に影響を与えているピンなどの要素を死亡したプレイヤーがチェックできるようになるようだ。とはいえ、コンソール版のプレイヤーに通報数が偏っている理由については特に明らかになっていない。ただ、PC版を中心にチーターが多いという現状を受けて、コンソール版のプレイヤーも「もしかしたらチーターかもしれない」と対戦相手に疑いの目を向けてしまうという状況にあるのかもしれない。

ユーザーの報告に基づいた対策には、効率よくチーターを排除できるなど良い面もあるものの、プレイヤーがチーターの存在を常に意識しながらプレイしなくてはならないなどの悪影響もあり、賛否が別れる部分だ。たとえば、タクティカルシューター『VALORANT』を手がけるRiot Gamesは「コンペティティブ・インテグリティ(競技の公正さ)」を理念として掲げており、ゲームのプレイに際して自分や対戦相手の能力に疑念を抱くことがないように遊べる環境構築を目指しているという。

『VALORANT』

ところで、『VALORANT』には、“堅牢”と名高い強力なアンチチートシステム「Riot Vanguard」が導入されている。「Riot Vanguard」ではカーネルレベルドライバによるチート検出、すなわちPCのシステムの根本から不審な動きの検知ができるようになっている。「RICOCHET Anti-Cheat」でも同様の仕組みが取り入れられているものの、機械学習への過度な依存については比較されることもある。「Riot Vanguard」に携わるアナリストのGamerDoc氏は昨年Xで、「RICOCHET Anti-Cheat」の取り組みに対して「アンチチートはAIに頼りすぎるべきではない」との苦言を呈した。AIがゲームプレイからチートかどうかを判断するのには限界があるだろうとの意見も出ているわけだ。

FPSゲームの歴史はチート対策とともに歩まれてきたと言っても過言ではない。今後この“いたちごっこ”のような現状を打破する画期的なアンチチートシステムが登場することを祈るばかりだ。今回Activisionはさらなる対策を目指して、「シーズン03」からは全く新しいアンチチートシステムも導入するとしている。どのような新システムとなるのか、そして新システムによってチーターが減少するかなどについて、今後の動向を見守りたい。

Call of Duty: Black Ops 6』および『Call of Duty: Warzone』は、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam/Microsoftストア/Battle.net)などに向け配信中。4月3日より「シーズン03」が開始される。

Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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