発売後すぐ販売停止された『CONCORD』開発者、「ほかの新作を“CONCORD 2.0”扱いして攻撃するのはやめて」とお願い
『Marathon(マラソン)』リブート版を“CONCORD 2.0”と揶揄するユーザーが現れていることを受けて、『CONCORD』の開発スタッフが声明を投じている。

Bungieは4月13日、『Marathon(マラソン)』リブート版を9月24日にリリースすると発表し、ゲームプレイ映像を披露した。一方、本作を“CONCORD 2.0”と揶揄するユーザーが現れていることを受けて、『CONCORD』の開発スタッフが声明を投じている。
本作は、PvPvE脱出FPSだ。舞台となるのは、力と富を巡って派閥が対立する惑星タウ・セティIV。プレイヤーはサイバネティック傭兵「ランナー」として最大3人の部隊を組んでこの星に降り立ち、武器や装備、貴重品を探しつつ脱出を試みることになる。マップには最大18人のプレイヤーが集められ、、敵部隊や敵AIロボットと戦闘。チームメンバーの蘇生・リスポーンも可能なシステムが特徴になるという。
開発を手がけるのはMMOアクションFPS『Destiny』シリーズなどを手がけてきたことで知られるBungie。同スタジオにとって、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)傘下入り後初の新作ゲームとなる(関連記事)。そんな『Marathon』は基本プレイ無料ではなく、買い切り型のゲームになるそうだ。ただし価格は、いわゆるフルプライスよりも安価となる見込み。
そんな『Marathon』を、『CONCORD(コンコード)』になぞらえるユーザーがSNS上では一部見られる。『CONCORD』といえば、SIE傘下のFirewalk Studiosが手がけ、2024年8月に発売されたチーム対戦型FPSだ。SIE/Firewalk Studiosは同作の発売後わずか10日となる9月4日に販売を即時停止し、返金対応をおこなうと発表。また9月6日にゲームはオフラインになり、サービスが再開されないままFirewalk Studiosは閉鎖となった(関連記事)。『CONCORD』は、Steam版では発売直後からプレイヤー数が振るわないといった苦戦を見せており、販売やサービス停止の背景には売上不振があったとみられる。
今回『Marathon』の新情報発表を受けて、同作を『CONCORD』になぞらえるユーザーも現れている。SIE傘下スタジオが手がける買い切り型のオンラインFPSといった共通点から、両作を結び付けているのだろう。中には「また失敗する」と揶揄する意図からか、『Marathon』を“CONCORD 2.0”と表現する反応もみられる。
一方でそうした状況を受け、Firewalk StudiosにてシニアVFXアーティストを務めていたStephan Williams氏が声明を投じている。同氏はRedditやYouTube、Twitch上で『Marathon』を“CONCORD 2.0”と揶揄するコメントを見かけたことを受けて、人生の大部分をゲーム開発に捧げてきた自分の想いをユーザーに共有したいと考え、今回の投稿に至ったようだ。
まずStephan氏は、『CONCORD』がプレイヤーを惹きつけられず失敗したことを認めつつ、Web上で笑いものになった状況を胸が締め付けられる想いで見ていたと振り返っている。(今のゲーム業界では)成功の見込みが非常に薄く、そのなかでも挑戦し、敗れたと述懐。ただ、同氏は今回の投稿で同情や哀れみを求めているわけではないそうで、あくまで『CONCORD』の失敗と、業界の厳しさを振り返る説明のようだ。
そしてStephan氏は、Bungieが今回手がける『Marathon』も同スタジオにとっては実績のないジャンルのゲームであり、成功が保証されていない挑戦をすることを称賛したいとコメント。また同氏は本作の情報発表動画における開発者たちの顔を見て、本作の将来に期待と興奮を覚えたという。先述のように『Marathon』には「失敗する」といった揶揄が一部寄せられているものの、同氏としてはBungieの挑戦を応援し、期待しているわけだろう。
最後にStephan氏は、『CONCORD』の失敗を引き合いに出して、ほかの開発者を攻撃しないようにしてほしいともコメント。『Marathon』でも、失敗に終わった『CONCORD』でも、開発者がみな特別な作品を作るためにベストを尽くしていることを示した。そうして同氏は、「ゲームは楽しむものなのだから優しくクールに振る舞おう」とユーザーに呼びかけている。

すぐさま販売停止となり、波紋を広げた『CONCORD』。一部では大型ライブサービスゲームの失敗例として扱われている状況もあるなかで、今回同作に携わったStephan氏が胸中を明かした格好だ。そもそも『Marathon』と『CONCORD』は作風が大きく異なり、「SIE傘下スタジオが手がける買い切り型のオンラインFPS」といった共通点だけで結びつけるのは強引でもある。SIE傘下入り後初の大型新作というプレッシャーもあるなかで、Bungieが新たなジャンルに挑む『Marathon』の今後は注目されるところだろう。
『Marathon(マラソン)』はPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けに、9月24日に発売予定だ。