批判殺到の大作ゲーム『MindsEye』開発元CEO、「失敗の原因は社内外の妨害工作」と“陰謀”主張していると報じられる

『MindsEye』を手がけるBuild A Rocket BoyのCEOは本作の“再ローンチ”による汚名返上を狙う一方で、本作の失敗を“妨害工作”にあると睨んでいるようだ。

アクションアドベンチャーゲーム『MindsEye』を手がけるBuild A Rocket Boyは、ローンチで大きくつまづいた本作の再起を図ろうとしているようだ。一方でこうした苦境に陥った原因は“妨害工作”にある、と同社CEOが主張している。IGNなどが報じている。

『MindsEye』は、物語主導のSFアクションアドベンチャーゲームだ。舞台となるのは、テクノロジーが支配する砂漠の大都市「レッドロック」。そして主人公ジェイコブ・ディアスは謎の神経プラント「MindsEye」を移植され、極秘任務を遂行していたものの、記憶を失ってしまった元兵士だ。ジェイコブはレッドロックでの新たな生活を始めたものの、やがてテクノロジー企業と市長との争いに巻き込まれ、自らの過去を突き止めるために戦うことになる。

本作を手がけるBuild A Rocket Boyは、Leslie Benzies氏によって創設されたゲームスタジオだ。同氏はかつてRockstar Northに在籍し、『グランド・セフト・オートIII』以降の同シリーズ作品などで、プロデューサーなどを担当した人物。同氏はRockstar Northを退職後、2017年にBuild A Rocket Boyを設立。多額の資金調達を経て『MindsEye』が開発され、6月11日にリリースを迎えた。

しかし『MindsEye』はリリース後苦境に喘ぐことになる。グラフィックやストーリー面では一定の評価を得つつも、最適化不足や不具合の多さが課題となっていた。さらにゲームはリニアで進行するシステムとなっており、オープンワールドながらミッション中には脇道に逸れることができず、またゲームプレイそのものが単調気味であることなどが指摘された。そうして本稿執筆時点ではSteamユーザーレビューにおいて1885件中37%の好評率となる「やや不評」ステータス、Epic Gamesストアでも星5つ中3.1の評価となるなど、厳しい状況となっている(関連記事)。

Build A Rocket Boyは苦しいスタートを受け、体験の改善を表明。一方で売上不振を受けてか、同社内で100名規模のレイオフが実施予定との報道もおこなわれた(関連記事)。そんな中、IGNがBuild A Rocket Boyの2名のスタッフの匿名証言として報じるところによれば、Benzies氏は7月2日、同社スタッフに向けてビデオ通話を実施。スタジオを再起させ、『MindsEye』を“再ローンチ(relaunch)”すると宣言したようだ。

なお同スタジオは先述したレイオフ報道の際に、組織再編により本作の継続的なアップデートやパフォーマンス最適化に注力できるようになると説明していた。今回は本作の“再ローンチ”が掲げられており、スタジオは汚名返上に本腰を入れるのだろう。

その一方で、証言によればBenzies氏は本作の苦戦およびスタジオの苦境については、内外にいる「妨害者」のせいだと主張していたとのこと。この「妨害者」の存在は、Benzies氏とともにBuild A Rocket Boy の共同CEOを務めるMark Gerhard氏も、『MindsEye』発売前に公式Discordサーバーなどで言及していたことがある(VG247)。

当時本作に対して否定的なプレビューが寄せられていた点について言及されたGerhard氏は、これはbotや金銭を受け取った人々によるスパム的な取り組みであると主張していた。つまり発売前にもかかわらず否定的なレビューが数多く寄せられていたことについて、Build A Rocket Boyや『MindsEye』の成功を望まない勢力による“組織的な嫌がらせ”があると示唆していたわけだ。ただこの発売日前に浮上した“妨害工作説”について、『MindsEye』のパブリッシャーを務めるIO InteractiveのCEO、Hakan Abrak氏は「そんなこと知らないし、信じられません(I don’t know. I don’t believe that)」とコメントしていた(IGN)。

しかしBenzies氏はスタッフに改めて妨害工作があると唱えているようだ。ちなみにGerhard氏が主張する“組織”が具体的にどの集団を指しているかは不明だ。先述した関係者証言によれば、Benzies氏の見立てでは「妨害者」は内部(on internal)にも存在することになっており、組織再編には、信頼できる人員を適切に配置する目論見もあるのかもしれない。なお実際に妨害工作があったかについては、Build A Rocket Boyとしての公式な回答はなく、あくまでもGerhard氏とBenzies氏が独自に主張しているかたちだ。

いずれにせよリリース直後から躓きを見せた『MindsEye』をBuild A Rocket Boyがどのように立て直すか、そして実際に評価を挽回できるのかについては引き続き注目が寄せられるところだ。なお同スタジオは組織再編によりレイオフが実施される可能性についても認めており、人員削減の規模についても注目が集まる。

MindsEye』はPC(Steam/Epic Gamesストア)および海外PS5/Xbox Series X|S向けに発売中だ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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