『アークナイツ:エンドフィールド』、今度は“時計”が生み出される。流れる水が時を刻む

『アークナイツ:エンドフィールド』にて、なんと“水時計”を作り上げたユーザーが登場した。

HypergryphおよびGRYPHLINEが手がける『アークナイツ:エンドフィールド』(以下、エンドフィールド)。本作の集成工業システムを利用し、実際に稼働する“水時計”を作成したユーザーが登場した。

『エンドフィールド』は、『アークナイツ』を手がけるHypergryphの3Dリアルタイム戦略RPGだ。巨大ガス惑星タロスの衛星「タロII」を舞台として、プレイヤーである「管理人」は、同衛星の開拓を進めていく。「管理人」はエンドフィールド工業の伝説的存在であるものの、記憶を失ってしまっている。そのため自身の足跡を追いつつこの星を巡るさまざまな脅威や陰謀に立ち向かう。本作については、「集成工業システム」として展開される工場建設ゲーム的側面も持ち味となっている。

本作の集成工業システムでは、設備やベルトコンベアなどを利用し、消費アイテムなどを作成可能な生産ラインが構築可能。一定の区画内という制限はあるものの、基本的にはプレイヤーの自由に図面を組み立てられる。なお、図面の共有機能も存在しており、作り上げた図面を他人と共有できるほか、他ユーザーの手がけた便利な生産ラインを素早く適用することも可能だ。

そんな集成工業システムを用い、「水時計」を作り上げたユーザーが登場した。本作にて2番目に訪れることとなる土地「武陵」では、液体ポンプやパイプを使うことで液体を取り扱うことができる。これらが、今回報告された水時計の機構に活かされているのだ。

今回水時計を作り上げたのは木端氏。同氏はXにて2月22日に「完成報告」をおこなったことにあわせ、YouTube上に解説動画を投稿している。

水時計の機構としては、パイプを流れる水が外側を回ることで「秒」を刻む。60秒で外周を時計回りに周回した水は、その内側にある“分針”部分に溜まり始める。60分で分針部分の水が詰まり、“時計”内部にある充填機に向けて水が流れる。そして解体機を通りつつ、充填機でふたたびボトルに水を充填。このボトルが「時」を表している。

なおボトルが“時”としてベルトコンベアに送られる際に充填機が水を消費することで「バルブ回路」を開放し、分針の水を抜く役割を担っている。バルブ回路は、分針内の水が抜けたタイミングで、解体機によってボトルから分離した水によって再び閉鎖される。この動作が繰り返されることによって時計として動作していく。なお“時”としてベルトコンベア上に溜まっていくボトルは、現状で回収できていないものの、木端氏によれば50時間ほどの動作が可能と見積もられており、このことをもって暫定的に完成としているようだ。

今回、弊誌は集成工業システムで水時計を作り上げた木端氏に話を訊いた。“水時計”の発想に至ったきっかけや、過去に判明した課題の解消方法などの詳細を伺っている。

――『エンドフィールド』の集成工業システムで水時計を作成可能ではないかと閃いたきっかけはありますでしょうか。

木端氏:
以前の動画ではベルトを使った回路について扱ったので、今度はパイプについて調べつつ何かを作ってみようと思いました。また、回路で何らかの動作を繰り返し行うためにはクロック回路が必須になるはずなのですが、以前の動画では今後の課題として保留にしていました。そこで思いついたのが水時計です。

『エンドフィールド』とは関係なく、実物の「デジタル水時計」のようなものを作ろうとして構想を練っていたことが昔あったので、これも頭の片隅にありました。

――過去のポストではパイプ物流装置の上限が完成までのネックとなっていたとのことですが、どのようにしてこの課題を解消されたのでしょうか。

木端氏:
最初は、分流器を通すたびに水の経路が変わることを利用して分針を作ろうとしていました。動画では3分41秒あたりで説明している仕様です。しかし、1時間を計るためには1分×60回のカウントが必要で、流路を60分岐させてから分針らしく見えるように並べ直すためには多数の装置が必要になるので、装置数の上限だけでなく面積から考えても不可能でした。

できるだけ1カウントあたりの部品点数を減らしつつ、「時計」らしく見えるようにし、さらに画面内に表示できる程度のサイズにまとめる必要がありました。そこで思いついたのが、細かく区切ったパイプ内に水を渋滞させて分針にすることです。これなら1分がパイプ制御口と1mのパイプだけで済み、視認性も悪くありません。

これに、「満杯になったら全部流す」動作を繰り返す回路を組み合わせることで、目標としていた水時計の動作を実現できました。時針については、一度はあきらめていたのですが、副産物である青鉄製ボトルを使うことで、時間を表示することもなんとかできました。とはいえ時計らしさとしては不十分なので、改良の余地があります。

――今回の水時計の仕組みは、どんな風に応用できると考えていらっしゃいますか。

木端氏:
今のところは、技術的興味のために作るような回路を除くと、あまり応用先は多くなさそうです。最近は、停電を検出して動作する予備電源装置の開発が進んでいるようです。停電するまでの時間を時計回路で測定することで、電力消費量と発電量の差を推測し、PWM式電力制御回路の出力を自動設定できるかもしれません。難しそうですが……

アップデートで液体の用途がもう少し増えれば、例えば「液体Aを使ったアイテムBは常に作り続けたいが、余ったらCもできるだけ作りたい」というようなときにバルブ回路や優先合流などの要素技術が役に立ってくると思います。

また、単純に材料から目標アイテムまで必要数の生産装置を並べていくだけでは済まなくなるような、他の工場ゲームで中盤以降にあるような要素が追加されればされるほど、凝った仕組みの応用範囲が広がるはずです。

――動画を拝見しましたが非常に分かりやすく説明されており、専門的な知識がおありなのではないかとお見受けします。もしかすると今回の研究にはご本業やご趣味の知識が活かされていたりするのでしょうか。

木端氏:
今は別の仕事をしているのですが、以前は機械設計をしていました。機械制御のための電子回路や、組み込み系のソフトウェアも少し扱っていました。とはいっても、かじった程度でしかないので、調べながら動画を作っています。

――工場ゲームも相当やり込まれていると思いますが、そんな木端さまにとって『エンドフィールド』にて今後実装されてほしい要素はありますでしょうか。

木端氏:
地域間の輸送手段を増やしてほしいです。現在だと地域間転送を使うか帝江号で手動輸送するしかないので、他の大量輸送手段を使った地域間の連携を考えてみたいです。工場間を電車やドローンが自分の指示通りに行き交う光景は、見ていて楽しいですし。

また、各種の情報を集成工業システム側から取得できる手段がほしいです。例えば倉庫搬出口ごとに、倉庫内アイテム数・拠点取引券の在庫数・電力残量などが特定の値以上かどうかで自動的にオンオフできるようになったら、単純に材料として使って生産数を調整することも、条件分岐して複雑な動作をさせることもできるようになるはずです。

個人的には、生産目標となるアイテムが定期的に変動するシステムや、副産物の処理が必要になるような複雑なレシピも、やりがいがあるので実装されて欲しいです。ただ、純粋な工場ゲームではないのに複雑になりすぎるのも良くなさそうなので、おまけのやりこみ要素という程度の扱いでいいと思います。

――そうした実装されるかもしれない要素を用いて、さらに実現したい回路などはございますでしょうか。

木端氏:
もし生産目標アイテムの変動が実装されたら、shapezやshapez2の「MAM」(Make Anything Machine、何でも作れる機械)が難しくてやりがいがあったので、こちらでも作ってみたいです。

――ありがとうございました。

『エンドフィールド』の集成工業システムについては、ただアイテムを生産するだけではなく、設備などの仕組みを活かし、「回路」を作り上げるユーザーも登場。過去には加算器を作成したユーザーも登場していた(関連記事)。また今回の木端氏は『エンドフィールド』の集成工業システムにてAND/OR/NOTの論理回路を過去に作り上げていたこともある(関連記事)。そんな同氏による、新たな回路が生み出されたかたちだ。

『アークナイツ:エンドフィールド』はPC(公式サイト/Epic Gamesストア)/PS5/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。

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Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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