『アークナイツ:エンドフィールド』の「省電力化」研究が止まらない。“自作計算機”で狙う停電ギリギリライン、無駄を許さぬ鬼の節電

『アークナイツ:エンドフィールド』の生産ラインを極限まで省電力化しようとする試みがおこなわれているようだ。本稿では“節電”をおこなうユーザーにこだわりや節電テクニックなどを訊いた。

HypergryphおよびGRYPHLINEが手がける『アークナイツ:エンドフィールド』にて、省電力化を突き詰めるユーザーが現れ、注目を集めている。既存のライン設計を応用しつつ、さらなる徹底的な電力削減がおこなわれているようだ。節電に没頭するユーザーに、テクニックやこだわりを訊いてみた。

『アークナイツ:エンドフィールド』は、『アークナイツ』を手がけるHypergryphの3Dリアルタイム戦略RPGだ。巨大ガス惑星タロスの衛星「タロII」を舞台として、プレイヤーである「管理人」は、同衛星の開拓を進めていく。「管理人」はエンドフィールド工業の伝説的存在であるものの、記憶を失ってしまっている。そのため自身の足跡を追いつつこの星を巡るさまざまな脅威や陰謀に立ち向かうことになる。本作はアクションRPGの側面を持ちつつ、一方では「集成工業システム」として展開される工場建設ゲーム的側面も本作の持ち味だ。

本作の集成工業システムでは、各地で採掘可能な鉱石や、栽培によって入手できる植物などを用いてさまざまな製品を生産していく。生産にあたっては設備を動かす電力が必要となる。場合によってはバッテリーを生産し、発電機に投入することで電力上限を確保しなければならない。

ところで本作におけるバッテリーは、発電機に投入することで1個当たり40秒間固定値の発電量を供給する。たとえば小容量武陵バッテリーでは発電量は1600なので、同バッテリーを発電機に投入すれば1個当たり1600の発電量が40秒間供給される。設備が要求する電力が1600を超えるのであれば当然もう一台発電機を用意し、バッテリーを追加で投入する必要がある。しかし1600×2=3200の電力が供給される都合、仮に2000程度しか要求しない場合、1200の余剰電力が発生する。

そうした電力余剰を解決し、可能な限り省電力化をおこなうため、本作ユーザーのふぉめ氏は、「節電型武陵電池ユニット」と称した電池生産ラインを構築した。なお消費バッテリー数を制御して節電を試みる回路自体はすでにbilibili動画のユーザーが報告しており、“分流器”を用いてベルトコンベア上を流れるバッテリーの個数を調整する生産ラインが話題となっていた(関連記事)。ふぉめ氏はそれをさらに発展させ、図面の小型化と運用におけるさらなる省電力化を図ったようだ。

今回、そんな回路の省電力化に取り組むふぉめ氏に話を伺うことができた。省電力化のコツや、同氏がこれまで手がけた中で“渾身”の回路、ゲーム外まで波及する省電力化の取り組みまで、詳細を訊くことができた。

――ふぉめさんは『エンドフィールド』における「回路の省電力化」にはいつ頃から取り組まれているのでしょうか?きっかけがあれば教えてください。

ふぉめ氏:
省電力化については、ここ一週間ぐらいから取り組み始めました。きっかけは中国ユーザーが投稿した動画です(関連記事)。動画では、発電量を最適に調整することで、電池消費を節約して納品数を増やすテクニックが紹介されています。元の動画では協約貯蔵箱から直接電池を出す形式で調整していましたが、(バッテリーを生産する)包装機から直接出した方が流量を計算しやすく、より簡単に調整できるのではないかと思い、図面の小型化や運用の省力化を図りました。


本来発電機は1機か2機をフル稼働させて電力を賄うので、発電量さえ超えなければ消費電力を減らしても生産性が上がりませんでした。ですが、この電池を節約するテクニックにより、消費電力を減らすことが生産性の向上につながるようになったので、省電力の研究を始めました。

――省電力化ではどういった点を意識して図面を作成されていますか?省スペース化などもあわせて意識されているのでしょうか?

ふぉめ氏:
省電力化では、まず無駄な電力を減らすことから始めます。手始めにストーリー任務で置いたポンプとスプリンクラーを撤去し、景玉谷拠点の防衛戦で使用した戦闘設備をすべて撤去して、220の電力を節約します。さらに武器強化要素にあたる基質厳選を早い段階で終わらせます。その際に使用した戦闘設備も停電させる設定をして、260の電力節約をおこないました。

なお源石鉱物を採掘する際に、装置の切り替えが面倒だったため、「電動採鉱機II」を配置しておりましたが、こちらもすべて「電動採鉱機I」に置き換えることで、計150の電力を節約しています。さらに生産ラインの協約貯蔵箱をすべて撤去し、ベルトコンベアで協約コアに送るようにして35ほど節約しました。

錦草の生産も行っていましたが、芽針余剰分の回収でパッケージコストが充分賄えるため、これも撤去しています。液体ポンプもついでに一機減り合計40の節約につながっています。さらに、地域間無在庫転送で青鉄鉱物を輸送する代わりに、青鉄塊を直接輸送することで、武陵における精錬機を一機減らし、電力量5の節約。すべて合計すると675の永続的な節電が実現でき、とても無視できない量になります。なお農場で用いたスプリンクラーは、使用するたびに停電処理をおこなう手間を考え見送りましたが、ちゃんと停電させれば100単位での節電が可能です。

また省電力化の図面設計では、「協約貯蔵箱を使わないこと」と「生産設備は最大効率で利用すること」、さらに省スペースのために「出口は協約核心に向けるようにすること」を意識しています。協約貯蔵箱は生産ラインの納品先として便利なアイテムですが、電力を消費するものの何も生産しない設備なので、使わないようにしています。

生産設備を最大効率で利用する、という点では、例えば息壌の生産においてサンドリーフに余剰が生じるのですが、この発生した余剰分を回収し、別の場所のサンドリーフ生産を減らしているかたちです。バッテリーと装備部品を混合生産するにあたってはサンドリーフが5/6レーンほど必要ですが、息壌生産ラインからレーンを流れる2/3を回収することにより、追加で0.5の生産で済み、栽培機1台分、つまり20の節電につなげています。

ちなみに省スペース化については、既存の完成形の図面から、箱を撤去してレーンを協約コアに向かわせています。明らかにサイズを縮小できるような場所が無ければ、一旦それでOKとしています。

――電力消費を可能な限り抑える要所での工夫が光っている形ですね。ところで、ふぉめさまの現時点での「渾身の回路」はありますか?

ふぉめ氏:
渾身の回路は、四号谷地の中枢エリアにおける、蕎花カプセルIII 4レーン分の生産ラインと、小容量谷地バッテリー発電16機分の生産ラインを詰め込んだ以下の回路です!左側角地の電池生産が、奇跡が起きた結果なんとか置けました!

――ここまでさまざまな工夫などをお伺いしましたが、省電力化にあたって特に「これに困った」といったエピソードはあるでしょうか?

ふぉめ氏:
節電のコア部分である「制御発電機」についてですが、これは武陵電池の発電量1600を、800/400/200/100/50/25/5/5/5/5/5に分解して、細かく発電量を調整できるようにしたものです。ただ、実際に運用しても、発電量を消費量より大きい値を設定しても、しばしば電池の供給が間に合わずに大停電を起こすことがありました。

そこで、電池供給のシミュレータを作成して計算し、現在の消費電力を入力すると、大停電を起こさない最小な発電量を提案するようにしました。制御発電機の要求発電量を入力して計算を押すだけで、自動で推奨設定値を教えてくれます!

――今後、集成工業システムに追加されて欲しい機能はありますか?また、「こういう回路も研究したい」というような展望はありますでしょうか?

ふぉめ氏:
今後に集成工業システム追加してほしい機能は、俯瞰画面のHUD表示を消す機能や、集成工業エリア全体を俯瞰できる機能が一番欲しいですね!また今後は、レーンやパイプから出る信号で作る論理回路について研究しようかなと思っています。

――ありがとうございました。

『エンドフィールド』における集成工業システムに関しては、生産効率を追い求める図面の設計がおこなわれてきた(関連記事)。一方で異なる方面での「効率化」も楽しまれており、ふぉめ氏の取り組みは、生産効率を保ちつつも“節電”に特化した研究という意味で興味深く、回路研究への強い想いもうかがえる。特に武陵においては、なんとゲーム外まで研究が波及し、シミュレータの作成まで実施しているわけだ。「省電力化」に興味のあるプレイヤーは試してみるといいだろう。なおふぉめ氏は今後、論理回路の研究をおこなうとのことで、同氏のさらなる回路開発の行方も期待されるところだろう。

『アークナイツ:エンドフィールド』はPC(公式サイト/Epic Gamesストア)/PS5/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。

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Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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