街オープンワールド『NTE: Neverness to Everness』(以下、NTE)には、移動に便利な能力を持つキャラクターが何人もいる。壁を地面のように走るナナリ、高速で駆け抜ける真紅、透明になって移動速度が上がる残虹。そしてVer.1.4では、鳥に変身して空を飛べるクロバネも加わった。街を移動するだけでも、ずいぶん手段が多い。

では、実際のところ誰が一番速いのか。筆者の予想では、短距離は真紅、中距離はクロバネ、長距離は残虹が有力だ。しかし、普段は気分でキャラクターを切り替えており、きちんと比べたことはない。今回は地上の短・中・長距離に加え、壁登りや屋上間の空中移動でもタイムを測ってみた。参考として、コースによっては車や原付とも比較している。

なお、記録はそれぞれのコースで筆者が操作して計測した参考値だ。通常キャラクターもダッシュや回避を使って移動している。操作やルート取りによって結果は変わりうるため、厳密な性能ランキングというより、シチュエーション別の便利なキャラを探る競争として読んでいただきたい。


短距離は真紅、長く走るなら残虹

最初は、自動車教習所の直線を使った短距離走。通常キャラクターの代表として走った鑑定士は8.2秒だった。これに対し、移動スキルを使ったクロバネは7秒、残虹は6秒、真紅は5.1秒。予想どおり、短い距離を一気に駆け抜ける場面では真紅が強かった。

回避ボタンを長押しすると変身し、猛烈な勢いで走り出す真紅。その速さは見た目だけではなく、今回のコースでは、自動車「C2000」の6.1秒を上回っている。最高速度に達するまえに終わる短距離とはいえ、車と競走して勝てる脚力を持っているのだ。

ただし、変身中はスタミナの消費も激しい。細かな位置調整も得意とはいえず、勢いよく走り出したものの、止まりたい場所を通り過ぎることもあった。車で目的地の近くまで行き、降りてから入口までひとっ走りする。そうした短い移動で頼りになる能力だろう。

ちなみに、ダフォディールも通常攻撃後の回避アクションを繰り返すことで素早く前方に移動でき、今回のコースでは7.2秒で到着した。今回の最速争いには届かないが、通常の移動より少し急ぎたいときには役立つ。移動能力を前面に出していないキャラクターにも、こうした差があるのはおもしろい。

続いて、プカランドの入口から中央の池までの中距離走。ここでは真紅が24秒、クロバネが22秒、残虹が18秒だった。中距離はクロバネが強いと思っていたのだが、残虹が一歩抜けている。通常キャラクターの27秒と比べても、かなりの短縮だ。

残虹の強みは、透明化による加速自体はスタミナを消費せず、途中で解除しなければ効果が切れた直後に再発動できること。さらに回避アクションも速くなる。透明になって進みながら回避し、姿が戻ったらまた透明になる。特別な工夫をしなくても速く、操作も楽だった。

その安定感は、異象管理局に向かう道にかかる大橋を、端から端まで渡る長距離走でも発揮された。鑑定士が86秒、真紅が77秒、クロバネが75秒だったのに対し、残虹は59秒。原付「Rover A1」の72秒さえ上回っている。原付に乗るより、透明になって自分で走ったほうが早く着いてしまった。

ならば、キャラクターを組み合わせた場合はどうだろうか。潯の時間停止中は、ほかのキャラクターもスタミナを消費しない。そこで、最初に時間を止めて真紅でダッシュし、スタミナが尽きたら残虹へ交代。透明化で移動しながら回復を待ち、その後も真紅と残虹を切り替える作戦を試した。

結果は60秒。残虹ひとりで走った59秒と、ほとんど変わらなかった。キャラクターの切り替えや能力の発動で時間を使うためか、忙しく操作したわりにタイムが縮まらない。少なくとも長距離では、操作も楽な残虹に任せておけばよかったのである。


壁を登るなら、やはりナナリ

地上では残虹が安定していた。しかし、街の目的地がすべて道路沿いにあるとは限らない。次はニューホランドにあるDSD堂ビルを地上から屋上まで登り、縦方向の移動を比べてみた。

通常キャラでよじ登ると51秒。これに対し、重力を変えて壁を走れるナナリは10秒だった。かかった時間は約5分の1。高い建物へ登る場面では、移動能力の有無でこれほど差がつく。

真紅も、変身中は壁を高速で登れる。DSD堂ビルも約6秒で屋上近くまで迫ったものの、登り切る前にスタミナが尽き、変身が解除されてしまった。操作中には意図しない方向へ走ってしまい、そのままスタミナを使い切って落ちる場面もあった。勢いはすさまじいが、高い壁を登るには少々不安が残る。

その点、ナナリは能力の効果中にスタミナを消費しない。壁を走る効果が切れても、残しておいたスタミナでよじ登り続けられる。登る速さだけでなく、登れる距離にも強みがあるわけだ。残虹の透明化では壁登りは速くならないため、地上での優位もここでは役に立たない。

もっとも、ナナリも常に思いどおりとはいかない。複雑な構造の建物では、出っ張りなどの面にくっつくことで重力の向きが変わり、進む方向がわかりにくくなることがある。それでも、シンプルな壁を一気に登る能力は頼もしい。飛べるキャラクターが増えた今でも、移動用の編成には入れておきたい性能だ。


空では「斜めに飛ぶ」小技で順位が変わる

次はアッパレタワーから近くのビルの屋上を目指す、空中移動の比較だ。通常のグライダーでは37秒だったコースを、滑空できるリンコは23秒、鳥になったクロバネは21秒で到着した。まずはクロバネの勝利である。

ただし、リンコにはSNSで見つけた気になる小技がある。滑空中、まっすぐ進むより斜めに移動したほうが速いというのだ。実際に試すと確かに速く、同じコースを19秒で完走。約4秒の短縮で、クロバネとの順位までひっくり返ってしまった。

やることは、斜め入力で進む方向が目的地を向くようにカメラを調整するだけ。難しいタイミング合わせなどは必要なく、日常の移動にも取り入れやすい。意図的な挙動かは不明ながら、今回の検証ですぐに使いたくなった小技のひとつだ。

リンコは滑空中にスタミナを消費しない点も便利である。スタミナを消費するタイプのスキルでは、完全に使い切ると落下してしまう。その前にスキルを解除すれば、スタミナを消費しないグライダーへ移行できるが、移動速度は落ちる。高い場所から遠くへ渡るときには、スタミナ切れを気にせず飛び続けられること自体が大きな利点になる。

実際、レクイエムのコウモリ変身では、約9秒で飛行が解除され、目的の屋上へ届く前に手前のバスケコートに落ちてしまった。今回の距離では厳しい結果だ。コウモリがちょこまかと飛ぶ姿は可愛いのだが、遠くの屋上を目指す競争には不向きだった。

そして、この争いに割り込んできたのがハソールだ。斜め下へ突進する落下攻撃を利用してビルに向かうと、記録は16秒。斜めに飛んだリンコよりも速かった。

ただし、ハソールは方向転換も途中での解除もできない。進む方向と目的地が合えば速いが、途中で寄り道しようと思っても融通が利かないのだ。今回のコースでの最速はハソール。しかし、普段使いのしやすさまで考えると、リンコの「斜め滑空」がかなり魅力的だった。


クロバネは、鳥になる前の準備が大事

ここまでの競争では、クロバネは地上でも空でも最速にはならなかった。しかし、今回使い込んでみて、飛び方によって印象が大きく変わったキャラクターでもある。

鳥に変身したクロバネは、水平方向へ進むぶんには比較的スタミナが長持ちする。一方、高度が変わると消費が急激に増える。地上でも階段などを通るとすぐに消耗するため、平らな道を移動するときと同じつもりでは使えない。

ややこしいのは、上昇だけが苦手なわけではないことだ。下りなら重力に任せて楽に進めるのでは、と試したものの、降下中もスタミナ消費が増えた。今回確認した範囲では、上下への入力そのものより、実際に高度が変わることがスタミナ消費に影響しているようだった。

そこで役立ったのが、落下攻撃の途中でも照準ボタンで鳥に変身できるという仕様である。まず落下攻撃で目的地に近い高さまで降り、そこから鳥になって水平に飛ぶ。屋上間移動の21秒という記録も、この方法で到達したものだ。鳥になってから高さを調整するより、飛行に使えるスタミナを残しやすかった。

潯の時間停止との組み合わせも、クロバネでは特に使い道がわかりやすかった。時間が止まっている間に上昇し、スタミナを消費せずに高度を稼ぐ。そこから水平飛行へ移れば、苦手な上下移動の負担を抑えられる。地上のリレーでは思ったほどタイムが縮まらなかった時間停止も、こちらでは弱点を補ってくれた。

さらにクロバネは、一定範囲のオラクルストーンを回収できる能力も持っている。鳥になって移動しながら集められるので、収集の際にも地味に便利だ。単に目的地へ早く着くこととは別の利点もある。

地上をそこそこの速さで移動でき、少し高い場所へ上がることも、建物の間を飛ぶこともできる。クロバネは、こうした用途をひとりでこなせるオールラウンダーだった。ただし、自由に飛べるからといって、上下左右へ好き放題に動いていると息切れする。便利さを引き出すには、飛ぶ前に少し考える必要があるキャラクターだ。


行き先に合わせて、移動役を選ぶ

今回の検証では、地上を安定して速く移動するなら残虹、短い距離を一気に詰めるなら真紅が優勢。壁登りはナナリ、高所から長く滑空するならリンコが使いやすかった。クロバネはキャラクターを何度も切り替えず、地上から空まで移動したいときに便利だ。今回試した範囲では、どの場面でも最速になるキャラはおらず、むしろ行き先によって使い分けたくなる個性が際立っていた。

ちなみに、今回の検証で大いに助けられたのが、設置したポイントへワープできるカオスだ。ある意味では「移動時間0秒」のこの能力は、走っては何度も同じ位置に戻る今回の検証で大活躍だった。ただ、走る速さを競っている横で移動そのものを省略されてはかなわない。今回は別枠としておきたい。

普段は気分で切り替えていたキャラクターにも、それぞれ得意な道や距離がある。さらに、斜めに滑空したり、変身する前に高さを合わせたりと、同じ能力でも使い方次第で差がつく。次にどこへ行くかだけでなく、そこまでどう移動するかを考えるのも、『NTE』の街歩きの楽しみなのだ。一番速いキャラクターを決めるつもりが、最後には普段使わないキャラまで、編成に組み込みたくなっていた。

『NTE: Neverness to Everness』は、PC(公式サイト/Steam/Epic Gamesストア/Google Play Games)/Mac/PS5/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。クロバネがピックアップされた限定ボード「終局のオラクル」は10月21日6時59分まで開催中。

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