大流行中“人生ガチャ”シミュレーター『80億分の1』、実はアプデで「自殺エンド」が入っていた。開発者は当初は葛藤し見送り、でも“生き方を除外しないため”実装

なお、自殺は自らの選択肢として現れることはなく、他の死亡理由と同様に、その国や年齢、性別の統計に沿って起こる。

デベロッパーのJin Hwi-eus氏は10月5日、人生シミュレーター『80億分の1』をリリースした。SNS上で大きな注目を集める本作には、当初Jin氏が実装に反対だった「自殺」が、その後のアップデートで実装されている。

『80億分の1』は、統計データに基づいた人生シミュレーションゲームである。プレイヤーは世界のどこかの誰かとして、生を受けることになる。どこの国で生まれるかはわからず、どんな家庭の子となるかもわからない。そうした未知の要素は統計データに基づいてランダムに決定される。進路選択や就職、病気や事故、学校でのいじめ、家族の死など、さまざまなことを体験しながら、もう1人の自分の人生を見つめるのだ。

ゲームを開始する際には、生まれる世界と、生まれる国の決め方、ひとつの人生の長さを選択する。設定に基づいて人生がスタートすることになるが、世界のどこで生まれるかや、両親がどんな人か、家庭の裕福さなどはいっさい選ぶことができない。こうした要素は統計データに基づいて運任せで決まるのだ。そして「生まれる」ボタンを押せば人生スタート。あとは人生で起こるイベントや各種ステータスを眺めながら、大きな分岐点では自分で決断を下す。

本作はSNS上で大きく話題となり、国内コミュニティにおいても「#80億分の1」ハッシュタグにて、さまざまな“人生ガチャ”とそこからの生きざまが紹介され合ってきた。

ところで、プレイしてすでに遭遇した人もいるかもしれないが、現在の『80億分の1』には自殺の結末が実装されている。公式サイトの更新履歴を見ると、リリース当初は実装されていなかった一方で、10月11日に配信されたv0.6.36 betaにて、自殺が10代から実際の統計通りに起こるようになっていたことがわかる。

なお、自殺は自らの選択肢として現れることはなく、他の死亡理由と同様に、その国や年齢、性別の統計に沿って起こるとのこと。一方で、辛さをひとりで抱えること、近親者がなくなること、失業や巨額の借金などによって起こりやすくなるほか、誰かに話したり相談を受けたりすることで起こりにくくなるそうだ。ちなみに、本作の人生で自殺を迎えた場合、「#いのちSOS」や「24時間子供SOSダイヤル」など、死亡記録に相談先も表示されるようになっているという。

この自殺実装に関して、韓国の国民日報が実施したインタビューの内容を共有する国内ユーザーのポストと、それに対する同氏の反応が注目を集めている。同氏はインタビューのなかで、子どもの死亡や早婚、紛争といった重い要素も除かなかった一方、自殺については採用を取りやめたことを説明していた(国民日報)。

自殺で亡くなる人は現実の世界でも少なくなく、特に日本では自殺が死因全体のうち1.2%を占めていることが調査によって明らかになっている(厚生労働省)。リアルな統計に基づいた作品でありながら、リリース当初は例外的に描かれなかったわけだ。同氏はこれについて、自殺をランダムな死因として組み込んでしまうことで、避けられない運命のように見える可能性があることや、辛い時期にあるユーザーに見せたくなかったことなどを理由として挙げていた。

そしてJin氏はXにおける返信で、自殺についての考えに変化があったと語った。自殺をゲームに再び実装しようと決めたのは、それらを故意に含めないことで、本作からそうした人生を除外してしまっているのではないかと感じたからだそうだ。現在同氏は、統計を用いて地球上のすべての人生経験を可能な限り含めようとしているという。

実際に本作ではその後のアップデートで、自殺以外にもさまざまな生い立ちや出来事が実装されてきた。なかには当事者や周囲の人にとって、辛さを感じうるものも含まれているが、こうした要素もそれでも描こうと決めたのは、80億の人生をテーマにしたシミュレーションゲームを作るJin氏なりの覚悟なのかもしれない。幸福も不幸も含め、自らのリアルの人生を見つめなおすきっかけとして、本作をプレイしてみてはいかがだろうか。

『80億分の1』は、ブラウザから無料でプレイ可能だ。

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Shion Kaneko
Shion Kaneko

夢中になりやすいのはオープンワールドゲーム。主に雪山に生息しています。

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