Valveが“ニューヨーク州”に訴えられる。『Counter-Strike』などのガチャは実質「違法賭博」だとして
米国ニューヨーク州は現地時間2月25日、Steamの運営元Valveを相手取る訴訟を提起した。

米国ニューヨーク州は現地時間2月25日、Steamの運営元Valveを相手取り訴訟を提起。同社が手がけるゲーム『Counter-Strike』などのルートボックスが賭博と同等の危険性をもつと主張されており、恒久的な差し止めや消費者への損害賠償命令などが請求されている。
ValveはゲームプラットフォームSteamを運営するほか、複数のゲームを開発・運営している。基本プレイ無料の運営型ゲームとしては、現在『Dota 2』『Team Fortress 2』『Counter-Strike 2』などを展開中。それぞれいわゆるルートボックス(ガチャ)にあたる仕組みを通じて、装飾アイテムなどを獲得できる仕組みを有している。特に『Counter-Strike』シリーズでは希少なアイテムが高額で取引されていることでも知られている(関連記事)。

ニューヨーク州は今回、Valveの作品におけるルートボックスの仕組みが典型的な賭博にあたり、ニューヨーク州憲法および刑法によって禁じられていると主張。ほかのゲームのルートボックスとの違いとして、取得した仮想アイテムをSteam コミュニティマーケットやサードパーティーの販売サイト上で売買できることを挙げている。
Steamコミュニティマーケットでは、Steamストアで使えるSteamウォレットの残高でアイテムを取引できる。またサードパーティーの販売サイトではリアルマネーで取引されている実態もあるとされ、訴状ではルートボックスで獲得できるアイテムが金銭的価値をもつと説明されている。ニューヨーク州側は、『Counter-Strike』シリーズ単独でも仮想アイテム市場は数十億ドル規模であるとの推定を示し、ゲーム業界で前例のない金額だと主張している。
なお『Counter-Strike』などValveの作品におけるルートボックスでは、獲得したルートボックスを開封するために有料の鍵(key)が必要になる。ただ排出される仮想アイテムのほとんどは相場では鍵の価格を下回っており、コミュニティマーケットなどで購入したほうが安価といえる。そのためニューヨーク州側は、多くのユーザーにとって、鍵を購入してルートボックスを開封する理由は、宝くじやスロットマシンを遊ぶのと同じく“大当たり”が出る可能性にあると主張している。
ニューヨーク州側は、Valveによるルートボックスモデルが、純粋な運に基づき価値あるものを得る「機会」に対して料金を課す仕組みであり、これは典型的な賭博であると主張。ニューヨーク州憲法および刑法によって禁止されているとした。

このほかニューヨーク州側は、作品によってはルートボックスの開封時の演出が仮想スロットマシンに類似していると指摘。もう少しで当たりだった(near miss)という錯覚を生じさせるとも主張した。ほかの賭博形態と同様に依存症を引き起こし、現実的な被害をもたらす懸念があるとの見解を述べている。またValve作品のルートボックスにおける高額な仮想アイテムを獲得できる可能性は子どもや青少年を惹き付け、とりわけ有害であるとも主張されている。
なお今回の訴訟はニューヨーク州の人民(The People of the State of New York)を原告として同州の司法長官によって提起された。訴状ではValveが数千人のニューヨーク州住民にルートボックスの鍵を販売し、数千万ドルの収益を得ていると主張。さらにニューヨーク州の住民がルートボックスから取得された仮想アイテムを売買した際にも、Valveは手数料として数百万ドルの利益を得ているとの見立てがおこなわれている。
そうした点から、訴状においては裁判所に対し、Valveに向けてニューヨーク州憲法および州法に違反する行為の恒久的な差し止めを命じるように要求。またそうした“違法行為”に基づき、ニューヨーク州の人民が被った金銭的損失を会計報告としてValveに提出させることを求めている。さらに違法行為によって消費者に直接的または間接的に生じた損害について、Valveに完全な返還および賠償をおこなうように命じるほか、違法行為によって得た利益の3倍に相当する罰金の支払い命令なども要求されている。
なお『Counter-Strike』シリーズにおいては過去にも米国やその他の地域でルートボックスの仕組みがしばしば問題視されてきた経緯もある(関連記事)。特にルートボックスがサードパーティーのオンラインギャンブルサイトで扱われる事例も後を絶たず、この点はたとえば英国政府が公式サイト上で「skins gambling」としてその実態やリスクを報告している。
一方で今回のニューヨーク州が提起した訴訟ではオンラインギャンブルサイトではなく、ゲーム内のルートボックスの仕組みそのものに違法な賭博性があると主張されている点が特徴だ。判決次第ではほかの地域で参照される可能性もあり、訴訟の行方は注目される。
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