Steamがロシアとベラルーシのユーザーを最近大量BANしたとの報告。“『ヘルダイバー2』大人気が引き金になった”説が浮上


Valveの運営するSteamにて、今年5月にかけて2万件以上のロシアおよびベラルーシのSteamユーザーアカウントが停止されたとの報告があがっている。その原因は「同国から正式に購入できない『ヘルダイバー2』を購入するために大量のユーザーが集まったから」との説が浮上している。現地メディアの報道をPC Gamerが伝えている。

ロシアおよび同国を支持するベラルーシについて、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始以来、世界各国からさまざまな制裁がおこなわれている。ゲーム分野も例外ではなく、多数ゲーム会社が同国向けの出荷やサービスを停止。ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)、マイクロソフト、任天堂からのハードウェアの輸出やオンラインサービスなども停止されている。同国ゲームファンは、さまざまなゲームの供給が経たれた状態となっているわけだ。


そうした背景があるロシアにおいて今回報道されたのは「ロシア/ベラルーシユーザーのSteamアカウントの大量BAN」だ。現地メディアOverclockers.ruがその状況を伝えており、PC Gamerが紹介した。同現地メディアによれば、今年5月にかけて2万件以上のSteamアカウントが停止されたとのこと。その背景にあるのは、SteamおよびSIEの規制強化と考えられるようだ。

Overclockers.ruによれば、ロシアのユーザー間では前述の2022年の侵攻による制裁から「VPNを利用して別地域からの購入を装う」「購入代行者から手に入れる」といったSteamにおけるゲーム購入手段が横行していたという。Steam利用規約上でも購入に際し居住地を偽る行為は利用規約違反であり、アカウントのBANといった措置が取られる可能性があることは明記されている。そしてSIEは2024年2月、同社の展開するSteam向けゲームについて、ロシアとベラルーシからの購入・アクティベートを不可能にしたとのこと(Pravda)。こうして、『ゴッド・オブ・ウォー』といったSIEが展開する人気のPC版タイトルは、不正な手段でアクティベートするしかなくなったわけだろう。

そしてSIEがSteamにおける規制を導入した2月には、『ヘルダイバー2』がPC(Steam)含むプラットフォームに配信開始された。同作は、リリース3か月目にして1200万本を売り上げたとされる大ヒットに(関連記事)。PSなどの販売停止を受けているロシアやベラルーシのユーザーたちの中にも、前述のような不正な手段で本作Steam版を入手した者は多かっただろう。


Overclockers.ruによれば、Steamは今年4月から利用規約違反者に対する規制を強めたという。怪しい動きが見られるアカウントに対して、BANといった措置が下される可能性が高まったわけだ。そのため、『ヘルダイバー2』を不正に入手した大量のロシアおよびベラルーシユーザーたちが、規制強化によって遡及的に大量BANされるに至った、と考えられるのだろう。

今回の報道は、ロシアのゲーマーが置かれた現状を浮き彫りにしたようだ。なお、ロシアは州政府の方針として「自国産ゲーム機の開発検討」を採択するといった動きも見せている(関連記事)。