任天堂、Nintendo Switch向け高難度移植を手がけてきたShiverを子会社化へ。『ホグワーツ・レガシー』などで執念の“無茶移植”を手がけた企業
任天堂は5月21日、Shiver Entertainment(以下、Shiver)の株式をすべて取得し子会社化する方針を発表した。Embracer Groupとの間で株式譲渡に関する契約を締結したとのこと。
Shiverは米国フロリダ州に拠点を置くデベロッパーだ。大規模タイトルの開発プロジェクトの受託のほか、近年では『ホグワーツ・レガシー』や『Mortal Kombat 1』のNintendo Switch向け移植などに携わっていた。
今回任天堂はShiverの株式をすべて取得し、子会社化する方針を発表した。Shiverはスウェーデンに拠点を置くゲーム企業であるEmbracer Group傘下のスタジオであり、任天堂は同グループとの間でShiverの株式譲渡に関する契約を締結したとのこと。今後Shiverは任天堂傘下となった後も、Nintendo Switchをはじめとした複数のゲームプラットフォーム向けの移植および開発業務を、任天堂以外のゲームパブリッシャーから受託・継続する予定だそうだ。
ShiverがNintendo Switch向け移植に携わった『ホグワーツ・レガシー』といえば、当初は2023年2月にPC/PS5/Xbox Series X|S向けに発売された作品。その後まずはPS4/Xbox One版が延期を経たのち同年5月に発売。またNintendo Switch版も延期を経て同年11月に発売された。もともとコンソールではPS5/Xbox Series X|S向けに発売された作品だけに、特にNintendo Switch向けの最適化は注目されていた。
そうして発売されたNintendo Switch版『ホグワーツ・レガシー』は、オープンワールドだったエリアを分割するといった工夫により、比較的安定したパフォーマンスでのプレイを実現。またほかのプラットフォームよりグラフィック品質は落ちるものの、本来の雰囲気をうまく再現した絵作りもおこなわれていた。またアップデートにて多岐にわたる修正・調整もおこなわれた(関連記事1、関連記事2)。
また『Mortal Kombat 1』については、PC/PS5/Xbox Series X|SおよびNintendo Switchにて海外向けに昨年9月同時発売された作品だ。こちらもコンソールではPS5/Xbox Series X|S向けに開発されたゲームであり、Nintendo Switch向けの最適化は注目を集めていた。結果、一部キャラの顔が不気味になるといった反応も寄せられたものの、表現を簡略化しつつのNintendo Switch向け最適化が実現されていた(関連記事)。
そうしたNintendo Switch向けの“無茶な最適化”を手がけてきた手腕もあり、Shiverは今回任天堂により直々に子会社化されるに至ったようだ。今後も他社からの受託によるNintendo Switchをはじめとした複数のプラットフォーム向け移植・開発をおこなうとされており、活躍が注目されるところだろう。また任天堂が今期、つまり2025年3月末までに発表予定とされるNintendo Switchの後継機においても、任天堂傘下となったShiverの移植手腕が発揮されていくかもしれない。