Nintendo Switch版『Mortal Kombat 1』、グラフィックが最適化された結果“顔が怖い”として不気味がられる。表現簡略化の功と罪

 

対戦格闘ゲーム『Mortal Kombat 1』のNintendo Switch版が、にわかに注目を集めている。本作は海外時間9月19日発売予定だが、追加コンテンツなどを同梱する「Premium Edition」の先行アクセスがすでに開始されており、Nintendo Switch版と他バージョンとのビジュアルの違いが明らかになった格好だ。海外メディアVGCなどが報じている。

『Mortal Kombat 1』は、対戦格闘ゲーム『Mortal Kombat』シリーズの最新作だ。Mortal Kombatユニバースの再生をテーマに、既存キャラクターの新アレンジや、Kameoと呼ばれるサポートキャラクターの導入などが実施。また、同シリーズの特徴でもあるFatalityやBrutalityといったフィニッシュ技での、相手を無残に葬り去る激しい残虐表現は健在で、そのせいか日本では発売されていない。

本作は、PC/PS5/Xbox Series X|S/Nintendo Switch向けに開発。本作の発売前には、PC版などのものと思われる高品質なビジュアルでのゲームプレイ映像が披露されてきた。そして今回Premium Editionなどの先行アクセスが開始され、ユーザーにより各バージョンの比較映像が投稿。Nintendo Switch版のビジュアル品質がついに明らかになった。

ゲームの比較映像を数多く投稿しているYouTubeメディアElAnalistaDeBitsによると、本作のPS5版は最大4K/60fpsにて動作し、Nintendo Switch版は最大900p/60fpsで動作。携帯モードでは480p程度まで下がったり、30fpsを下回ったりすることもあるそうだ。またNintendo Switch版では、背景のオブジェクトが一部省略されたり、テクスチャの品質が調整されたりといった様子も以下映像から確認できる。

Nintendo Switchは、どうしても他機種よりハードウェアパワーで劣るため、先述したような各種調整を経て動作を実現させることは珍しくない。ただ本作では、特にキャラクターのビジュアル表現の差が悪いかたちで目立ってしまい、ファンのあいだで注目を集めることとなった。

ビジュアル表現の差としてもっとも特徴的な部分は、キャラクターの目だろう。他機種版は自然であるのに対し、Nintendo Switch版は瞳部分の描き込みや光の反射表現が抑えられているのか、どこか生気のない印象だ。また、顔の表情のアニメーションも一部省略されており、それと相まって目の輝きのなさが余計に不気味に映ってしまっている。

もちろん、これらの描画もNintendo Switch上で一定のパフォーマンスで動作させるための調整の結果だった可能性はあるだろう。ただ、本作の“価格設定”により「その価格に見合う内容なのか」と一部のファンからは疑問の声も上がっている。

https://twitter.com/SynthPotato/status/1703339602331746633

『Mortal Kombat 1』の米国での価格は、いずれの機種でも69.99ドル。従来フルプライス価格とされた59.99ドルよりも10ドル高く設定された。ゲームの開発費が高騰し続けているなか、69.99ドルが新たな“フルプライス”になるのではとの見方もあるが、採用タイトルはまだ少なく、Nintendo Switch向けにおいては今のところ『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』と本作のみである。

実のところ、キャラクターの目などの表現の違いは、前作『Mortal Kombat 11』のNintendo Switch版でも似たようなかたちでみられた。今回は他機種版との比較において、映像的な見た目のおかしさが揶揄されている側面は多々あり、メーカーに本気で抗議している人は少ないと思われる。ただ、新作において強気の価格設定がなされたならば、ユーザーがそれなりのクオリティを期待するのも理解できる。

ちなみに、本作はNetherRealm Studiosの指揮のもと、同スタジオがPS5/Xbox Series X|S版を手がけ、PC版はQLOCが、Nintendo Switch版はShiver Entertainment/Saber Interactiveがそれぞれ担当している。今のところ、各スタジオからはNintendo Switch版に関するコメントなどは出されていない。