ゲームスタジオEidos-Montréalは1月30日、X(旧Twitter)にて、従業員97名をレイオフしたと発表した。また海外メディアBloombergによると、『Deus Ex』シリーズの新作が開発中止になり、代わりにオリジナルのゲームの開発に注力するとのことだ。
Eidos-Montréalはカナダ・モントリオールに拠点を置くゲーム開発会社だ。開発策には『Deus Ex』シリーズや『Marvel’s Guardians of the Galaxy』などがある。同社はスウェーデン・カールスタードのゲーム会社であるEmbracer Groupの傘下となっている。
Embracer Groupはかねてより複数回の買収を実施しており、THQ NordicやPLAION/Deep Silverなどを買収により傘下に加えていた。さらに 2021年には『ボーダーランズ』シリーズを手がけるThe Gearbox Entertainment Companyを傘下に加えるといったように、各種の企業を買収することによる成長戦略を採っていた。Eidos-Montréalもそうした買収攻勢の中で、2022年5月にスクウェア・エニックス傘下を離れEmbracer Groupへと買収された(関連記事)。
しかしEmbracer Groupは2023年6月にプレスリリースにて会社の方針を、多額の投資からコスト削減や資本配分などに転換すると掲げ組織再編プログラムを発表。これに基づき一部のスタジオの閉鎖や売却、開発中のゲーム開発プロジェクトの終了や凍結が予定されており、9月には『セインツロウ』シリーズを手がけるVolitionが閉鎖されるなどしていた。今回、そうしたEmbracer Groupの大規模な人員整理の一環として、Eidos-Montréalでのレイオフが実施されたかたちだ。
このレイオフについて、Eidos-Montréalは公式Xにて声明を発表した。世界的な経済状況や業界の課題、そしてEmbracer Groupの発表した組織再編プログラムが同スタジオに影響を及ぼしたと言及。またレイオフで影響を受ける人材に対して、次のプロジェクトを見つけられるように支援をおこなっているとした。Eidos-Montréalの声明は、困難な時期を乗り越えるにあたり、チームの幸福を優先しつつ、ユーザーに楽しんでもらえるゲーム作りに取り組んでいくと締めくくられた。
また発表に際してBloombergは関係者が伝えるところとして、同スタジオでは『Deus Ex』シリーズの新作が2年間開発されていたものの、中止となったことを報じている。同シリーズは2000年にIon Stormが開発した『Deus Ex』に端を発するサイバーパンクFPSだ。2011年にEidos-Montréalによる開発で『Deus Ex: Human Revolution』としてリブートされ、2017年に続編『Deus Ex: Mankind Divided』が発売されていた。同スタジオによりシリーズ新作が開発されていたものの、今回未発表のまま開発中止となったようだ。同誌によると、同スタジオは今後代わりとなるオリジナルIPの開発に注力する予定だそうだ。
レイオフに伴う新作ゲームの開発中止としては、今月25日にActivision Blizzardがサバイバルゲーム「Odyssey」を中止したという例がある(関連記事)。このほかにも今年に入ってから欧米の企業で多数レイオフが実施されており、ゲーム開発や業界への影響が引き続き懸念されるところだ。