『サイバーパンク2077』「仮初めの自由」では“選択肢の結果”を分かりやすくする工夫がされていた。「ほぼ誰も気づかなかった」本編の反省を踏まえて
『サイバーパンク2077』の拡張パック「仮初めの自由」では、選択肢がもたらす結果を分かりやすくする工夫が盛り込まれているという。本編でのフィードバックを受けた反省が活かされたようだ。クエストディレクターを務めるPaweł Sasko氏が海外メディアのインタビューにて明かしている。
『サイバーパンク2077』は2020年発売のオープンワールドアクションゲームだ。大型拡張パック「仮初めの自由」では、壁で外部と隔絶された危険地帯ドッグタウンが舞台となる。凄腕ネットランナーのソングバードにより主人公Vに新たな任務が託され、“新合衆国大統領”を救出することになる。またスパイ・スリラーとして描かれる忠誠心と陰謀が絡み合う物語のなかでは、ベテランエージェントであるリードが登場。誰を信用し、誰を味方につけるのか。プレイヤーの選択が物語を左右する。
今回、YouTubeチャンネルTheNeonArcadeにて本作のクエストディレクターを務めるPaweł Sasko氏へのインタビューが実施。発売直後に批判を受けた『サイバーパンク2077』が名誉挽回に向けて歩んできた開発過程など、さまざまな内容が語られた。そのなかで同氏は「仮初めの自由」における選択肢に関する開発意図についても言及。本編と比べて「選択肢がもたらす結果が分かりやすくなっている」という。
Sasko氏はパッチ2.0や「仮初めの自由」の開発にあたっては、プレイヤーからのフィードバックが重視されたと説明。そうした調整のなかでは、選択肢がもたらす結果をより明確に伝えることに重点が置かれていたという。というのも、本編では選択肢による分岐であることに多くのプレイヤーが気づかないといった場面も存在していたそうだ。長時間遊び続けたプレイヤーでなければ気づけないような細かな場面だったという。同氏は具体的にどの場面かは明かしていないものの、たとえば本編では特定のサイドジョブ・依頼の結果がメインジョブに反映される場合もあった。
こうしたフィードバックをもとに、「仮初めの自由」ではプレイヤーが「選択肢がもたらした結果」であることに気づきやすい工夫が盛り込まれているそうだ。テキストメッセージによるやり取りで選択肢に対する反応が返ってきたり、選択肢に関係するキャラが後から分かりやすいかたちで現れたりといった演出が例として挙げられている。「仮初めの自由」ではサイドジョブにも分岐や作り込みが見られ、そうしたこだわりも盛り込まれているのだろう。
ちなみにCDPRの前作『ウィッチャー3 ワイルドハント』(以下、ウィッチャー3)ではチャプターなどの節目に、選択肢がもたらした結果を振り返る演出が用意されていた。一方で主人公がVとなる『サイバーパンク2077』では、できるかぎり自然で物語への没入感を削がないようにすべくそうした演出を採用しなかったという。そのため「仮初めの自由」でも選択肢がもたらす結果の明確化は、主人公による振り返りとは違ったかたちで用意されたようだ。
このほかにもSasko氏は、ファンたちから集まった批判的かつ理にかなったフィードバックが開発において非常に貴重であったとコメント。さらに「仮初めの自由」のストーリーテリングで評価された点も、今後のプロジェクトに反映されると説明している。
『サイバーパンク2077』シリーズとしては現在新作が『Project Orion』として続編が開発中(関連記事)。今作や拡張パックで寄せられたフィードバックにより培われたノウハウは、続編プロジェクトで活かされていくだろう。現在開発初期段階と見られ、今後明かされていく続報に期待したい。
『サイバーパンク2077』の大型拡張パック「仮初めの自由」はPC/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中だ。本作は「The Game Awards 2023」にてBest Narrative部門などにノミネートされており、入賞を果たすかどうかも注目される(関連記事)。