都市開発シム『Cities: Skylines II』最適化不足から「賛否両論」スタートに。開発元は“応急処置”を紹介しつつパフォーマンス改善を約束

Colossal Orderは10月25日、都市開発シム『Cities: Skylines II』を発売した。同時接続プレイヤー数は好調ながら、パフォーマンス面が課題として指摘されている。

デベロッパーのColossal Orderは10月25日、『Cities: Skylines II』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam/Microsoft Store)で、PC Game Pass向けにも提供されている。また本作はPS5/Xbox Series X|S向けにも2024年春に発売予定。

『Cities: Skylines II』は、高い評価を得た都市開発シミュレーションゲーム『Cities: Skylines(シティーズ:スカイライン)』の続編だ。プレイヤーは居住区やインフラなどを整備し、さらに産業を活性化させながら街を一から建設。市民の生活や経済などが複雑にシミュレーションされ、それらのニーズや状況変化に対応しながら街を発展させていく。交通AIの進化や経済システムの向上など、新作ではさまざまな要素が強化されている(関連記事12345)。

本作は当初、PC(Steam/Microsoft Store)/PS5/Xbox Series X|S向けに10月25日の発売が予定されていた。しかし先月末にPS5/Xbox Series X|S版の発売が来年春になることが発表。PC版が10月25日に先行発売されるかたちとなった。


Steamではリリース後すぐさま最大同時接続プレイヤー数約10万4000人を記録(SteamDB)。Steamユーザーレビューにも本稿執筆時点でさっそく1万1000件以上が寄せられているものの、好評率は51%の「賛否両論」ステータスとなっている。主にパフォーマンス面が課題として指摘されており、公式が推奨システム要件とする環境でも快適にプレイできないといった報告も散見される状況だ。事前にそうした最適化不足は公言されており、実際の現象として出ているわけだ。

本作のパフォーマンス問題については複数の海外メディアも検証をおこなっている。たとえばPC Games Hardwareが投稿した下記動画はGPUにNVIDIA GeForce RTX 4090、CPUにAMD Ryzen 7 7800X3Dを搭載したハイエンド環境で本作をプレイ。グラフィック設定を見ると、グローバルグラフィッククオリティ(グラフィック品質のプリセット)は「高」が選択されている。動画ではその状態で解像度720p、1440p、2160pでの都市部の動作を比較。フレームレートなどの詳細な数値は明かされていないものの、映像からは頻繁なカクつきや、高解像度でのフレームレート低下などが確認できる。

また、別のメディアDSOGamingもRTX 4090およびCPUにAMD Ryzen 9 7950X3Dを搭載したハイエンド環境で本作をプレイ。こちらは都市ではなく、ゲーム開始時点の道路しかない状態での動作確認をおこなっている。結果としてはグローバルグラフィッククオリティ「高」、解像度2160pにおいてフレームレートが20前後となっており、都市を作る前段階でもパフォーマンスが低い結果となった。本作では建物や人口の増加にあわせてパフォーマンス負荷も高まっていくため、この状態で快適なプレイは難しいだろう。

なお本作開発元Colossal Orderは発売前に「目標とするベンチマークに達しないまま」PC版が発売されることを伝えていた。開発元は本作の開発プロジェクトを長期的なビジョンで見据えているそうで、PC版は予定どおり発売することが正しいステップになるだろうとの見解を説明。まずはリリースを優先し、今後の最適化を進めていく方針がとられたかたちだ。結果として本稿執筆時点では、推奨システム要件を超えるような環境でもグラフィック設定次第では快適なプレイが難しいようである。

一方で開発元は、本作PC版発売にあたって、Steamの本作公式ニュースにてパフォーマンス改善が見込めるグラフィック設定を紹介。画面解像度を1080pにするほか、「被写界深度クオリティ」「モーションブラー」「ボリュームのあるオブジェクトのクオリティ」「グローバルイルミネーションクオリティ」といった設定を下げたり無効にしたりといった対処が推奨されている。こうした設定変更により、一定のパフォーマンス向上が期待できるそうだ。環境によっては最適化が進むまでの“応急処置”となるかもしれない。

また開発元はパフォーマンス面の課題は、ゲームの根幹に根差す複雑な問題ではないため、アップデートによる向上が十分に期待できると説明。今後小規模パッチがいくつも展開予定のほか、大規模パッチも交えながらさまざまなパフォーマンス問題に対処していくそうだ。そのほか声明では、本作が対応する超解像技術がAMD FSR1のみである点に言及。ほかの超解像技術をサポートできないのは、ゲーム内のオブジェクトがアンチエイリアス技術「Temporal Anti-Aliasing(TAA)」に対応していないためだそうだ。今後そうした問題への対応を進め、FSR 2やNVIDIA DLSS 2といった超解像技術への対応も予定されているとのこと。


告知されていたとおりパフォーマンス面の課題を抱えてのスタートとなった『Cities: Skylines II』PC版。進化したゲームプレイについては一定の評価を受けていることもあり、今後の最適化が期待されるところだろう。Steamにて「賛否両論」で始まった本作の評価ステータスがアップデートを経てどのように変化していくかも注目される。

『Cities: Skylines II』は、PC(Steam/Microsoft Store)向けに発売中。PC Game Pass向けにも提供されている。またPS5/Xbox Series X|S向けには来年春発売予定だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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